八王子vs日大二
塚﨑 晃大(八王子)
八王子が日大二の猛追を振り切りベスト4進出!
まさに粘り勝ちである。八王子は1-2と1点ビハインドから4回の裏に2点を入れて逆転。さらに5回の裏にも追加点を入れて4-2。8回の表に1点を返されたが、粘る日大二を振り切り、準決勝に進出した。日大二は9回の表にノーアウトからフォアボールでランナーが出塁したが、次打者がバントを打ち上げ小フライ。更にランナーが飛び出てダブルプレー。まさに痛恨のダブルプレーであった。創価(2010年10月12日)、二松学舎(2010年10月15日)と強豪を打ち破り、勢いに乗っている日大二であったが、準々決勝で姿を消した。
(八王子編)
ピックアップする選手はエースの元木 隆太(2年 右/右 174センチ63キロ)、2番手で登板した塚﨑 晃大(2年 右/右 183センチ71キロ)、ショートの枡澤 怜(2年 右/右 180センチ75キロ)、レフトの菊池 政矢(2年生 右/左 169センチ62キロ)。
エースの元木 隆太はオーソドックスな右投手。右スリークォーターから投げ込む直球は125キロ~130キロぐらい。
変化球はスライダー、シュート、シンカーを投げ分けて打たせて取る投手だ。
二番手の塚﨑 晃大はしなやかな腕の振りから回転の良いボールを投げる未完の大器。
ストレートのスピードは125キロ~130キロぐらいか。腕が振れるときは回転の良いボールが決まるものの、球離れが早く、そして一塁側へよろけてしまうためボールが抜けることが多い。変化球はスライダー、フォーク、シンカー。いずれも曲がりが大きいものであり、威力を発揮していた。課題はフォームの安定性とストレートのスピードアップ。もう少し腕が鋭く振れるようになると135キロ前後は期待できそうな投手。長身であり、投手として大事なしなやかさがある投手なので、大きく成長して欲しい選手だ。
枡澤怜(八王子)
レフトの菊池 政矢はシュアな打撃が売りの選手。思い切りトップを深く取って振り抜いていく選手。そのため捉えた打球は鋭く飛んでいく。ただ目線がぶれてしまうことがあり、ミスショットする事も多い。もう少し振り込んで力強さを身につけると、面白くなりそうだ。
ショートの枡澤 怜は攻守にバランスが取れたプレーヤーだが、打撃面で課題を残した。右中間を破る二塁打を放ったが、技術面で気になった事がある。構えを見るとやや腰高で後ろから押すと倒れそうな感じがする。スイングは前で強く大きく振れないため、切って打ってしまうことが多く、ゴロが多い。
ただ、彼は郁文館戦(2010年10月13日)で2本塁打5打点を挙げる活躍を見せており、実は一発を狙える長打力を持った選手なのだ。
まだフォームに安定性がないと考えたほうがいいかもしれない。夏までにフォームが安定してくると怖いバッターだ。
守備は安定した守備を見せた。シートノックから柔らかいグラブ捌きを見せており、持ち替えが速く、捕ってから投げるまでが速い。動きは軽快で地肩もかなり強く、深い位置からでもダイレクトで送球できる強さがある。またポジショニングが上手い選手。打者ごとに守る位置を変えており、予めサードよりに守り、シフト通りに打球を処理したのは驚かされた。
まとめると攻守の総合力は都内では松本 剛(帝京)に次ぐ選手であり、来年以降は大きく注目される選手であることは間違いないだろう。
宮本 優(日大二)
(日大二編)
今回は捕手の熊井 裕介(2年 右/左 168センチ68キロ)、ショートの西川 尚樹(2年 遊撃手 右/右 186センチ74キロ)、センターの宮本 優(2年 174センチ72キロ 右/左)をピックアップ。
熊井 裕介はレフト前タイムリーヒットを放つ活躍。創価戦でも左中間への二塁打を放っており、流し打ちが上手い選手だ。インステップで踏み込み体が開かずに打ち返すことができているので左へも飛ばすことができる。
スローイングタイムは2.00秒~2.20秒ぐらいと高校生としては平均的。リードセンスは長けた選手で、試合中に何を狙われているか察知してリードの組み立てが替えられる賢さがある。ピンチになるとその都度、投手の下へ駆け寄って声をかけるなど投手への配慮もしっかりしているし、日大二のベスト8の立役者は彼だといっても過言ではないようだ。冬はスローイング面と打撃を鍛えて、更に信頼できるキャッチャーに成長してほしい。
ショートの西川 尚樹はレギュラーの中で最も体格が良い選手で、すぐに目に付く選手。打撃はクローズスタンスで構えて打つ選手。ミートセンス・パワーは上位打線にひけをとらないものがあり、普通の9番打者とは思わないほうが賢明だ。この選手は守備力が売り。186センチという体躯を持ち得ながら、動ける選手。軽快な動きを見せて打球を処理する姿は様になっており、大型遊撃手と感じさせるものはある。ポテンシャルはレギュラーの中でNO.1でもっと上位で打たなければならない選手だろう。打撃面で大きく成長を見せれば、体も大きいし、そして需要があるショート。プロのスカウトが無視するわけがない。ぜひ来年は見違えるような活躍を見せて欲しい。
宮本 優は先日の創価戦でも取り上げたが、癖のない構えから上からしっかり叩ける選手で、ノーヒットに終わったが、打撃の内容は悪くなかった。守備では一歩目の反応は良く、守備範囲はそれなりに広い。シートノックから低く強い返球を見せていた。さらに攻守のレベルが上がると面白いのではないだろうか。
(文=編集部 河嶋 宗一)