脇町vs穴吹
橋本侑磨投手(脇町3年)
一発攻勢の阿波西、辻を下し1回戦を突破!
第2試合からは2回戦に突入する吉野川運動公園野球場。
対戦カードはこの3月までは徳島商業で監督を務めていた井上力監督が率いる 穴吹 と、昨秋の県大会では2勝をあげベスト8に入った住吉圭吾監督率いる脇町との対戦。両監督とも吉野川運動公園球場からほど近いところにある名門・池田高校の出身である。
そして、試合前になるとやってきたのはNPB某球団のスカウトであった。ただし、このカードに限って言えば主たる視察対象は明白であろう。
その選手の名は脇町のエース、國岡祐樹(3年)。元阪急ブレーブス投手、現在は脇町のみならず全国にもその名を知られるおいしい徳島ラーメン店「くにおか」の店主である恵冶氏を父親に持ち、185センチの長身から右オーバーハンドで投げ下ろす常時130キロ台後半の直球と縦に落ちるスライダーに大器の予感漂う右腕だ。
ただし、この試合で國岡は「夏には問題はないが、右ひじに違和感がある」(住吉監督)ため試合出場を回避。先発のマウンドに上がったのは普段ファーストを守っている右腕、橋本侑磨(3年)であった。
しかし、この試合ではその橋本が182センチ89キロの巨漢とはイメージの異なる、打たせて取るピッチングスタイルで大量点を許さない粘り強い投球を披露する。一方の打線も0対2で迎えた4回裏、それまで腕が良く振れていたためチャンスすら作れなかった 穴吹 サウスポー國見勇貴(2年)に対し、5番の田中将之(3年)の同点2点タイムリー2塁打などで4点を奪い逆転。その後も着々と追加点を重ねた脇町が終盤に追いすがった 穴吹 を下し、準決勝へと駒を進めた。
試合後には「夏の連戦を考えれば、橋本がこれだけ投げられたのは大きい」と手ごたえを語った脇町・住吉監督。スカウトと好投手を見に来た高校野球ファンにとっては残念な國岡の欠場であったが、その代わりにチームが得た収穫は、それと同等、いやそれ以上に大きいものであったに違いない。
(文=寺下 友徳)
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