試合レポート

大崎中央vs仙台東

2010.05.24

2010年05月25日 Kスタ宮城

大崎中央vs仙台東

2010年春の大会 宮城県春季大会 準々決勝

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3本の三塁打を放ちチームをけん引した昆野

野球は2アウトから

 「野球は2アウトから」が、実際にあった。
宮城の準々決勝。9回表、大崎中央仙台東 を1点差で追っていた。大崎中央にとって、最後の攻撃チャンスだというのに、簡単に2アウトになってしまう。Kスタ宮城にいた誰もが、「 仙台東 の勝利」を確信していただろう。なにせ、大崎中央のベンチには、目に涙をためていた選手もいたという。

 しかし、「野球は2アウトから」である。1番・昆野一基が左中間を真っ二つに割り三塁打。続く、今野翔太がはじき返した打球は、ライトの頭上を越し、同点タイムリーの三塁打。木村勢矢はショートゴロで3アウトチェンジになるはずが、送球がわずかにそれた。木村の足の方が早くベースに到達し、今野が勝ち越しのホームイン。4番・金子凌はこの日、2本目の適時三塁打を放ち、土谷廉もレフト線へ適時二塁打。
大崎中央はなんと、1点リードを許していた9回表、それも2アウトから4点を奪ったのだ。

 実はこの試合、9回表に来るまで、とんでもない展開だった。
 まずは1回表、大崎中央の攻撃。先頭の昆野が右中間へ三塁打を放ち出塁。無死3塁で2番・今野はレフト前に先制タイムリーを放った。木村は左中間へ適時三塁打。金子四球で土谷はレフト前タイムリー。渡辺太郎は犠打を決め、熊谷大一がレフトへ犠牲フライ。初回表に打者8人の攻撃で4点を奪い、大崎中央優勢の試合が予想された。

しかし、その裏、 仙台東 は1死1、3塁で4番・渡辺望がセンター前にタイムリーを放ち1点を返す。1死1、2塁となり、村上智哉の打球はサードへ。大崎中央のサード・金子はセカンドに送球するも、これがエラー。場面は1死満塁に変わり、6番・佐藤直紀はレフト前へ2点タイムリーを放ち、1点差に迫った。

4-3で迎えた4回表、大崎中央はまたも、打者8人の攻撃4点を奪い突き放しにかかった。しかし、その裏、 仙台東 も打者8人の攻撃で2得点。点差は2点だが、大崎中央にとっては、あってないようなリードだ。と、6回表、初回裏にエラーをした金子が汚名返上とばかりに、1死満塁で走者一掃の二塁打。さらに土谷も金子をホームへ還すレフト線への三塁打。一挙、5得点で、今度こそ、突き放した。7回にも1死1塁から昆野の、この日2本目の三塁打で1点を加えた。
14-5。点差は9点。7回裏、 仙台東 が最低でも3点入れなければ、コールドが成立してしまう。

しかし、「野球は2アウトから」である。
6球で2アウトになり、大崎中央が7回コールド勝ちを収めるまであと1人だった。だが、斎田啓仁がライト前にヒットを放つと、佐藤憲和がライト線へ適時三塁打。小泉四球、堀切裕太死球で2死満塁とし、3番・菅原広大がセンター前へ2点適時打。これでコールドの可能性が消えると、4番・渡辺、5番・村上智哉も続いた。結局、コールドがちらつく7回裏に打者10人の猛攻で5点。仙台東の勢いは止まらない。8回表をゼロに抑えると、14-10の8回裏、四球、死球、内野安打で無死満塁から1番・小泉がライトへ走者一掃の三塁打で1点差に迫り、堀切四球で無死1、3塁となり、3番・菅原がライトへ同点タイムリー。4番・渡辺のレフト犠飛で勝ち越しに成功した。

 そして、あの場面である。15-14と 仙台東 1点リード。だが、2アウトから4点を奪われ、点差は3点に広がった。9回裏、大崎中央としてはピシャリと締めたいところ。しかし、勝利を目前にしていた 仙台東 もだまっていない。1死から8番・斎田がレフトへ二塁打を放ち、2死2塁から1番・小泉の打球はまたもレフトの頭上を襲った。点差は2点、2死2塁。2番・堀切もレフトオーバーの二塁打を放ち、小泉が生還。点差は1点にまで縮まった。が、最後、菅原は見逃し三振に倒れ、 仙台東 は万事休す。大崎中央が、両チーム合わせて40安打、35得点の乱打戦を制した。

(文=高橋昌江

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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