昨年夏の甲子園出場の岡山学芸館ナイン、指揮官の胸の内

岡山学芸館副将・溝上 孟瑠

　4月に高校総体が中止となったが、5月20日に夏の甲子園も中止が決まった。戦後初となる事態に、集大成の夏に向けて準備を続けてきた3年生たちをはじめとした高校野球関係者に悲しい現実が突き付けられた。その発表から少し経ち、電話取材で岡山学芸館にお話を聞かせてもらい、チームの今を聞かせてもらった。

　まず、夏連覇を目指して準備を続けてきた岡山学芸館だが、4月中旬から活動を自粛中。5月末まで寮生も自宅に帰省をしており、再開は6月1日になっている。その最中で5月20日の運営委員会が開かれ、当日はオンラインで佐藤貴博監督をはじめとしたスタッフと、3学年106名全員が画面越しで顔を合わせた。開催を信じて会見を見守ったが、祈りは届かなかった。

　4番・捕手と言う攻守の要を担う副将・溝上 孟瑠は当日のことをこのように語る。
　「会見の前までは仲間たちの中で、『決まるまでは信じよう』と話はしていました。けど、決まってからもう一度ミーティングをするときには涙するチームメイトもいました。自分も最後の夏にかけていたものが大きかったので、悔しい気持ちでいっぱいです」

　岡山学芸館では自粛期間中、5人のスタッフがそれぞれ2日に1回選手たちとコミュニケーションをとってきた。佐藤監督はそこで、「もし中止となったとき、どんな立ち振る舞いをするかで心の強さが出ると思ったので、『覚悟を決めておかないといけない』という話はしました」と語る。

　それでも今回の事実を受け止めきれない選手たちへ、「時間をかけて整理してもいいからその時間を作っても良い」と話したが、次に向かってやるべきことなどは常に伝えてきたとのこと。これからがどれだけ大切かと考えている佐藤監督にとって検討されている代替大会は、選手たちの希望になる。

　「一番大事なのは命ですが、代替大会をどうやったら開催できるのか。3年生の花道、区切りとなる大会を準備してあげるのが私たち高校野球関係者の役目であり、力の見せどころだと思います。ただ、感染者を出さないことを一番に考えた練習や運営が出来るようにして、選手たちの努力を発表できる大会にしたいです」

　そのためにも様々な学校にもヒアリングをしながら、どうすれば感染者を出さない練習ができるのか。模索していくことを語った佐藤監督。夏の甲子園はなくなったが、各校が一致団結して3年生の集大成の舞台を実現させる。3年生たちに希望の光が差すことを強く願う。

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