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私学3強、開星が突出して石見智翠館と立正大淞南が追いかける

2018.06.03

開星、石見智翠館、立正大淞南が3強を形成

私学3強、開星が突出して石見智翠館と立正大淞南が追いかける | 高校野球ドットコム
島根県の筆頭格と言えば開星が挙げられる

 同じ山陰ということで比較されがちだが、高校野球ということでいえば、島根県は鳥取県に比べると後塵を拝している。それは、歴史的第1球を鳥取の投手が投じたということだけではなく、その実績という面でも、島根はベスト8以上が僅かに4度という事実があり、しかも、そのうちの1度は、参加校もまだ少なかった第3回大会のことである。甲子園の通算成績でも、鳥取県は57勝98敗で37位なのに対して、島根県は40勝92敗で、西日本では滋賀県に並ぶ勝率の低さで44位となっている。それだけに、高校野球ではどうしても鳥取県に一歩劣っているという気持ちがあるのは否めないところである。

 それでも、近年は開星が一気に数字を稼いでいるという印象だ。2006年からの3年連続をはじめとして、夏は10度の甲子園出場がある。そして、松江第一時代を含めて春夏通算で13回の出場を誇っている。やはり、現在は島根県の筆頭格である。
 関西などの他県の生徒を中心とした戦力でチームを強化した先駆としては現:石見智翠館江の川がある。やはり、関西のボーイズやシニア出身の有望選手が中心となっていたが、埼玉や静岡の選手などもいたことがある。一つ山を越えれば隣りということで広島県の選手も多かった。谷繁元信(横浜→中日、中日監督)も広島県比婆郡の出身である。広陵広島商に行かず、江の川へ進学した谷繁選手自身としては結果として江の川で甲子園にも出場、ドラフト1位という評価でプロへの道も実現されたのである。

 さらには、立正大淞南もこのところの実績は高い。09年夏と12年夏に甲子園出場している。学校としては01年に淞南学園が立正大傘下に入り、09年夏の甲子園の舞台では、初出場で8強入りしてその存在感を示した。
 現在では、この3校が島根県内私学3強と言っていいであろう。
 また、それを追随する私学勢力としては98年春に出場した出雲北陵や、96年夏に出場している益田東なども健闘している。

[page_break:初期の時代から力を維持している大社と浜田]

初期の時代から力を維持している大社と浜田

私学3強、開星が突出して石見智翠館と立正大淞南が追いかける | 高校野球ドットコム
浜田は和田毅(ソフトバンク)や梨田昌孝監督(楽天)の出身校である

 そんな島根県だが、初期の時代のリーダー格は旧制中学系の名門校だった。そして、それが今でも上位にいる力を維持している。旧杵築中の大社やソフトバンクの和田毅や楽天の梨田昌孝監督などの出身校である浜田が筆頭格である。大社は、15年秋季県大会も優勝しており、復活への期待は大きくなってきている。浜田は甲子園に登場したのは戦後になってからだが、学校そのものは古く島根二中という位置づけでスタートしている。その後、浜田中になるが野球部もその当時からあった。ただ実績を上げてきたのは1968(昭和43)年夏あたりからだろう。

 伝統校としては松江商(旧島根商)も大社と共に戦前から島根県の歴史を支えてきた。73年春には準優勝した広島商に0-1で破れるが、江川イヤーのセンバツで玄人好みの好試合として評価された。ただ、80年以降甲子園に届いていないのは、やはり名門商業校の常でもあり、女子生徒の増加による部員不足ということも影響しているのだろうか。

 大正時代に旧制中として創立している大田も春3回、夏3回の出場を誇っているが、87年春が最後の出場となっているので、平成になっての出場が期待されている。10年夏は島根大会決勝進出して、その期待を抱かせている。そうした中で、13年春には21世紀枠代表校として益田翔陽が初出場している。06年に益田工と益田産業が統合して誕生した4学科からなる総合校だが、益田産は58年夏と91年夏に出場という歴史もある。

(文:手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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