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清宮世代をリードする投手はこの4人だ!!古屋敷・金久保・石川・山口にスカウトも熱視線!!

2016.07.29

 清宮幸太郎関連記事)を中心としたこの世代は野手の逸材が多い。では投手はどうなのか?実は、この夏にきて役者がそろってきた!今回はこの世代をリードする4人の投手を紹介したい。

プロ注目のエース・種市 篤暉よりも実戦的な古屋敷 匠真

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古屋敷 匠真(八戸工大一)

 まず1人目が、八戸工大一古屋敷匠真だ。武器は、最速146キロのストレートと曲りが鋭い縦横のスライダーである。春季東北大会では常時140キロ中盤を計測しており、指にかかった時のストレートは、素晴らしいものがあった。さらに縦横のスライダーの切れが絶品で、どちらも、コントロールが安定している。このストレートとスライダーのコンビネーションで東北大会光南戦(試合レポート)で14奪三振を記録している。全国をいろいろ回ったが、これほどのレベルに達している高校2年生投手はいなかった。

 八戸工大一には種市 篤暉というプロ注目のエースがいる。種市のマックスは148キロ。種市のストレートはまさにズドーン!とくるような重い球質がウリで、将来的には150キロ台を投げ込むのではないかという期待がある。それに対し古屋敷の速球は快速球と形容できるものだ。

 では投球の完成度はどちらが上なのかと言うと、2年生の古屋敷である。ストレート、変化球の投げ分け、両サイドの出し入れ、勝負所でギアを入れて抑える投球術など、古屋敷の投球を見ると、スピードだけではない投手らしい投手だと感じる。種市も、1学年下の古屋敷の実力を認めている。

「匠真は1年生の時から凄かったんです。だって1年から140キロ台を投げられていたんですよ!」

 古屋敷は東北中(青森)から軟式で144キロを計測していた。種市は古屋敷の姿を見て、刺激を受けたという。この2人で甲子園に導けるかどうか注目されたが、準々決勝・大湊戦で敗退。古屋敷はこの試合に先発をして、4失点を喫し、涙を呑んでいる。先輩と一緒にいけなかった甲子園の舞台。その悔しさが古屋敷の成長を後押しできるか。この秋は東北地区ナンバーワンピッチャーになることを期待したい。

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当時の島より平均球速が上な金久保 優斗(東海大市原望洋)

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金久保 優斗(東海大市原望洋)

 東海大市原望洋には最速153キロ右腕の島 孝明関連記事)が注目されている。それに負けない球速を誇るのが、金久保 優斗である。名門・佐倉シニアでプレーした金久保。1年秋ではセカンドと投手を兼任し、最速138キロを計測。さらに2年春には、常時130キロ後半・最速140キロを計測するなど、順調にステップアップを果たしてきた。そしてこの夏、常時140キロ台を計測するまでになった。特に素晴らしかったのは準々決勝木更津総合戦。先発した金久保は、立ち上がりから、常時140キロ~145キロを計測。マリンでは最速146キロを計測していた。

 編集部のガンでも145キロを計測している。昨秋から今年の夏まで、高校2年生ながら145キロを計測したのは金久保だけである。なぜこれほどの球速を投げられるのかといえば、やはり体の使い方が優れているからだろう。金久保の投球を見ていると、腕の振りの速さが目につくが、腕を速く振ろうと思っても簡単に振れるものではない。金久保は足を上げた時は静かな動作なのだが、テイクバックを取ってから、フィニッシュに入るまでの動作が実に速く、体幹部分を上手く使って体全体を使うことができている。連動性のあるフォームをしているのだ。

 そして手元でぐっと曲がるスライダーも非常に鋭い。ストレート、スライダー、さらにカーブを上手く投げ分け、しっかりとピッチングを組み立てることができる金久保は、今大会先発投手として活躍した。木更津総合戦ではわずか1失点で敗戦投手になったが、この悔しさをバネに、島同様、プロから注目される投手となってほしい。

爆発力はトップクラスの石川 翔

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石川 翔(青藍泰斗)

 今春の関東大会だった。前橋育英vs青藍泰斗一戦で注目されていたのは最速145キロを誇る青藍泰斗のエース・板垣 理音だった。だがこの試合板垣ではなく、先発したのは2年生の石川翔。板垣はリリーフで登場なのかとのんびりと試合を見ていたところ、石川が想像を超えるピッチングを見せる。立ち上がりから、常時140キロ~145キロで最速146キロを計測。まだこの時期、140キロ超を投げる高校2年生投手が少なかっただけに、石川の投球が目を引いた。そこで気付いたのは、石川の投球フォームの美しさだ。

 テイクバックを大きく取ってから、身体の軸を鋭く回転をさせて真っ向から振り下ろすフォームは躍動感満載。178センチ75キロとそれほど大きな体格ではなくても、体の使い方が良いので、これほどの速球が投げられるのだ。ただ常に全力投球なので力配分ができない。前橋育英戦ではガクッと球速が落ちて、140キロ前後まで落ちたところを狙われて、3回途中で降板してしまった。

 本人にとって悔しいマウンドになっただろう。夏の栃木大会でも思うような活躍を見せることはできなかった。この秋からエースとしての活躍が期待される石川。爆発力あるストレートは最大の魅力で、思わず見たくなるものが石川にはある。そのストレートを生かすべく、最大限に生かせる投球術を身に付けていきたいところだ。

⇒次のページ:爆発力はトップクラスの石川 翔 / 山口 翔(熊本工)は名門復活の担い手となれるか?

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山口 翔(熊本工)は名門復活の担い手となれるか?

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山口翔(熊本工)

 最後に紹介したいのが山口 翔熊本工)。1年から登板してきた山口はメキメキと成長し、この夏の熊本大会の2回戦の八代東戦で先発し、9回2安打16奪三振の快投を見せた。そして準々決勝の秀岳館戦でも力投を見せ、株を大きく上げた。

 山口を見て、まず目についたのが綺麗に肘が上がったフォームだ。しっかりとトップを作って、胸を張り、内回りの軌道でリリース。球持ちが良く、スピンのかかったストレートを投げ込むことができる。最速は秀岳館戦で144キロを計測したように、来年以降は145キロ以上も期待できる逸材だろう。

 山口の投球で目立つのは強気のインコース攻め。プロ注目の九鬼隆平関連記事)など強打者揃いの秀岳館打線に全く恐れずに懐へ投げ込んでいった。4番九鬼に対してもアウトコースへ見逃し三振を奪ったが、その時のストレートは来年のドラフト候補と期待できるものがあった。さらにスライダーも右打者の外角だけではなく、内角へ投げ込んだりとかなり得意にしているようだった。

 課題としては力み過ぎて、リリースポイントが乱れること。うまく力の入れどころ、抜きどころが分かって投球ができるようになると、もっと安定感が増すだろう。そして180センチ70キロと体の線はまだまだ細く、投手としてのスケールはさらに大きくなる可能性がある。

 2013年夏以来、甲子園から遠ざかっている熊本工。その復活の担い手として、山口の投球にはかなり期待がかかるだろう。今のところリードしているだろうと思うのはこの4人だが、高校生というのは、短期間でがらりと変わる。この夏も3年生投手たちが見違えるような成長を見せてくれた。ぜひこの世代からワクワクするような投手が現れることを期待したい。

■登場4選手の選手名鑑をチェックしよう!!
古屋敷 匠真
金久保優斗
石川 翔
山口 翔

(文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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