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【三重展望・後編】優勝候補・三重のカギを握る選手は?南部は宇治山田商など好投手が多数集結!

2016.06.26

 前編では北部をリードする学校の戦力紹介を徹底的に行った。後編では優勝候補に挙がる三重三重の戦力を徹底的に紹介し、さらに好投手揃いの南部の学校を紹介する。

松阪地区をリードする三重の戦力を徹底紹介

斉藤 隼大(三重)

 秋季県大会準優勝・東海大会ベスト4春季県大会ベスト8の第三シード校である三重。非常にセンスの高い選手が集まり実力は十分。練習試合でも他県の強豪校を相手に大きく勝ち越し経験も豊富だ。秋季県大会春季県大会とではメンバー7人と大きく入れ替わったが、これは逆に言えば層が非常に厚く、競争率が高い中で精神面でも鍛えられここ最近では特に上向き傾向にある。

 投手陣では絶対的エース斉藤 隼大が中心。1年生の頃から経験豊富で期待されていたが、昨秋の東海大会では大会期間中に腰を痛め思うような投球が出来ず、勝てば選抜への切符がかかる大一番の準決勝の舞台に、エースが最後までマウンドに立つことはなかった。今では腰もすっかり完治し調子を上げて来ている。

 この時の東海大会準決勝で先発のマウンドに立ち、粘りの投球を見せた岩崎 寛太は現在は野手に専念しているが、新チーム結成時から斉藤・岩崎と共に投手陣の要であるアンダースローの山岡 健人高山 滉平・2年生の小幡 晋作と、春に浮上してきた右の投手陣左は堀内 大輔森本 翔大と二人の2年生が引っ張り投手陣は豊富。更に130キロ台半ばでキレのある速球が武器の大型1年生右腕、定本 拓真が加入し厚みを増している。他にも多くの投手陣を擁しており、激しい競合の中でもしかすると夏には新たな投手が出てくるかもしれない。

 その投手陣を引っ張るのがキャプテンの藤田 朋樹捕手。160cmと小柄だが元々投手としても定評あり、強肩とその豊富なマウンド経験を活かしたリードで投手陣を盛り立てる。打線は1番の川島 立から能力の高い北出 敦也岩崎 寛太など下位まで力のある選手が揃い、破壊力は県内No. 1だろう。

 その強力打線に身長180cm体重100kgの右の大砲上田 祐摩が長い不振から帰って来た。新チーム結成時は4番として本塁打を量産するも、その後は不振で春の県大会ではメンバーを外れ、苦渋の想いを強いられた。ここ最近は代打で結果を残し、5月末に行われた大阪桐蔭との練習試合では久々にスタメンに入り特大アーチを含む2ホーマーと、復調の狼煙を上げている。この上田が4番に復帰すれば軸が出来上がり、入れ替わり立ち替わりだった打順も定着してくるかもしれない。この上田と現4番の大川 陽大は同じ1塁手で、守備でも新旧4番のポジション争いが難航しそう。

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 また定着していなかった遊撃手も岡田 皓輝伊勢谷 譲二の2年生達が競合するなど、選手の層は非常に厚い。昨夏は津商業、秋は海星、春はいなべ総合と昨年から4強と言われていたが、唯一タイトルの取れてない三重高校。この夏に賭ける想いは相当強く、藤田 朋樹キャプテンは夏へ向けての意気込みをこう語った。

一昨年の甲子園準優勝というのがまだついてきます。しかし、僕らのチームは僕らのチームだということはみんなが分かっています。そのついて回るプレッシャーを楽しめるだけの準備はしてきました。そして、3季連続で甲子園に出れていないということを忘れずに、三重高の伝統を繋げられるように勝ちたいと思います。これは私事ですが、僕を大きく成長させてくれたのは中村先生です。その中村先生に恩返しするには甲子園出場しかありません」

 同校を率いる中村 好治監督のために選手たちは2年ぶりの甲子園出場へ向けて、最後の追い込みに入っている。その三重三重に続くチームとしては松阪だろう。松阪は投打にバランスの取れたチームで、投手陣はエースの綿谷 光平を中心に多彩なタイプを揃える。打線は秋に比べて下位打線にも力が付き、何番からでも点がとれるようになった。特に勝負強いバッティングの池田 勇祐、バッティングと相手に嫌がられる走塁が持ち味の北林 汰一、長打力のある綿谷 光平が中心。自分達が先手を仕掛けることで相手に主導権を握らせないよう心掛けている。

 春の地区予選では三重高校を破り、目標であったベスト8まで勝ち進んで自信を付けた相可。投手は右サイドの技巧派エース滝野 萌と制球力の高い堀本 雄斗の2人が中心。打線は長短打を打てチャンスに非常に強い主将の大西 達也の前にランナーを溜めることが鍵を握る。

中勢地区・鈴亀地区・伊賀地区の有力校は?

安藤 明記(白子)

 今春から前部長の鈴木 隆明監督が就任した津西大塚 勇輝石川 義大の二遊間、中堅手の中村 優太とセンターラインを中心に守りからリズムを作るのが特徴。エース別府 昂豊田 聖理の2年生二人に負けじと3年生の石井 皓也が投手陣を引っ張る。打線は4番の中村 優太を中心につないで堅実な打撃を心掛けている。

 白子は前部長の古川 敦朗監督が今春から就任し、部長には宇治山田商業の中居 誠前監督が就いた。昨秋の県大会では部員12人の全員野球でベスト8入り。春からは新1年生9人が加わり戦力もアップした。投手陣は直球で押すタイプの安藤 明記と変化球投手の高須 錬の2枚看板。昨夏の経験があるセンターラインを中心に守り勝つ野球を心掛ける。

 近大高専は投手陣は経験豊富。安定感のあるエース山崎 翔太を中心に185cmの大型左腕安楽 英斗は打撃でも中心選手。技巧派の高崎 竜河と3投手を擁する。出塁率の高いキャプテンの田中 大輔ら先頭が出塁してクリーンナップに繋げる。

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南勢地区:宇治山田商、宇治山田など好投手が多く揃う

宮原 大樹(宇治山田商)

 秋季県大会ベスト8・春季県大会ベスト4の実力校・宇治山田商。足を活かした機動力野球が持ち味で、投手の中心は2年生エースの宮原 大樹。186cmの長身から140キロ超の直球を繰り出す本格派右腕だ。既に1年生の頃からプロのスカウトマンも視察に来ている注目選手で、春の県大会松阪戦では190球を投げ、翌日の準々決勝で秋の県大会準優勝校の三重戦にも登板し完投勝利するなどスタミナもついた。

 他に打線でも中心の山本 永貴島田 新、2年生の岡野 晃空と好投手を擁する。打線は中西 翔碁久保田 雄大など俊足の選手を多く揃え、機動力に徹するかと思えば攻撃野球に切り替えたりと、豊富な攻撃力を持っている。今春、津西を県内屈指の強豪校に育て上げた村田 治樹監督が就任。春の県大会以降は大幅に打順を組み替えたり、決まったポジションを持たずコンバートも多用して、想定外のことにも慣れる様に徹している。

 南勢地区では各校好投手を擁し、宇治山田商が1つ頭が抜けてる他、殆ど力の差はない。その中でもと県大会に出場しているのが皇學館と三重明野。皇學館はエース東 竜平村瀬 結音・主将で左腕の森本 晃世の3人で継投するのが特徴。攻撃では俊足の村林 昂紀が出塁して長打がある森本 晃世石原 勇平の3・4番に繋げる。三重明野は140キロ近い伸びのある直球が武器のエース牧 幸輝・球持ちが良い右サイドの大西 海史・抑えでの登板がある主将の村木 柊斗は攻守の要でもあり抜群のセンスを持っている。投手陣の踏ん張りにより打線にも繋がりが見られるようになって来た。

 伊勢は昨秋は地区予選敗退の悔しさをバネに、粘り強さで春は県大会出場を果たした。投手は経験豊富で多彩な変化球が持ち味のエース中村 峻弥・安定感のある左腕の西井 敏貴の2枚看板。主将の泉 陽太捕手が闘志溢れるプレーでこの投手陣をリードする。打線は目立った選手は居ないが、小川 晃生藤永 洋輔など主軸を中心に繋いで得点に結び付ける。

 秋季県大会ベスト8・21世紀枠東海地区推薦校宇治山田。投手は最速140キロの本格派右腕石川 智己・多彩な変化球を擁する左腕の小原生幹の2枚看板。この投手陣を中心に守り勝つ野球が特徴だったが、ここ最近ではバットが良く振れ打線にも厚みが増して来た。自分達で練習を考え、そうした取り組みは野球にも繋がっている。

 


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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