【センバツ出場校分析】県立今治西高等学校（愛媛）

杉内 洸貴（今治西）

【チーム構成の特徴】

秋季大会登録は21人。その内、右投げ左打ちは2人で、左投げ左打ちは1人。残り18人は右投げ右打ち。レギュラー格は1人だけが左打者。
愛媛県出身は18人。その内、学校所在地の今治市出身は10人。県外では、1人が隣接する広島県尾道市出身で、残り2人は近畿地方の出身。

【ディフェンス面】
夏まではサードを守っていた杉内 洸貴がエースとなった。秋は初戦で1アウトだけ吉本 春悟にマウンドを任せた以外は全て1人で投げ切った。愛媛県大会決勝の松山東戦では2安打完封を果たしている。無四球完投も1試合しており、1試合平均1.66の与四死球率は出場32校の主力の中で7番目に少ない。また奪三振率3.13は主力投手で3番目に少なく、コントロール良く打たせて取るタイプの特徴が数字にはっきりと表れている。

マスクを被るのは安藤 悠利で、1試合平均許盗塁は0.51。四国大会では準決勝の明徳義塾戦と決勝の英明戦で1つも盗塁を許さなかった。逆にチーム総失策10個のうち半分の5個がこの2試合でのものだった。これは改善したいところと言える。

【オフェンス面】
チーム打率0.3004は出場32校の中で23位。全79安打に占める長打の割合は12.7%でこちはら32校で最も低く、長打より単打のチームと言える。
長打が少ない分、目立つのがアウト一つを犠牲にしてでも先の塁へ走者を進める堅実な攻撃で、1試合平均犠打飛4.00は32校の中で3番目に多かった。2番・中内 理貴は7犠打飛を記録している。
またチーム全体8盗塁のうち3つを杉内 洸貴が決めているところが興味深い。エースになったといえども、内野手の血が健在だということを示している数字と言えるだろう。対戦相手が杉内を走らせて疲労を多くする策を使うかどうかも本番で見てみたいところである。

【戦い方から見える傾向】
新チーム最初の実戦は8月4日。ただ後にエースとなる杉内 洸貴は、夏までサードを守っていたこともあり、当初はまったく登板していなかった。東予地区新人大会の準決勝と決勝で連続完投した秋川 優史を軸として考えていたようである。しかし秋川は24日に岩国相手に12失点を喫してからは、練習試合での登板が減っていった。代わって30日の東洋大姫路戦で初めて先発のマウンドに上がった杉内がいきなり完封をやってのけた。9月6日には龍谷大平安を3点に抑えて完投。このあたりから、彼がエース格となったようである。

愛媛県大会では1回戦の今治北戦で延長13回の激闘となったが、杉内が7安打1点に抑えて勝利へと導いた。四国大会準決勝の明徳義塾戦では12安打を浴びながら4失点で耐えている。ともに1点差での勝利で、競り合った時の粘り強さが発揮された印象だ。
公式戦8試合でコールドゲームと延長戦が1試合ずつ。平均イニング数は9.00だった。

今大会限定で監督を務める黒木 太雄副部長は32校の指揮官で最も若い26歳。さらに、初めてのベンチ入りとなる。本来の指揮官である大野 康哉監督の流れを引き継ぐのか、それともまったく別のスタイルの采配になるのかにも注目だ。