Interview

自分の動きを習慣化させる 大学ナンバーワン実戦派右腕・松本 航 投手(日本体育大)の投球論 vol.1

2018.10.13

  今年の大学生を代表する右腕として注目を浴びるのが松本航だ。明石商から日体大へ進学した松本は大学3年秋に明治神宮大会優勝を経験。最終学年となった今年も、日本代表に選ばれ、日米大学野球で活躍するなど、大学球界を代表する実戦派右腕として君臨している。今回は3回に分けて松本の投球術を解剖していきたい。まずは修正法や投球術について話していただいた。

この春のリーグ戦は自分の動きを無意識に表現できることを意識した

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松本航(日本体育大)

 ――松本投手は4年生となった今年のシーズンは、どういう課題を持って入りましたか?

松本:学生野球の最後の年ということで、将来に直結する、結果が求められるという学年でもありますが、野球人生の通過点としてもっと成長できるようにという感じで入りました。

 ――春のリーグ戦は、自身の内容はどうでしたか?

松本:自分的にはあまり悪いという印象は無くて、結構いい感じで、フォームもある程度安定しながら入れたので、個人的には良かったと思っています。

 ――リーグ戦からのピッチングを見ても、速球と変化球を精度高く投げられたのではないかという印象を受けました。前にインタビューした時も、フォームを意識している部分が非常に多いという印象があって、「お腹に力を入れてる」とか「左肩が開かないように半身になってる」とか、そういう今までのポイントは大事にしながら、何か新たにやってきたことはあるのでしょうか。それとも今まで通りという感じですか。

松本: そうですね。それを習慣化じゃないですが、意識せずにできるすることがテーマになっていて、それができた上で調子の善し悪しがあるので、修正方法を見出すのが僕の課題となりました。

 ――ちょっとコンディションが良くない時は、どういうふうに修正するのでしょう。

松本:身体が開いてたりすると腹筋を締めたり、状況に合わせて。自分でやることによって成功した時に自信になります。

 ――身体が開くというのは、自分の動きで分かる感じというのはあるのですか?

松本:自分で分かる時もありますし、あまり分からない時もあるので、ベンチ内の他のピッチャーに訊いたり、トレーナーさんに訊いたりしています。リーグ戦中もそういうふうに修正して、結果的に何とかなったという試合は数試合ありました。

[page_break出力を上げることをこだわった平塚合宿]

出力を上げることをこだわった平塚合宿

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平塚合宿時の松本航

 ――リーグ戦後、平塚合宿で、短いイニングだったんですが150km/hを連発したピッチングというのは本当に驚きがあって、神宮大会などは“巧い”というイメージだったのが、あの時は“豪快”というか、非常に力があった感じなのですが、あんなにスピードアップした原因には何があったんですか。

松本:元々質量、パワーがあったりするタイプではないので、身体を上手に動かすトレーニングを行ってきました。自分が持っている最大限の能力を、身体の使い方によって出せるように意識して練習していたので、それができたのかなと思います。

 ――練習を見ていても、メディシングボールやスタビライザーに取り組む様子が見られましたが、体幹が大事になるんですか?

松本:そうですね。やはり体幹トレーニングで鍛えた上で、身体を上手に動かせるように。

 ――速球150キロが出た時というのは、自分の中で(出力を上げよう)とかいう意識はあったんですか。大きな力を出そうとか。

松本:そうですね。短いイニングだったので、自分のベストパフォーマンスができるようにと意識はしました。

 ――正直、あれほどのスピードボールが投げられたというのは、自分の中で驚きの方が大きかったんでしょうか

松本:結構驚きましたね。でもブルペンで調子が良かったので、ある程度のいいボールは投げられるかなとは思っていたんですが、ビックリはしました。

 ――平塚合宿ではボールの回転数を測ってたんですよね。松本投手の場合はどうだったんですか、数字としては。

松本:結構高かったという話は聞きました。そういうところを意識して練習してきたので、練習の成果が出たのかは分からないですが、自信というか自分の中で強みだなというふうには思いました。

[page_breakザ・日本流の攻めでアメリカの強打者たちを封じ込む
]

ザ・日本流の攻めでアメリカの強打者たちを封じ込む

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インタビューに答える松本航(日本体育大)

 ――日本代表入りして、日米大学野球で先発で7回で16奪三振の好投を見せましたが、あの試合は何が良かったんですか?

松本:たぶんアメリカの選手は日本人とボールの角度が違うじゃないですか。だから初見で、僕はどちらかというと下からで、海外の選手とは違うので、その角度やボールの軌道が違ったので、ストレートが良かったのでストレートで押せたのが良かったと思います。

 ――16奪三振のほとんどはストレートなんですか

松本:そうです。大半はストレートだと思います。

 ――ファストボールですよね。メジャーやアメリカの投手はボールを非常に動かすじゃないですか。でも松本投手のブルペンとか今までのピッチングを見ても、ほんとにフォーシームというか、ストレートのきれいな回転だと思うので。ゾーンとしては低めですか。それとも高めの三振が多かったんですか。

松本:そうですね。高めが多かったですね。あとは低めの見逃しとか。

 ――ピッチャーは、高めのストレートがしっかり投げられることっがやはり大事なのでしょうか?

松本:最近ある程度は使います。高めもあるというのを、バッターをのけぞらせるじゃないですけど、投球の幅を広げるためには大事じゃないかと思います。

 ――松本投手は低めもすごく決まりますが、どう意識しているのでしょうか。

松本:低めに投げようと思ったら垂れてしまうことが多いので、低めだとしても、低めのキャッチャーミットのところで収まるんじゃなくて、もうちょっと先というふうに狙って投げています。

 vol.1はここまで!vol.2では松本投手が低めに伸びるボールを投げるために具体的にどんな意識をしているのか。また現在の持ち球とその握り方、そして驚くべき特技があることを話してくれました!次回もお楽しみに!!

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文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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