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DeNAの剛速球リリーバー・徳山壮磨は、過酷な生存競争を勝ち抜いた「剛腕サバイバー」だ!【主筆・河嶋宗一コラム『グラカンvol.16』】

2024.04.21


大阪桐蔭時代の徳山壮磨

早稲田大では今までの技術を捨てて151キロ右腕に 小宮山監督もメンタルを絶賛

早大では下級生時から登板を重ね、2年秋には5試合に登板して、36回を投げ、防御率1.50の好成績。

大学3年時には4年生のエース・早川 隆久投手(木更津総合)に次ぐ第二の投手として期待されていました。その投球も高校時代からレベルアップして、常時140キロ後半・最速151キロを計測しています。球速アップの要因について徳山投手はこう語っていました。
「大学に入って圧倒的に体幹トレーニングの割合が増えました。ただトレーニングするだけではなく、そのトレーニングはどこが鍛えられるのかを考えるようになったことです。早稲田大学にきてよかったと思うことは一つ一つのトレーニングをさらに意味を持ってできるようになったことです」

そして投球フォームの考え方についても変わりました。
「投球フォームについてもトレーナーの土橋さんに教えてもらった理論を守り、これまで自分が考えていた理論は全て捨てました」

教えてもらった理論というのは、「軸足」を起点にするというもの。
「自分は足を上げたとき、左足をついて投げていたんです。とはいっても大きくメカニズムを変えたわけではなく、今までのように、左足を下ろす時、一度、足の裏を打者に見せるように動かす動作は変わりありません。
変えたのは上半身の意識です。今までは肩をぶつける感じで、右肩に負担がかなりかかっていたんですよね。軸足を意識して、上半身を残すことで、体の捻じれが生まれます、下半身は回っていても、上は残っているので、このねじれで開放する感じです。なので、腕を振ろうと思わなくても、強く意識しなくても、勝手に腕が振れるようになります。
土橋さんからプレートを軸足で蹴るイメージで投げることが大切だと教わって、ピッチングで大事なのは軸足(右投手は右足)はすべての鍵を握っていると言っても過言ではないです」

大学では自分の理論を見つけて進化を果たした徳山投手に小宮山 悟監督はこう評していました。
「あいつ(徳山)は腹が据わっているので、ジタバタしない。腹の据わり方は抜群で、何も言うことはない。ドラフト的なことでいえば、1年後は大騒ぎされる投手だと思います」

早稲田大時代の徳山壮磨

大化けで一軍のマウンドを勝ち取る

しかし3年秋以降、不調に陥り、3年秋は防御率4.50、4年春は3.54、4年秋は3.51と良い成績を残すことはできませんでした。それでもプロ側の評価は高く、DeNAから2位指名を受けましたが、1年目、2年目は未登板に終わります。迎えた3年目の今年、オープン戦で驚きの投球を見せます。リリーフで登板した徳山投手は常時150キロ中盤の速球、140キロ台のスプリットで圧倒するパワーピッチャーになっていました。これまで球速は150キロを出していた時もありましたが、NPBの世界では突き抜けたボールではありませんでした。中継ぎ陣の一角に入るために、これまでのイメージを脱して自分を進化させようとする姿がありました。

徳山投手は大阪桐蔭時代から生存競争が厳しい世界でやってきました。不調に陥って、ベンチ外の危機も味わいました。大阪桐蔭時代は気持ちの強さで勝ち取り、早稲田大では、今まで自分がやってきたことを捨てて、良いと思ったものに取り組める貪欲さがありました。今回の大化けにも、オフシーズン、今までない取り組み、考えでやってきたのではないでしょうか。

ただ変わらないのは物怖じせず投げている点です。普段はにこやかにしている徳山投手ですが、マウンドに立つと堂々と相手打者に立ち向かっています。小宮山監督の「あいつは腹が据わっている」という言葉を実感します。

このまま二軍暮らしだったら戦力外の危機もあったでしょう。チャンスを掴んだ徳山投手。これからも活躍し続け、ベイスターズの投手陣の中心でいることを期待しています。

*『主筆・河嶋宗一コラム グラカン!』は毎週日曜配信します。

夢を持って頑張ってほしいと語った徳山壮磨

<関連記事はこちら>
徳山壮磨(大阪桐蔭ー早稲田大学)「大阪桐蔭のエースへ。努力を継続した3年間」
大学3年右腕ではトップの徳山壮磨(早稲田大)をレベルアップさせたフォーム改造術

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この記事の執筆者: 河嶋 宗一

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