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熊本国府・坂井理人、山本由伸の「クイック投法」をマスターし、築く凡打の山<2024年のヒーロー候補たち⑧>

2023.12.18


粘り強い投球ー。今秋九州高校野球大会を初制覇した熊本国府(熊本)のエース、坂井 理人投手(2年)を見ていると、その言葉が浮かんでくる。剛速球があるわけでなく、歯が立たないほどの鋭い変化球があるわけでない。丁寧なピッチングで打者を打ち取り、凡打のヤマを築く。そうやって、チームを九州の頂点に導いた。

象徴的だったのは、九州大会決勝の明豊(大分)戦だろう。先発9回を投げて112球の6安打1失点完投。失点は失策がらみだったこともあり自責点は0と、九州を代表する強豪の明豊打線を封じ込めた。

フォームは独特だ。ノーワインドアップで構えると、ほとんど左足を上げることなく前に踏み出して投球動作に入る。坂井本人によると、山本 由伸投手(都城出身)を参考にしたという。山本ほど、左足がそのまま流れていくわけではないが、多くの投手のように左足をゆったりと上げる動作はない。このフォームで制球力が磨かれた。

最速135キロの直球と、スライダー、カーブを低めに集める。フォームが安定しているため、制球が乱れることが少ない。九州大会決勝では三振はわずか2だが、内野ゴロは実に15に及んだ。守りのいいバックを信頼して打ち取る投球ができている。

決勝は無四球完投だった。今秋の九州大会3試合と、初戦敗退に終わった明治神宮大会1試合の合計28.1回で、死球と暴投は0、四球もわずか4。与四球率は1.27と抜群の制球力を誇った。九州大会準々決勝の大分舞鶴(大分)戦の7回先頭打者に四球を与えて以降、九州大会決勝、明治神宮初戦と2試合15イニング連続で四死球を与えていないのは驚きに値する。

来年春のセンバツ出場が有力視される熊本国府。一冬越えてたくましくなった坂井が、制球力に磨きをかけて甲子園のマウンドに立つ日が楽しみだ。

熊本国府坂井 理人投手
【経歴】
172センチ、62キロ、右投げ右打ち
熊本市立三和中出身
【寸評】
最速135キロ右腕、多彩な変化球で打ち取る技巧派投手
【実績】
2年秋 熊本大会では完投1を含む全5試合に先発し、チームの5度目の優勝に貢献。九州大会では準決勝以外の3試合に先発。22.1回を投げて防御率2.01。明治神宮大会では初戦の関東一(東京)戦に先発し、6回3失点で敗戦投手に。

この記事の執筆者: 鎌田 光津希

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