甲子園に魅了された142キロ左腕 大学準硬式最後のマウンドで強気な投球を披露 さらなる成長にも貪欲「もっと上手くなりたい」
<第41回全日本大学9ブロック対抗準硬式野球大会:全九州選抜2-1全北海道選抜>◇18日◇予選リーグ◇マスカットスタジアム
18日から地区NO.1の称号をかけた「第41回全日本大学9ブロック対抗準硬式野球大会」が開幕。3ブロックに分かれた予選会が18日に行われ、マスカットスタジアムの第1試合は、九州選抜が2対1で北海道選抜に勝利した。
北海道選抜が初回に先制点を奪ったものの、6回に無死一、二塁から3番・藤村健吾外野手(長崎県立大=3年)の適時打で1点を返す。さらにその後、相手守備の乱れで勝ち越しの1点を奪って2対1。このリードで九州選抜が逃げ切って、決勝トーナメントに一歩前進した。
北海道選抜は決勝トーナメントへあとが無くなった形になった。だが投手力の高さは光っており、なかでも2番手で7回からマウンドに上がった松屋駿汰投手(北海学園大=3年)のストレートは光るものがあった。
最速142キロを計測するという速球派左腕。フォーム全体に力みをあまり感じさせないものの、ホームベース付近で加速しているとも錯覚するストレートで、右打者の胸元をえぐった。打球も詰まったような当たりが数多く見られた。
この投球こそ、松屋の1年間の成長だ。
2022年、初開催となるはずだった甲子園大会に選出され、歴史的瞬間を甲子園で過ごすはずだった。しかし当日の雨天でマウンドに立つどころか試合中止。「投げられなかったのは悲しかったですね」と悔いを残したが、収穫もある。
普段交流のない関東地区の選手たちと同じ時間を過ごして「自信をもってマウンドで投げる姿は参考になりました」と闘争心の大切さを肌で実感した。
トレーニングでも収穫があった。今まで取り組んでいたジャンプ系やメディシンボールを使った練習は、多くのチームでも取り組まれていたメニューだった。「自分の取り組んでいることは間違っていない」と再確認できたことで、より練習に熱を注いで取り組めるようになった。
おかげで体重は3キロ増加。球威が増したことはもちろん、軸足となる左足で地面を強く蹴れることで、より勢いづけて投げられるようになった。「166センチしかないので、ベース上での球の強さや速さは意識してきた」という松屋の取り組みは花開く。1年で142キロまで球速を伸ばし、全国大会ベスト8進出まで導いた。
先日の甲子園大会にもエキシビションマッチで呼ばれ、夢舞台を堪能した。同時に「もっと上手くなりたい」と野球への情熱に火がついた。
大学準硬式はこれで一区切りをつけて、これから就職活動が始めるが、クラブチームを模索する予定だという。甲子園に魅了され、さらなる成長に意欲が止まらない松屋のこれからを楽しみにしたい。
写真提供=北海道大学準硬式野球連盟