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明暗ハッキリ分かれた「初代」現役ドラフト組12人の「成績一覧」

2023.10.10


昨年オフ、プロ野球で初めて「現役ドラフト」が行われ、12選手が新天地へ移籍した。それから約1年。10月に入り、戦力外通告の季節が到来し、現役ドラフト組ですでに3人が戦力外通告を受けている。

ロッテからヤクルトに移籍した成田 翔投手(秋田商出身)、中日からDeNA移籍の笠原 祥太郎投手(新津出身)、そしてヤクルトからオリックスに移籍した渡邉 大樹外野手(専大松戸出身)。この3人は新天地で活躍することなく、球団のユニホームを脱ぐことになった。

成田は3試合の登板に終わり、笠原も2試合の登板(先発2)に終わった。渡邉は1試合の出場で2打席無安打1三振の記録が残っただけ。新天地にかけた思いは、残念ながら結果へと結びつかなかった。

逆に大きな戦力となったのは、ソフトバンクから阪神に移籍した大竹 耕太郎投手(済々黌出身)と、DeNAから中日に移籍した細川 成也外野手(明秀日立出身)の2人だろう。大竹はキャリアハイとなる21試合登板(21先発)、12勝、131.2投球回、防御率2.26をマークして、リーグ優勝に大きく貢献した。最高勝率タイトル条件の13勝はクリアできなかったが、12勝2敗、勝率.857は誇れる数字だ。

ソフトバンク時代、強力投手陣、とりわけ剛速球投手そろいのなか、クレバーな技巧派が持ち味の大竹は日の目を見ることがなかった。セ・リーグ移籍は、大竹にとっては大きな転機で、自分のスタイルにピッタリあったのだろう。球速がなくとも打ち取れる。制球力と配球で打者を打ち取るお手本の投球を披露した。

細川は打ちまくった。140試合に出場し、24本塁打、78打点、打率253。本塁打と打点はチームトップだった。49四球を選ぶなど出塁率もチームトップの.326を誇った。今季、リーグ最下位だった中日は打率、得点、本塁打、打点など多くの打撃成績がリーグワーストに沈んだなか、細川の存在は大きかった。環境が変わり、和田コーチとの出会いをきっかけに自分のスタイルを確立させ、日に日に和田コーチの現役時代を彷彿させるスイングになっていった。

戦力外通告を受けた3人とは対照的に、大竹と細川は大成功だった現役ドラフト。勝負の世界では明暗が分かれることが常とはいえ、その差は極端だった。戦力外を受けた選手以外でも、前所属チームよりも成績が下だった選手は多かった。来季以降に巻き返しをしたいところだろう。

今年は12月8日に第2回の現役ドラフトが実施される。今年はどんなドラマが待ち受けているのだろうか。

★2022年現役ドラフトで移籍した選手
【セ・リーグ】
ロッテ→ヤクルト ★成田 翔投手(秋田商出身)
3試合登板 0勝0敗 防御率5.40
3.1回、奪三振2、与四死球3、自責点2

中日→DeNA ★笠原 祥太郎投手(新津出身)
2試合登板 0勝2敗 防御率4.50
6回、奪三振5、与四死球7、自責点3

ソフトバンク→阪神 大竹 耕太郎投手(済々黌出身)
21試合登板 12勝2敗 防御率2.26
131.2回、奪三振82、与四死球15、自責点33

楽天→巨人 オコエ 瑠偉外野手(関東一出身)
41試合出場 打率.235(119打数28安打)
1盗塁、2本塁打、6打点

巨人→広島 戸根 千明投手(石見智翠館出身)
24試合登板 1勝0敗5ホールド 防御率4.64
21.1回、奪三振11、与四死球16、自責点11

DeNA→中日 細川 成也外野手(明秀日立出身)
140試合出場 打率.253(518打数131安打)
0盗塁、24本塁打、78打点

【パ・リーグ】
ヤクルト→オリックス ★渡邉 大樹外野手(専大松戸出身)
1試合出場 打率.000(2打数0安打)
0盗塁、0本塁打、0打点

日本ハム→ソフトバンク 古川 侑利投手(有田工出身)
9試合登板 0勝0敗0ホールド 防御率4.50
10回、奪三振11、与四死球1、自責点5

阪神→西武 陽川 尚将内野手(金光大阪出身)
9試合出場 打率.167(24打数4安打)
0盗塁、1本塁打、1打点

広島→楽天 正随 優弥外野手(大阪桐蔭出身)
1試合出場 打率.000(1打数0安打)
0盗塁、0本塁打、0打点

オリックス→ロッテ 大下 誠一郎内野手(白鷗大足利出身)
23試合出場 打率.227(22打数5安打)
0盗塁、1本塁打、2打点

西武→日本ハム 松岡 洸希投手(桶川西出身)
1軍登板なし
(※★は戦力外通告)

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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