試合レポート

【愛知】準々決勝 東邦 vs 豊川

2023.09.23

豊川の鈴木投手が、粘りの投球で東邦打線を抑えてベスト4

<第76回愛知県高校野球選手権大会:豊川3-1東邦>◇23日◇準々決勝◇岡崎レッドダイヤモンドスタジアム

昨秋の優勝校で、東海大会も制して甲子園出場を果たした東邦。夏は4回戦で星城に敗れてしまったが、この秋も、有力校の1つに挙げられている。県大会の初戦は栄徳、3回戦は至学館といずれも私学の中堅以上の実力校を危なげなく下してのベスト8進出となっている。

豊川は東三河地区を1位校として通過し、第1シード校となった。初戦では名古屋に快勝し、3回戦でも西三河の実績のある有力校の1つ、西尾東を下してのベスト8進出を果たしている。

この秋のチームは、試合で投げられる投手は7人を用意しているという東邦。投手陣の層の厚さでは、県内でも屈指と言っていいであろう。そんな中で、大事な準々決勝はやはり1番をつけた杉浦 成海投手(2年)が先発した。対する豊川は、背番号11だが長谷川 裕記監督が、「何がいいというワケではないけれども、不思議と上手に抑えていってくれる」という鈴木 爽太投手(2年)が先発。

結果的には、序盤の攻防の明暗がそのまま、勝負を決してしまったという形になった。

初回、東邦の攻撃は3者凡退であっさりと終える。そしてその裏、豊川は1死から高橋 賢捕手(2年)が四球を選ぶと、3番注目のモイセエフ ニキータ外野手(2年)の打球は右翼手を強烈に襲い二塁打となって二、三塁。これで、東邦の杉浦は慎重になりすぎたか、制球がまとまり切らず連続四球で押し出し。さらに、2死となっても、山本 羚王外野手(2年)に対してまたもストレートの四球となってしまった。豊川は結局、初回には1安打のみで合計4四球で2押し出しの2点を貰った形となった。

さらに、2回にも豊川は2死走者なしから2番・高橋が中前安打を放って出塁すると、続くモイセエフが右翼線へ三塁打を放って3点目を奪った。こうして、序盤に豊川が、モイセエフの2本の長打と四球で3点を奪った。

何とか早い回で少しでも差を詰めていきたい東邦だったが、2回、3回、5回と安打は出るものの、鈴木の粘り強い投球に抑えられていた。

東邦のマウンドは継投となり、3回からは片山 恭投手(2年)、さらには5、6回は左腕・宇佐美 敦斗投手(2年)が3人ずつに抑えるなどして、流れを徐々に取り戻しつつあった。

しかしながら、打線がなかなか鈴木を攻略しきれないでいた。6回になってやっと、先頭の高柳 大治捕手(2年)が左越え二塁打を放つとバントで進み、1死三塁から内野ゴロの間に生還した。とはいえ、豊川としてはこの失点は一番大丈夫な形の失点の仕方だったと言っていいであろう。

終盤に入っても、東邦は7回に代打・林 里樹外野手(2年)が二塁打を放ち、8回も1死から連打が出たものの、そこから先を攻略しきれないでいた。こうして、最後まで鈴木の粘りの投球の術中にはまった形になって、ホームまで進めることができなかった。

豊川の長谷川監督は、「名古屋の私学4強ということでいえば、自分自身が監督就任してから、東邦にだけは勝てていなかったので、前日のミーティングから選手たちには、そのことも伝えて、何とか東邦に勝ちたいという意識を高めていきました。ここで、ベスト4進出も果たせて、1つ階段を昇れたかなとは思います」と、この勝利を喜んでいた。そして、鈴木に関しては、「まとまり切れないところで、腕だけはしっかりと振って行けという指示でしたが、強い思いで投げてくれたと思います」と、評価していた。

その鈴木は、「自分の球はクセ球なので、腕を振っていくことで効果が出ると思います。球速はないですけれども、思い切って内側を攻めていく投球を心がけました。9回は、ちょっと勝ちを意識して安打、死球でピンチを作ってしまいましたが、自分の生命線はインコースへの投球だと思っているので、それができてよかった」と、自信の投球を振り返っていた。

また、この日3安打のモイセエフは、「自分としては、本塁打というよりも間を抜いていく打球を打っていくタイプだと思っています。今日はいいところで打ててよかった」と喜んでいた。

敗れた東邦の山田祐輔監督は、「力不足ですね」と開口一番に一言。そして、「初回は、メンタルの弱さが出てしまってこういう結果になってしまいました。こうした接戦の場面で、しっかりと投げられる強さをもっていかないといけない。打線も大事なところであと一本を出せなかった。この冬は、もう一度メンバーも見直しながら競争でポジションをつかんでいっていくようにしたい」と、課題の見えた敗戦で、この先の目標も見据えていた。

取材=手束 仁

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