試合レポート

県立浦和vs浦和西

2023.07.15


進学校同士の対決は浦和が最終回逆転で競り勝つ!

 

<第105回全国高校野球選手権埼玉大会:県立浦和5-3浦和西>◇13日◇2回戦◇UDトラックス上尾スタジアム

曇天で過ごしやすい一日となった上尾市民球場の第1試合は県立浦和 vs 浦和西という進学校対決となった。

先発は県立浦和荒川 拓磨投手(3年)、浦和西董 明泉投手(3年)と両エースが登板し試合が始まる。

県立浦和は初回、浦和西・董の立ち上がりを攻め、先頭の亀井 真拓外野手(3年)が初球を捉え右中間へ三塁打を放ち無死三塁とするが、後続が倒れ無得点に終わる。

県立浦和は2回にも1死から6番・塚田 脩世外野手(3年)が四球を選び出塁すると、続く鶴井 達人内野手(2年)が左前安打を放ち1死一、三塁とチャンスを広げる。さらに一走・鶴井はすぐさま二盗を決め1死二、三塁とチャンスを広げるが、後続が連続三振に倒れ、またしても無得点に終わる。

何とか先制したい県立浦和は3回、三度目のチャンスを作る。

1死から2番・井原 佑輔内野手(2年)が四球を選び出塁すると、すぐさま二盗を決める。さらに続く関根 彰太内野手(3年)も死球で出塁し1死一、二塁とすると、2死後相手の捕逸でそれぞれ進塁し2死二、三塁とチャンスを広げる。ここで、5番・河原 琉樹内野手(3年)が右翼線へ適時二塁打を放ち2点を先制する。

その後は両投手の好投もあり、試合は2対0のままゲーム終盤へと進む。

迎えた7回、浦和西はこの回先頭の酒井 志眞内野手(3年)が三ゴロが相手エラーを呼び出塁すると、続く董の犠打が相手の野選となり、無死一、二塁とする。さらに、6番・高野 恵伍内野手(2年)の犠打が内野安打となり無死満塁と絶好の逆転機を迎える。だが、1死後、8番・大島 宗悟外野手(1年)のところで浦和西ベンチはスクイズのサインを出すが、大島はバットを引き三走・酒井が挟殺、その後大島も凡退し無得点で終わる。

それでも浦和西は8回、1死から1番・新井 和晃外野手(3年)が中前安打を放ち出塁すると、続く今井 泉内野手(2年)も右前安打を放ち1死一、二塁とする。さらに暴投でそれぞれ進塁し1死二、三塁とすると、3番・渡邊 礼於捕手(3年)が左前へ適時二塁打を放ち1点を返す。

一方、県立浦和ベンチはここで荒川を諦め、吉田 典悟投手(3年)へスイッチするが、浦和西は吉田典の代わり端を攻め、4番・酒井が中前2点適時打を放ち3対2とついに逆転に成功する。

「もうダメかと思った。変化球がこの日使い物にならないくらい悪くて。打撃には自信があるので絶対打ってやる」(吉田典)

このままでは終われない県立浦和は最終回、この回先頭の吉田典が右翼線へ二塁打を放ち意地を見せると、さらに続く吉田 啓明内野手(3年)の犠打が内野安打となり無死一、三塁と絶好の逆転機を迎える。ここで1番・亀井が左翼へ犠飛を放ち同点とすると、さらに続く井原が四球を選び1死一、二塁とする。3番・関根を迎えたところで県立浦和ベンチは土壇場でダブルスチールを仕掛ける。これが決まり1死二、三塁とチャンスが広がる。さらにここで、暴投により三走・吉田啓だけでなく一気に二走・井原も本塁生還し5対3と再逆転に成功する。

結局、県立浦和浦和西に5対3で競り勝ち3回戦へ駒を進めた。

県立浦和はエース荒川が9奪三振と好投。打線も2点を取ってから、なかなか繋がらなかったが、最終回は足を使い見事な逆転劇であった。「苦しい中よく粘ってくれた。選手達に聞いてください」と、藁谷監督も労う。ただし、次の相手が強豪・叡明だ。投手陣が前の試合で完封している左腕・達 富絢投手(2年)を含め、束になり立ち向かう必要がある。

一方の浦和西は、「彼は今春、疲労骨折で投げられず、何とかこの大会に間に合った状態だが、この日これまでのベストピッチを披露してくれた」(秋山監督)

「ベストピッチです。直球が伸びてて変化球も通用して」(董)と、秋山監督、董投手共に同じ評価。とにかくエース董は良く投げた。だが、「最終回ダブルスチールは想定外でした。決勝点のシーンは引っ掛かってしまってキャッチャーに申し訳なかった」(董)と、反省も忘れない。3年生が4人のみであったが、その4人が全て同じ中学出身、6年間苦楽を共にした仲間である。決して示し合わせて入学したわけではないが、「人数が少ない分、仲も良いし信頼感はある。エラーとかも気にしない」(董)と、強い絆で結ばれている。選手達はどこか出し切った表情をしていて晴々としていた。

「展開は狙い通りだったんですが、ダブルスチールをあの最終盤でやってくるとは。次は自分達がああいうことをできるように。そういう意味で学びはあった」

チーム構成として部員は、ほぼ1、2年生であるだけに秋山監督も最後に秋以降の巻き返しを誓った。

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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