蒲郡vs名古屋市立工
8回に追いついた蒲郡が、タイブレークの末、名古屋市工を下す
<第105回全国高校野球選手権愛知大会:蒲郡6ー4名古屋市工(延長10回タイブレーク)>◇16日◇3回戦◇刈谷
この日から3回戦となる愛知大会。全国最多の173チームが参加した大会だったが、既に64チームに絞られてしまっている。ここから、3つ勝ってまずはベスト8を目指していくという戦いになる。
名古屋市工は幸田を下し、2回戦では丹羽との接戦を制しての3回戦進出。2回戦からの蒲郡は緑丘・東海学園・春日井泉の3校連合に快勝して進出してきた。
5回までは1安打のみに抑えられていた蒲郡。その間に名古屋市工は3回に加藤 竜士外野手(2年)、中島 央晴捕手(3年)の長短打でチャンスを作り、内野ゴロの間に先制。さらに、5回にも二塁打の佐藤 慎外野手(3年)をバントで進めると、犠飛で2点目を奪った。
グラウンド整備後の6回、流れを変えたい蒲郡は、1死後、代打・安藤 龍成(3年)が内野安打で出ると、失策で一、二塁となる。2死となった後、山出 益来内野手(2年)の強い打球は送球ミスを誘い1点を返した。そして8回には四球とバント、1番・伊藤 廉内野手(3年)の安打で1死一、三塁。セーフティースクイズは本塁アウトとなり好機を潰したかに思われた。ところが、3番・山出が一、二塁間を破って、二走をかえしてついに同点とした。名古屋市工は、これで先発・伊藤 渉太投手(3年)が降板。2人目の犬飼 凌聖投手(3年)となった。
また、蒲郡のマウンドも、先発の酒井 悠輝投手(3年)が5回を投げて外野へ回り、6回からは山中 陸投手(2年)がリリーフ。さらに、7回1死後、3人目の左腕・荒島 幸太朗投手(2年)が2人を抑えて、8回からは4人目として右サイドの安藤 龍成投手(3年)が登板。8、9回をしっかりと抑えた。
感心させられるのは、こうして起用された投手が、ことごとくそれぞれの任務をきっちりと果たして抑えていったことである。大谷卓司監督は、「みんな真面目によく練習する子たちです」と目を細めるが、その成果を示している証といってもいいであろう。
こうして試合はタイブレークに入っていった。
9番からの蒲郡は送りバントに失敗。しかし、1番・伊藤がしぶとく三遊間を破って、二塁走者が生還してまず1点。さらに、今度はバントを成功させて2死二、三塁。そして3番・山出。「朝早くからきて自分で練習したり、夜も納得までよく練習していて、信頼できる打者」と大谷監督が評価しているが、その言葉通り、この大事な場面に右越え二塁打で2点を追加。さらに、続く 原田 虎俐栖外野手(3年)も右越え三塁打を放ちタイブレークの10回、先攻として4点を奪った。やはり、これは大きい。
その裏の名古屋市工は1番からだったが、死球で無死満塁とする。そこから2本の犠飛で2点を返すものの、そこまで。4点はあまりにも重かった。名古屋市工の宮崎武幸監督は、「タイブレークは後攻が有利かなと思っていたのですが…。ああいう形になってしまったら仕方ないです。それよりも、自分たちの流れで試合ができていたのだから、大事なところでの守りのミスが痛かった。先発の伊藤はよく投げたと思います。また、チームの作り直しです」と、秋へ向けての気持ちを作っていっていた。
蒲郡の大谷監督は、「前半は、相手のペースで打線も的を絞れず苦しかったけれども、後半から割り切って絞り球を変化球に決めていって振っていったのがよかった。継投は、いつもこんな感じでやっていますから、予定通りでした。この代の子たちは、本当によく練習をするので、いい結果を残させてあげたい」と、選手たちを称えながら先を見据えていた。
蒲郡の大先輩となるメッツ・千賀 滉大投手がメジャーで結果を残してきているだけに、チームとしても、そんな大先輩にあやかりたいところである。
取材=手束 仁