刈谷が終盤に大量得点を奪って、西尾に大勝
初回に先制のホームインをする刈谷の先頭打者・柴田君
<第148回中日旗争奪全三河高校野球大会:刈谷11-2西尾>◇28日◇準決勝◇刈谷市営
前日の準々決勝では、東三河の強豪で、今大会も優勝候補の筆頭かと思われた豊川に、9回に1点を奪って、その1点を守り切って勝利した西尾。春季県大会では、初戦は豊明に快勝したものの、2回戦では同じ東三河の愛知桜丘にコールド負けしてしまった。しかし、その後にチームの調子も上がってきているということで、田川誠監督も、夏の選手権を前に、この大会で大きく弾みをつけていかれればという思いだったようだ。
刈谷も、前日は豊田工科に4点を先行されながらもじわじわと返していき、最終的には10対7で勝利して、地力のあるところを示している。
そんな西三河地区で勢いのある公立進学校同士の対決でもある。さらには、刈谷は重野 颯吾投手(3年)、西尾は神谷 峻希投手(3年)と西三河で注目の投手の先発で、とても興味深いものとなった。
刈谷は、先頭の柴田 陽生内野手(2年)がいきなり右越え三塁打して揺さぶると、暴投であっさり先制点を奪った。さらに、慎重になった西尾の神谷は少し慎重になりすぎたか、刈谷の打者がファウルで粘るなどもしており、制球がまとまり切らず3四球で2死満塁としてしまう。ここで、死球を与えてしまい押し出しとなり、刈谷の初回に2点が入った。神谷は、いきなりの三塁打を浴びてちょっと刈谷打線を意識して警戒しすぎたところもあったのかもしれない。
3回にも刈谷は飛球失策で出た走者を三塁へ進めると、重野自らが三遊間を破る安打でかえして3点目。なおも、四球と8番・青木 誇太朗内野手(3年)の右前打などで満塁として、9番・大見 啓治朗内野手(3年)の右犠飛でもう1点追加した。
4対0となって、重野もやや余裕のある投球となっていたが、6イニングを投げて被安打1でほぼ完璧に西尾打線を抑えていた。
そして7回から、重野を外野に下げて、2人目として川添 翼投手(2年)を投入した。刈谷の森藤秀幸監督は「この大会では、夏の大会のことを考えれば、重野に続く投手を連れだけ育てられて行けるのかということで1、2回戦は戦ってきました。それで勝ててはいたのですが、点も取られていましたから、必ずしも成功しているとは言えません」と言うように、この交代のタイミングで西尾は3連打などで2点を返して試合はもつれていった。
しかし、ここで負けたのでは意味がないということで森藤監督は再び重野をマウンドに戻して、何とかその後を凌ぎ切る。
そして8回、9回には西尾の3人目木村 隼人投手(3年)、4人目小笠原 健投手(2年)に対して、鋭いスイングで襲い掛かって、柴田の二塁打、丹野 蒼太外野手(3年)の三塁打など長打も飛び出して3点、4点と奪っていった。このあたりの畳みかけていく力は、今年の刈谷の集中力の高さといってもいいであろう。
それでも、森藤監督は、「まだ徹底させていかなくてはならないことがやり切れていない。これから1カ月、そのあたりを徹底していきながらチームの底上げをしていきたい。それに、ケガ人もいるのでその回復もどうなっているところです」と、満足はしていなかった。
西尾の田川監督は、「連投になりましたが、神谷は自分から先発で行かせてくれということだったので、起用しました。前日の疲れも多少はあったのかもしれませんが、記録は安打となっていたとしても、守りでまずいプレーが出てしまったのが痛かった」と初回の失点を悔やんだ。それでも、2人目として登板して4~7回を2安打無失点に抑えた松田 琉京投手(3年)に関しては「十分に使える目安はできたと思う」と、その成長を評価していた。
結果的には、思わぬ大差になってしまったが、それぞれが来たるべき夏へ向けて、あと1カ月と少々。いずれのチームも、それぞれの課題を整理しつつ取り組んでいきながら夏本番を迎えることになる。
(取材=手束 仁)