試合レポート

昌平vs浦和学院

2023.05.05

昌平が秋に続き浦和学院を破り春は初優勝!

昌平vs浦和学院 | 高校野球ドットコム
優勝した昌平

<春季高校野球埼玉大会:昌平6-2浦和学院>◇4日◇決勝◇県営大宮

 この日の県営大宮球場の最高気温は27度、初夏のような日差しの中迎えた決勝戦は昌平vs浦和学院という、ともにAシード・優勝候補同士の一戦、ちなみに秋は昌平が勝利したが今回はどうか。

 先発は浦和学院がエース左腕の伊藤 充輝投手(3年)、一方の昌平は最速142キロの2年生右腕・佐藤 立羽投手が登板し試合が始まる。

 先制したのは昌平であった。

 昌平は初回、浦和学院・伊藤の立ち上がりを攻め、先頭の甲斐 陸斗外野手(3年)が左前安打を放ち出塁すると、続く金子 晄也内野手(3年)が右前安打を放ち無死一、三塁とする。1死後一走・金子が二盗を決めると、この日4番に座った山根 大翔内野手(2年)が右前適時打を放ちまず1点。さらに続く菅沼 航平外野手(3年)のところで昌平ベンチはダブルスチールを仕掛ける。これが見事に決まりオールセーフ(その後一走・山根はアウトと勘違いして離塁しアウト)と昌平は幸先良く2点を先制する。

 昌平は3回にも、1死から1番・甲斐が右前安打を放ち出塁すると、続く金子も右前安打を放ち1死一、三塁とする。ここで、この日3番に座った齋藤 陽貴捕手(3年)が中越えの2点適時二塁打を放つ。浦和学院ベンチはここで伊藤を諦め、渡邉 聡之介投手(3年)へスイッチする。

 だが、昌平はその後も攻撃の手を緩めず、渡邉の代わり端を攻め2死後、5番・菅沼が中前安打を放ち2死一、三塁とチャンスを広げると、続く櫻井 ユウヤ内野手(1年)が左越えの2点適時二塁打を放ち6点差をつける。

 一方、浦和学院の反撃は6回、1死から2番・月山 隼平内野手(2年)が左越えソロを放ち1点を返す。

 浦和学院は8回にも、7回からマウンドに上がった昌平のエース左腕・渡邊 俊輔投手(3年)に対し、この回先頭の小栗 透和(3年)が左翼線へ二塁打を放つと、1死後2番・月山が犠飛を放ち2対6とするが反撃もここまで。

 結局、昌平は6対2で昨秋に続き浦和学院を破り、春・初優勝と夏の第1シードを獲得した。

 まずは浦和学院だが、この日は昌平・佐藤立の直球に刺される場面が多く、序盤での点差も相まって後手後手に回ってしまった。夏を見据え、伊藤を隠す選択肢もある中、選手達の現状を把握するため、あえて伊藤で行ったことが想定される。

 森監督は「全力で行ったが跳ね返されてしまった。この悔しさを受け止め、夏までの2ヶ月をどう過ごすか」と話し、月山は「左が来ると思っていた。佐藤立にはストレートに張って入っていたんですが、秋も同じ相手に負けてしまって。夏は3年生と一緒に甲子園に行けるように」と、監督・選手ともにリベンジを誓った。いずれにせよ、まずは関東大会であろう。埼玉2位ということで、プロ注目・平野 大地(3年)を擁する千葉1位・専大松戸と対戦するがこの悔しさをぶつけることができるか。

 一方の昌平だが、この日は佐藤立の好投に尽きるであろう。

「元々は佐藤立を4、5回で、その後石井 晴翔投手(2年)、佐藤 勇心投手(3年)、渡邊俊と繋ぐ形を考えていたんですが、佐藤立が良く粘ってくれた。佐藤立は今大会状態も良かったので、齋藤と相談し決勝は先発で行こうと。彼はスピードボールを持ってますし、ストレートを走者を背負ってからのピッチングに課題があったんですが、今日は走者を出しても自分のペースを守ってくれました。右に対してはインコースを多め、4、5番に関しては外多めがうまくいった。打線は今大会これまでチグハグで、3番が固まらなかったので、齋藤を3番に上げ、金子と齋藤を続けることで打線が生きた」(黒坂監督)

 齋藤は期待の高さもあり、佐藤立に事ある毎に厳しく接してきた。齋藤に厳しくも愛のある言葉をかけられ、佐藤立本人もなにくそと取り組んできた結果、この日の好投が生まれた。

 「スピードを追い求める時期もありましたが、今は制球力を意識している。これまでコースも高さも少しギリギリを狙い過ぎているとコーチに言われ、高さは間違ってもボールになるのでコースだけは間違えないようにという意識になりました」(佐藤立)と、現状を語る。

 昨秋の正智深谷戦で一時5点のリードもピンチを招き一気に同点に追いつかれてしまった苦い過去を払拭。この日は走者を出しても最後まで落ち着いた投球を披露するなど、成長の跡が窺える。佐藤立が一本立ちしたことは大きい。夏へ向け昌平にとっても投手陣の最後の大きなピースがハマった形であろう。埼玉1位ということで関東大会は栃木の2位・文星芸大附との対戦が決まっている。昨秋はやや消化不良な形で終わってしまった昌平。今大会で爆発することができるか。

 現状今年の埼玉はやや昌平がリードも混戦。選手個人では、どのチームも下級生に好素材の選手が多い。その状況は今春も変わらない。3年生でいうと、昌平・金子、齋藤、西武台金田 幸大内野手、狭山ヶ丘加藤 健太投手、狭山清稜・八巻 弓真投手、見方 駿平捕手、深谷商鈴木 百太投手などか。2年生にも昌平石井 晴翔投手、佐藤立、山根、浦和学院三井 雄心内野手、花咲徳栄石塚 裕惺内野手、大宮東冨士 大和投手、上尾飯島 恒太投手、山村学園西川 歩投手など既に現状でチームの中心となっている選手が多い。

 昌平の優勝で幕を閉じた今大会、全体的に見ると夏のシードは北部が3校、南部が7校、西部が3校、東部が3校となり引き続き南部が優勢だ。夏はどういう状況になるのか。北部、西部、東部が盛り返すか。いよいよ、コロナ禍の制限もなくなりつつあり、ブラスバンドや応援団も戻ってきている。いつもの夏が戻ってくるのではなかろうか。

(取材=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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