まさかの代表選出0人、1988年世代のキャリアを考察
リーグワーストの敗戦数を記録した田中将大
田中将大
1988年世代の実績から見ると、最高の投手といえば楽天・田中 将大投手(駒大苫小牧出身)だろう。昨シーズンから日本球界に復帰したが、残念ながら2年連続で勝利数よりも敗戦数が上回る結果になった。この成績は、2013年までの田中では、考えられない結果だろう。
日本球界に復帰する前の時点で、代名詞だったスプリットの質が下降気味だったが、それでもなお田中の投球術のレベルは高かった。2013年までに見られた力で押せるピッチングこそ難しいかもしれないが、自身が持っている球を上手く操る能力や、それを最大限に生かすクレバーさは見受けられた。
球速の数値上は問題なさそうだが、全盛期ほどの球威や強度がないため、悪くいえば小手先でかわしてまとめるピッチングが目立っている。そのため、シーズン序盤こそは抑えられるものの、打者の調子が上がってくる時期は打ち込まれる場面が見受けられた。
キャリアで日米通算200勝は、高い確率で達成される見込みではあるが、かつて日本球界に復帰して広島を優勝に導いた黒田博樹投手(上宮出身)のような、奮起させる雰囲気は感じられないままだ。田中自身、かつては本調子ではなくても、チームを乗らせるような形で、勝利を引き寄せるピッチングをしていたが、それも日本に復帰後は見受けられない。
今シーズンは背水の陣で臨むが、持ち前のクレバーさを生かしたピッチングで、復活が期待される。
代表を辞退し、復活が期待される柳田悠岐、坂本勇人
年齢的な衰えがあり、昨年のソフトバンク・柳田 悠岐外野手(広島商出身)は規定到達を達成したシーズンでは、多くの部門でワーストの成績に終わった。しかし、シーズンの長打率がリーグ3位を記録した点は流石だ。クライマックスシリーズの西武戦で見られたここ一番の強さを見るとまだまだ老け込むのが早いため、今シーズンは3割30本塁打到達に期待していきたい。
巨人・坂本 勇人内野手(光星学院出身)に関しても、レギュラー定着後のキャリアでは、ふがいないシーズンになった。特に打撃は、本塁打と打点が目に見える形で、キャリアワーストの結果に終わった。また、キャリアで最多となる3度の離脱があった。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の辞退も含め、勝負のシーズンになることは間違いない。
打撃型捕手で売り出していたが苦しんだ會澤翼
會澤翼
広島の會澤 翼捕手(水戸短大付出身)は、昨年打率.207、3本塁打、33打点に終わり、衰えが見え始めたシーズンだった。守備の面を見ても、シーズン序盤はほとんどフリーパスの状態だったため、正捕手にしていくとなると不安が残るシーズンだった。今シーズンで3年契約が終わるが、来シーズンは非常に厳しい争いになるだろう。打力がある坂倉 将吾捕手(日大三出身)の捕手一本化の再挑戦や、石原 貴規捕手(創志学園出身)が来シーズン一気に飛躍するとなると、會澤はレギュラーとして不動の位置にいられるとは言い難い状況になるだろう。
そんな中で奮起した大野雄大・増田達至・石山泰稚・宮崎敏郎
中日の大野 雄大投手(京都外大西出身)は、昨シーズン2ケタ勝利こそはならなかったものの防御率2.46を記録。キャリア全体を見ても、2017〜2018年こそ成績を落としたが、その後は復活を遂げて、2019年からは安定したピッチングをしており、2020年には沢村賞を獲得した。
西武の増田 達至投手(柳学園出身)もシーズンによって波はあるものの、昨シーズンはクローザーとして復活してリーグ2位の31セーブを記録した。前半戦は防御率1点台を維持する活躍を見せて、リーグトップの防御率を誇る投手陣を支えた。特にリリーフ陣に関しては、チーム全体で防御率2.31を記録。ただ増田自身、7月以降は打ち込まれていたこともあり、今シーズンは増田の勤続疲労や年齢的な点から見られる体力面の課題を、チーム全体で改善できるかが鍵である。
ヤクルトの石山 泰稚投手(金足農出身)は、昨シーズン防御率1.75を記録。さらに、被本塁打0の成績を残した。ヤクルトに関しては、30試合登板以上の投手は9選手いる層の厚いリリーフ陣を生かして、無理のない運用でリーグ2連覇を飾った。
DeNAの宮﨑 敏郎内野手(厳木高出身)は、3年連続となる3割を記録した。さらに、通算1000本安打を達成した。年齢を重ねても速球など強い球に負けない打撃をし続けるなど、各シーズン安定した活躍をしている。そのため、チームとしても計算できる選手ではないだろうか。今シーズンも、安定した活躍に期待していきたい。
(記事=ゴジキ)