試合レポート

英明vs山梨学院

2022.11.18

尾中の走者一掃の三塁打で逆転の英明 山梨学院の追撃かわし神宮大会初勝利

英明vs山梨学院 | 高校野球ドットコム
走者一掃タイムリー放った英明7番・尾中 亮太

<第53回明治神宮野球大会:英明10-7山梨学院>◇18日◇高校の部・1回戦◇神宮

 関東大会を制し、明治神宮野球大会初出場の山梨学院(山梨)と、四国大会を制し2回目出場の英明(香川)の一戦。まず試合の主導権を握ったのは山梨学院であった。山梨学院の先発・林 謙吾投手(2年)は、1回表をたった3球で終える快調な滑り出し。制球が良く、序盤は英明打線をテンポよく打ち取った。

 英明の先発、横手投げの下村 健太郎投手(2年)は120キロほどの球を軸に緩急をつけて相手のタイミングを外す投球。しかし2回裏、山梨学院は2死二塁から7番・徳弘 太陽外野手(2年)の中前安打で1点を先制する。さらに4回裏は6番・大森 燦内野手(2年)、7番・徳弘の連打に犠打などで2死二、三塁とし、1番・進藤 天内野手(2年)の中前安打で2点を追加。牽制の暴投で進藤が二塁に進んだところで、英明は投手を中堅手としてスタメン出場した寿賀 弘都外野手(2年)に交代したが、2番・星野 泰輝外野手(2年)の右前安打でさらに1点を追加した。

 山梨学院は今年の春夏の甲子園で1点ずつしか取れていない。「全国大会で点が入らないことに重いものがありました」と語る吉田洸二監督にとっても前向きな展開になった。

 ただ5回が終わりグラウンド整備で間が空いた後、試合の流れが変わる。「全国大会に浮足立っていましたが、段々落ち着いてきました」と英明の香川純平監督は言う。そして6回表の猛攻が始まる。

 口火を切ったのは代打・高木 司外野手(1年)の右前安打だった。1番・鈴木 昊内野手(1年)が中前安打で続き、3番・百々 愛輝外野手(1年)の二塁打で2人が生還する。4番・寿賀も中前安打を放ち、6番・高松 宏季外野手(2年)が四球で2死満塁。2死ではあるが、制球が良かった山梨学院の林が初めて与えた四球だけに、山梨学院としては流れが良くない。ここで英明の7番・尾中 亮太内野手(2年)が走者一掃の三塁打を放ち、英明が一気に逆転した。「打ったのはスライダーです。後ろにつなぐつもりで打ちました」と尾中は言う。尾中も8番・平見 歩舞内野手(1年)の二塁打で生還し、リードを2点に広げる。

 その後、両チーム1点ずつを加えて迎えた9回表、英明は7回から登板している山梨学院の星野から3番・百々の中前適時打で1点を追加。4番・寿賀が四球で出塁し、5番・中浦 浩志朗捕手(2年)の右前安打で1点。さらに捕逸で1点が加わりこの回3点が入る。結果論として言えば、この3点が大きかった。

 その裏、山梨学院は、2番・星野の本塁打で1点を返す。9回になると、英明の2番手として登板している寿賀に力みを感じるようになる。山梨学院の3番・岳原 陵河外野手(2年)の三塁打に4番・高橋 海翔内野手(2年)の内野安打でさらに1点を返す。5番・佐中 大輝捕手(2年)に四球を与えたところで、英明は中堅手の百々をマウンドに送る。

 急遽の登板に百々の投球もやや荒れ気味であったが、6番・大森のバックネットまで届きそうなファウルを、英明の捕手・中浦が好捕。このファインプレーも大きかった。7番・徳弘は四球で満塁。途中出場の8番・二村 仁功外野手(1年)の三ゴロで、三塁ベースタッチと本塁への送球で併殺となり、10対7で英明が逃げ切り、明治神宮野球大会で初勝利を挙げた。

 山梨学院としては、先発の林が「スタミナ不足でした」と言うように、中盤からの息切れに課題は残った。それでも最後は反撃して終わったことは、今後に向けて、プラスの効果があるはずだ。

 勝った英明は中盤から集中力は見事であった。1試合を戦って落ち着いた2回戦以降は、序盤からどれだけ落ち着いた試合ができるか。2回戦は北信越代表で初出場の北陸(福井)との対戦になる。

(記事=大島 裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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