試合レポート

享栄vs犬山

2022.09.11

享栄、初回に4点奪うも犬山が善戦、その後は苦しんでの初戦突破

享栄vs犬山 | 高校野球ドットコム
先制二塁打を放った享栄・高田君

<秋季愛知高校野球大会:享栄6-0犬山>◇10日◇1回戦◇豊橋市民

 昨秋の県大会の優勝校で、この夏もベスト4進出を果たしている享栄。この秋は名古屋地区決勝トーナメントで甲子園帰りの愛工大名電に完敗して、その後は練習試合でもなかなか勝ちがなかったという。とは言うものの、選手層は厚く、当然、秋の連覇を狙いたいところでもあり、優勝候補の一角と言っていい存在だ。

 その享栄に対して、尾張地区予選では、敗者戦から浮上してきた犬山が、どこまで食い下がっていけるのかというところが見どころでもあった。犬山は、総勢15人だが、シートノックの段階からチームとしてのまとまりの良さは十分に感じさせてくれた。

 享栄は初回、四球と盗塁、バントで1死三塁を作ると3番高田 洸希外野手(2年)が右越え二塁打して先制。2死後、磯部 祐吉内野手(2年)、西久保 颯捕手(1年)、山田 陸内野手(1年)の3連打に四球、9番杉本 純也内野手(1年)の左前打など5安打で4点を奪った。犬山の右サイド竹田 蓮投手(1年)は、何とかかわそうとしたが、なかなか封じきれなかった。この勢いだと、享栄が早いイニングでのコールドゲームにしてしまうのではないかと思われた。

 ところが、2回からは犬山の竹田が上手に打たせて取って2回を3人で終わらせ3回から6回も、ピンチもあったが何とか凌いでいった。タイミングを外すスローボールが低めに決まって、それを引っ掛けさせるという投球が効果的だった。

 ただ、犬山打線は、享栄中井創友投手(2年)に対して、初回こそ2死からの連打でチャンスを作ったものの、もう一つ攻めきれなかった。

 初回の4点以降、いささか歯がゆい状態でもあった享栄の攻撃だった。それでも7回、4番田口 敦登内野手(2年)が相手失策で二塁まで進むと、磯部のバントが安打になって一、三塁。西久保が右前へ落して三塁走者をかえし、なおも一、三塁。山田は内野ゴロ併殺となったが、その間に代走の馬橋良汰(1年)がホームインして6点目を奪った。しかし、その後は竹田が抑えた。

 8回も1死三塁となったが、安井 佑騎監督は2者連続申告敬遠で塁を埋める作戦。1死満塁で4番勝負となったが竹田はしっかり打ち取り、続く打者も抑えてコールドを逃れたのは評価されていいであろう。強豪校に対戦する公立校としては、「コールドゲームで負けない」ということも一つの目標にもなる。コールドの危機を凌いでいくことで、チームとしても少しずつでも力をつけていかれるということであろう。そういう点では犬山の来春以降の成長度にも期待したい。

 攻撃スタイルとしても、犬山は得点にはならなかったものの、7安打を放ち、初回と7回には一、三塁から重盗を仕掛けるなどして揺さぶって、食い下がろうとした。しかし、さすがに享栄の守りはしっかりしていて、慌てることなくしっかりと刺したのは見事だった。

 初回の4点以降は、やや尻すぼみ状態となってしまった享栄。大藤 敏行監督も、さすがに歯がゆさを感じていたようだ。「大事なところで攻めきれずに得点を取り切れないし、コーチャーの判断ミスなど、記録には表れないミスも多かった。そういうところを実戦で経験しながら修正していかんと、上には行けない。組み合わせとしても、これから厳しい相手が続いていくから、一つひとつの試合を大事にして、行かないといけない。間に合うかどうか、というところですね。前のチームは、苦しい時に何とかしていこうという考えがあったけれども、今のチームはまだ打線になり切っていない(苦笑)。点のままなので、そこに流れを作れるようにしていかないといかんね」と、完封で勝っても、まだまだ反省点は非常に多いというところであった。

(取材=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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