試合レポート

小山vs磯辺vs都立日野台

2022.06.27

いよいよ最後の仕上げで磯辺と日野台が栃木県小山で調整

小山vs磯辺vs都立日野台 | 高校野球ドットコム
日野台・佐藤悠真君は捕手も投手も外野手もこなす

 6月も最終の週末を迎えて、いよいよ夏の大会へ向けて、最終調整の時期でもある。ここからの1つひとつの練習試合は、最後の確認とともに、ケガなどもないようにという配慮もある。如何に、ベストのコンディションで夏の選手権大会を迎えられるのかということも大事なテーマである。その一方で、試験の時期でもあり、文武のバランスを保っていくのも大事な課題となっている。

 栃木県の古豪で過去には春2回、夏4回の甲子園出場があり、1976(昭51)年春には準優勝という実績もある小山。今年はシード権を獲得しており期待感も高まっている。斎藤崇監督は、「シード権は取ってはいますけれども、夏はまったく別の戦いになりますからね。勘違いして過信してはいけません。チーム一丸となって戦っていくという意識が大事です」と引き締める。勝ち上がっていけば準々決勝で当たるであろうと予想される相手が昨夏、2対3と惜敗した作新学院だ。優勝候補でもある、作新学院を倒すことが最大の目標である。

 その小山グラウンドに千葉県の磯辺と西東京の日野台が集まった。


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小山・山﨑聡久君

 磯辺の春季大会はブロック予選の代表決定戦で幕張総合に敗れて県大会進出を逃してしまった。そこからの立て直しである。磯辺は千葉ロッテの本拠地で千葉大会の決勝の舞台でもあるZOZOマリンスタジアムにほど近い千葉市美浜区に学校がある。東京湾沿いに人工的に整備された都市でもある。千葉県の太平洋に面した東部の港町でもある野球どころの銚子市育ちの松本徳浩監督は、「生徒たちは野球部に限らず、真面目で大人しく、一生懸命にやる子たちばかりです。育ちもいい子が多いと思いますが、表立って出てくる闘志というか、そういうものが少ないので、勝負事にはどうかなというところもあります」と苦笑する。もっとも、選手たちがひたむきに努力していく姿勢には感心している。そして、「与えられた課題などに関してもきちんと対応していこうという姿勢があるので、そんな真面目さを大事に育てていってあげたい」という思いで指導している。

 日野台は、昨秋は都大会ベスト16にまで進出してこの春の都大会はシードとなった。初戦となった2回戦では法政大高を下したが、次の3回戦では早稲田実業に完敗してしまった。夏の組み合わせでは、一つ勝てば再び早稲田実業と当る組み合わせであり、リベンジへ気持ちも高まるところであろう。

 今年の新入部員は9人。畠中陽一監督は「秋はベスト16まで残れたし、都立校としての存在感もある程度アピールできたので、もっと集まってくれるかなと、期待したんですけれどもね」と、何処も抱えている都立校の部員減少には残念がる。

 足立新田監督時代には東東京大会でベスト4まで導いたという実績もあり、夏へ向けてのチームの仕上げ方、モチベーションの上げて行き方も十分に心得ている。


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ホームインする小山・野口君

 磯辺は、2試合とも序盤に得点を重ねてそのリードをキープして逃げ切るという形ができて、2つとも勝つことができて、いい雰囲気は作れたようだ。2番に入っている藤田 知樹外野手が2試合連続で左越え本塁打を放っている。松本監督は、「あそこへしか打てませんけれども…(笑い)。2番に入ってはいますが、パンチ力は一番あるのではないかと思っています」と言うように、2試合で9打席のうち本塁打2本と二塁打を含めて4安打。すべてセンターより左への打球だった。警戒もされてか3四死球もあった。また、3番主将の添谷 竜之介外野手も4安打。守っても無難に遊撃を守りつつ、1試合目ではリリーフで3イニングを投げ、日野台との試合でも先発して4イニングを1失点に抑えている。

 大会を意識した主戦格同士の投げ合いとなった小山と日野台の試合は日野台が2回に一、三塁から重盗で先制し、さらに犠飛で2点目を奪う。これに対して小山は3回、2番中村が2ランを放つと、さらに「最もパンチ力がある」という3番山﨑が中堅横を破り、打球は一番深いところへ転がって行って、山﨑はダイヤモンド1周走り切ってランニング本塁打とした。

 その後は、お互いが辛抱しながら投げ合った。林に関して畠中監督は、「ちょっと肘を痛めていたので、その故障上がりでもあり、今日はどこまで回復してきているのかなという確認の意味もあったので、あまり無理はさせたくはなかった」と言うことだった。それでも、後半尻上がりに調子も良くなり、8回途中まで投げた。その後は捕手で先発していた佐藤 悠真が、その後は4番で左翼手として入っていたが、最後はマウンドに登り、力で抑えて1死一、二塁を抑えた。

 栃木、千葉、東京の各大会は、いずれも7月の2週目の週末から開幕。本番まで、あと2週間を切った。

「喝を入れたり、気合入れながら引き締めていくのは野球に関しては今日までですね。あとは、乗せながら、いい気持ちで大会に入っていかれるようにしていきたいと思っています。まあ、生活面に関してはうるさく言いますけれどもね」と斎藤監督は苦笑しながら語っていた。

 折しも、各校とも試験のタイミングでもある。日野台は、「みんな勉強の用意もしてきているので、帰りのバスでは勉強する予定です。これも、生徒たちが自分たちで決めたことです」(畠中監督)と、高校生としての本分を忘れてはいないという姿勢を示していた。

(記事:手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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