試合レポート

山村学園vs作新学院

2022.05.24

山村学園打線、読みの鋭さを発揮し、作新学院投手陣も攻略しベスト4

山村学園vs作新学院 | 高校野球ドットコム
坪井蒼太、酒井大輝

<春季関東地区高校野球大会:山村学園5-1作新学院>◇24日◇準々決勝◇栃木県総合運動公園

 強打で勝ち上がった山村学園(埼玉)が、試合巧者の作新学院(栃木)も圧倒した。

 山村学園打線について、見逃しをせず、ストライクゾーンをどんどん振っていく対応力の高さ、積極性の高さを市立船橋戦で紹介したが、それに加えて相手投手のタイプを見極めて、準備ができる点も優れている。

 1回、第1打席に入った高校通算32本塁打のスラッガー・坪井蒼汰内野手(3年)は冷静だった。作新学院の先発、左腕・横尾潤投手(3年)に対しても「変化球中心の攻めが来ると予想していて、その変化球に対してしっかりと合わせることができました」といきなり適時打を放って見せた。4回、先頭打者として迎えた2打席目も変化球で交わされたが、ライト方向へ二塁打で出塁。すると続く4番・酒井大輝外野手(3年)が適時三塁打、5番・千葉 智也内野手(3年)も右前安打を放って、3対0とした。

 そして高校通算10本塁打の4番酒井も強打を発揮する。

 6回表から144キロ右腕・小川哲平投手(1年)がマウンドに立つ。酒井は小川が自信満々に投げ込んだ141キロの速球をしっかりとミートし、左翼線へ二塁打を放つ。その後、6番・山田 浩太捕手(3年)の適時打、8番・山田翼投手(3年)の適時打で5対1と突き放した。

 

 満遍なく打つ山村学園打線の中心は3番・坪井、4番・酒井が中心だ。坪井は酒井について「振る力が凄くて、酒井がいるからこそ、安心して打つことができる」と信頼を寄せ、酒井も、「いつも回してくれるので、頼もしい。自分は本塁打数(通算10本塁打)で負けるが、打率では負けない」と、2試合で打率.667と坪井の打率.625を上回る。

 またエースの山田が快投。初戦の市立船橋(千葉)戦よりも直球が走っており、常時135キロ前後の速球には威力があった。スライダーのキレもよく、作新学院の好打者たちを次々と打ち取った。走者を許しても外野手の好捕、3併殺と守備のサポートもあり1失点完投勝利を挙げた。川越ボーイズ時代は全くの無名。入学当時は125キロだった。それでも岡野監督を始めとした首脳陣が認める努力家で、昨年まではベンチ入り候補にも挙がっていなかった投手が着実に結果を残し、今や山村学園のエースへ成長した。

「伸び率では今年の選手ではトップクラスです」と岡野監督も成長を称える。フォームを変えたことで、ここまで速球がスピードアップしたという。これまで沈み込みだったフォームを感覚的に振り下ろす動作に変えたことで球威がアップした。

 これで3年ぶりの準決勝進出。関東一について岡野監督は「とても強いチームです。ベスト4まで勝ち上がった他の3校は私達より断然、格上のチームです。だからこそ挑戦者のつもりでぶつかっていきます」と意気込んでいた。

(記事:河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.31

【鹿児島NHK選抜大会】鹿児島実がコールド勝ち!川内商工は終盤に力尽きる

2024.05.31

夏の愛知大会は6月28日から開幕!決勝戦は7月28日【愛知大会要項】

2024.05.31

【鹿児島NHK選抜大会】鹿屋農が"強気の勝負"で勝機を引き寄せ4強入り

2024.05.31

【北信越】富山県勢4校が12年ぶりの県勢V狙う、茨木擁する帝京長岡にも注目<地区大会>

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.26

【春季関東大会】白鷗大足利が初優勝!最後はタイブレークの末サヨナラ死球で幕切れ!

2024.05.26

【近畿大会注目チーム紹介】実力派監督就任で進化した奈良の名門・天理。超高校級の逸材3人を擁し、緻密な攻守で全国クラスのチームに!

2024.05.26

【近畿大会注目チーム紹介】エース頼み脱却を目指してきた京都国際。「素質はプロ入り左腕と同等」の2年生左腕の台頭と打線強化で京都の大本命に成長!

2024.05.28

交流戦開幕、初戦の注目は髙橋宏斗vs.今井達也の初対決!

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉