市立船橋vs銚子商
背番号20の143キロ左腕が好救援でV投手に プロ入りへ関東大会でアピール誓う
市立船橋二番手・森本 哲星
<第75回春季千葉県高校野球大会:市立船橋3-0銚子商>◇4日◇決勝◇千葉県野球場
市立船橋が28年ぶりに春の千葉の頂点に立った。市立船橋と銚子商の公立校同士の対決。両校とも一時は千葉県を牽引していた存在だが、優勝からは長らく遠ざかっている。そのため有観客試合となった決勝戦が行われた千葉県野球場には、歓喜の瞬間を待ちわびた両校のファンが試合前から長蛇の列を作った。
26年ぶりの関東大会出場、決勝進出となった市立船橋。海上 雄大監督は「今大会の目標は、他県の強豪校と公式戦という形で経験する、ということが一番でしたので」と、この決勝戦は気負うことなく臨んだ。
その姿勢は采配の面にも表れた。先発投手に唯一1年生でベンチ入りを果たしていた工藤 将祐投手を起用。「本人も『(先発で)行きたい』と力強く言ってくれたので。あとは上級生でカバーしようという思いでした」と先発起用の経緯を説明した。準決勝で2本塁打を記録した銚子商打線に対し、工藤は3回途中、打者一巡を1安打に封じ、起用に応えた。
その後のマウンドに上がった森本 哲星投手(3年)は、1年生の好投に刺激されたのか、打者22人を1安打で抑え、0封リレーで28年ぶりの歓喜を呼び込んだ。
背番号20の最速143キロ左腕は今大会で大きく注目を集める存在となった。この日も得意のスライダーで的を絞らせず、危なげない投球だった。3番・中堅の森本 哲太は双子の兄。鳥取から家族で移住し、2人揃って「市船」の門を叩き、投打の中心選手として優勝へ牽引した。
目標を聞かれると「プロ志望です」と力強く答えた。春の千葉県「優勝投手」の称号が付き、千葉1位として出場する関東大会でも一層のアピールを誓った。
[page_break:15年ぶりV逃すも、銚子商「十分戦って行ける」復活の兆し]15年ぶりV逃すも、銚子商「十分戦って行ける」復活の兆し
<第75回春季千葉県高校野球大会:市立船橋3-0銚子商>◇4日◇決勝◇千葉県野球場]
1974年夏に全国制覇を達成し、春夏通算20度の甲子園出場を誇る「古豪」銚子商。昨秋は県1回戦で敗退も、今大会は接戦を制しながら勝ち進み、比例するように多くのファンが球場に足を運ぶようになっていた。
この様子には銚子商の澤田 洋一監督も「多くの応援してくださる方々のおかげで『よし、勝つぞ』と気合が入った」と、15年ぶりの優勝へ大きな期待を感じながら戦った。
試合序盤は先発の左腕・関根 大翔投手(3年)が5回まで0失点と好投も、打線はなかなか好機を作ることができなかった。6回に先制を許し、8回にも追加点を奪われた。なんとか流れを変えたいところだったが、市立船橋の森本 哲星投手(3年)のスライダーと直球のコンビネーションに惑わされ、最後まで狙い球が絞れなかった。
15年ぶりの優勝は惜しくも逃したが、指揮官は希望に満ちていた。「冬は厳しい練習を乗り越えて、いい雰囲気に変わったので、この春は(大会が)始まる前から期待していました。私の期待に近い状態にあると思います。十分戦っていけるということがわかり選手たちも自信がついたのでは」と選手たちの成長ぶりを称えた。
多くのファンが待ち望む「復活」へ。2005年以来の甲子園に向け、関東大会でも大暴れを期待したい。
(記事=藤木 拓弥)