Interview

秋未登板の147キロを誇る浦和学院の剛腕・小田部夏行。眼窩底骨折を乗り越え、大ブレークを誓う

2022.03.02

 センバツで大きな活躍ができれば、野球人生を大きく変える可能性が生まれる。今大会、大きくブレークを狙う投手がいる。それは最速147キロの剛腕、浦和学院小田部 夏行投手(3年)。秋は未登板だが、監督らの期待は高い。投球練習の剛速球を見れば、期待したくなる。そんな小田部の熱い意気込みに迫った。

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ボーイズ代表経験も2年春にアクシデント

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小田部 夏行投手(浦和学院)

 栃木県大田原市出身の小田部は、中学時代、地元の大田原ボーイズでプレーし、最速139キロを計測する速球派右腕として活躍し、ボーイズ日本代表に選出された。
「初めて日本代表に選ばれたときはレベルの高さを感じたんですけど、代表の試合で投げるためには、自分の特徴をアピールをしっかりとすることを考えて投げていましたし、良い機会でした」

 そして地元を出て、浦和学院に進学するきっかけについて、
「投手の育成が上手いと聞いていたこと、そして練習の雰囲気の良さを感じて、進学することになりました」

 1年秋には順調に公式戦登板を果たし、冬のトレーニングでさらにレベルアップ。飛躍を期した2年生シーズンで、アクシデントが起こった。キャッチボールの際に球が目に当たってしまい眼窩底骨折。手術を行った。

 視力が戻り、復帰できることになったが、入院生活は2カ月ほどに及んだ。この期間、野球に関する書籍を読みあさったという。
「プロ野球選手の考え方を学んだり、頭の部分は鍛えられたと思います。知識も自分なりに入れられたので、復帰した時に、知識を生かして、いろいろ考えてやろうと思いましたが、やはり復帰する時に不安がありましたね」

 5月頃に復帰したが、かなり筋力が落ちていて、130キロ後半から大きくスピードダウンした。筋力や感覚を取り戻すために、地道なトレーニングとネットスローに励んだ。球数を投げて、「投げる体力」を取り戻すように心がけた。森大監督からの励ましの一言も大きかった。

「森先生からは目先のことではなく、焦らずにやりなさいと言われて、じっくりと取り組むことができました」

[page_break:フォーム変更で覚醒。140キロ台の剛速球を投げるまでに]

フォーム変更で覚醒。140キロ台の剛速球を投げるまでに

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オーバースローの小田部 夏行(2020年秋季大会より)

 徐々に投げられるようになった時、小田部は投球フォームの修正に励んだ。もともとオーバースローだったものをスリークォーター気味に変更した。確かに1年秋は真上から振り下ろす投球動作をしていた。この意図について小田部はこう語る。

「オーバーだと、リリースが早くなって、球離れが早くなっている傾向がありました。そのため、打者の近くで感覚的に前で離すことを意識しています。小学校以来のスリークォーターなのですが、感覚的にも、体の回転的にも合っていると思っています」

 地道なリハビリとトレーニングの積み重ね、フォームのモデルチェンジをした結果、紅白戦で146キロをマーク。その後も147キロを出すこともあった。浦和学院のスピードガンはどちらかというと、スピードが出にくいらしいが、それを考えるとこの球速は驚異的だ。

 実際に2月の投球練習でもスリークォーターから威力のある速球を投げていた。しかし、浦和学院の投手陣は140キロを超える投手が多いだけに、ベンチ入りは確定の立場ではない。

 残された実戦で結果を残し続けなければならない。ハードルは高いかもしれないが、プレッシャーがかかる甲子園のマウンドは、それを乗り越えてこそ実現できるものでもある。

 もしベンチ入りが実現できれば、小田部は野球人生を変える活躍を見せたいと誓った。

「甲子園で投げることができれば、自分の野球人生を切り開くきっかけになると思いますし、それをつかみたいと思いますので、絶対にベンチ入りしたいです」

 持てる力を発揮すれば、間違いなく多くの高校野球ファンを魅力させる投手であることは間違いない。

 秋未登板の剛腕の逆襲なるか、注目だ。

(記事:河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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