Interview

敦賀気比の不動の3番・春山陽登 甲子園スタンド応援から秋.563でブレイク

2022.01.10

 敦賀気比(福井)の3番に座り、秋の公式戦では9試合で打率.563、1本塁打、11打点と大当たりだった春山 陽登外野手(2年)。昨夏まではメンバー外だったが、新チームになって大ブレイクを果たした。今春のセンバツでも中心打者としての活躍が期待されている。

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背番号の重みに奮起

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春山 陽登(敦賀気比)

 奈良県大和高田市出身の春山は、先に野球を始めていた兄の影響で小学1年生の時に高田イーグルスに入団した。6年生の時には「ダメもとで受けた」という阪神タイガースジュニアのセレクションに合格。当時は智辯和歌山の中谷 仁監督がコーチとして在籍していた。

 阪神ジュニアの中では1番目か2番目に小柄だったという春山は、「みんなデカいやつばかりで、レベルの違いを感じた」と他の選手の実力に圧倒された。それでも懸命に食らいつき、NPB12球団ジュニアトーナメントに貢献。充実した時間を過ごした。

 中学では五條リトルシニアに所属。春山らの学年が1期生だったため、1年生から試合に出場することができた。3年生の春には4番打者として第25回日本リトルシニア全国選抜野球大会で8強入りを果たしている。

 高校では甲子園出場を目指して敦賀気比に進学。しかし、1学年上の大島 正樹外野手の打撃や前川 誠太内野手(広島育成2位)の守備などを見て、「これはちょっと無理やな」と感じたという。実際に2年夏まではベンチに入ることができず、昨年の甲子園もスタンドでチームメイトを応援していた。

 そんな中で、旧チームから主力選手として活躍していたのが同級生の上加世田 頼希投手(2年)。自分より先に甲子園でプレーする同級生を応援する気持ちを持ちながらも、「嫉妬の気持ちや悔しさはずっとありました」と様々な感情を抱えながら試合を見つめていた。

 新チームになると、持ち味の打撃をアピールしてレギュラーに定着。初めて背番号を貰った時には、「これが背番号かと自覚が芽生えてきました」とその重みを感じたという。秋の大会は3番打者として活躍。北信越大会では打率5割、1本塁打、5打点と中心打者としての役割を果たし、優勝に大きく貢献した。

 「チームのためにという気持ちでずっとやってきていて、その結果が5割という形になったと思います」と北信越大会の活躍を振り返る春山。「一本一本大事にしていけよ」という東哲平監督のアドバイスを受け、練習から1球への集中力を高めてきたのも好成績に繋がった。また、打撃の面で成長したところに関しては次のように話した。

 「バッティングの間が良くなったと思います。国本(開)コーチにマンツーマンで教えていただいて、そういうことが成果に出たと思います」

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4番を奪う気持ちで

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春山 陽登(敦賀気比)

 北信越大会を制したことで、明治神宮大会にも出場。「素晴らしい球場でいろんな観客の方がいて、ちょっと緊張しました」と高校に入って初となる全国大会の雰囲気をかみしめていた。

 この大会で春山は近畿地区代表の大阪桐蔭(大阪)を相手にフェンス直撃の適時二塁打を放つなど、4打数1安打2打点と活躍。しかし、「4打数1安打で他の3凡打は何もできなかったので、まだまだ全国では通用しないと感じました」と決して満足はしていない。試合は4対8で敗戦。「向こうが負けているのに自分たちのペースでやっているという感じがしました」と相手のベンチワークや雰囲気作りからも学ぶことがあったようだ。

 秋の公式戦を通じて大活躍だった春山。「秋の大会は一番活躍していました。僕が気楽に投げられていたのは、(打順が)一つ前の春山が打ってくれて、あまり打つところでプレッシャーがかからなかったのが一番かなと思います」と上加世田にとっても頼れる存在になっていた。

 出場がほぼ確実な今春のセンバツでも打線の要として活躍が期待される。「まだまだ力を付けてもらわないといけないので、安心している場合ではないと思います」と東監督はレギュラーを確約はしていないが、この冬でさらに力を伸ばすことができれば、より頼もしい存在になるだろう。センバツに向けては次のように意気込みを語った。

 「僕はホームランバッターではないので、単打で後ろの上加世田につなぐ気持ちでやっていきたいと思います。チームとしての現状はエースで4番でキャプテンの上加世田に自分たち2年生が背負わせてしまっているので、少しでも上加世田のピッチングを楽にさせてあげられるように上加世田から4番を取る気持ちでやっていきたいと思います」

 阪神タイガースジュニアでプレーした時には甲子園球場で練習をしたこともある。「こんな球場で満員でやったら凄いんだろうなと思って、そこを目標にやってきました。決まったわけではないので、まだ実感はないですけど、本当に甲子園は楽しみです」と聖地でのプレーに胸を躍らせている。

 「自分のセールスポイントはバッティングなので、バッティングを見てもらいたいです。僕は3番で、チャンスで回ってくることが多いので、そこで一本出せるようにやっていきたいと思います」と自身のアピールポイントについて話した春山。小学生以来となる甲子園の舞台で大暴れを誓う。

(取材:馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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