小松大谷vs松商学園
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4点差を中盤に追いつきひっくり返した小松大谷、夢も膨らむベスト4進出
小松大谷・南彰栄君
今夏は、4年ぶりの甲子園出場を果たした松商学園。この秋も長野県大会を制して1位校としての北信越大会進出となったが、今春も県大会で優勝しており、2021年は3大会すべてで長野県を制したことになる。夏のチームは攻守ともに、高いレベルでバランスが取れているという評価だったが、甲子園でも同じ北信越地区の高岡商に圧勝するなどしたが、3回戦で明徳義塾に惜敗。その悔しさをバネに、新チームがスタートして連続で北信越大会進出を果たした。1回戦で帝京長岡を下しての2回戦である。
石川県大会2位の小松大谷は1回戦では啓新に序盤は苦しみながらも7回に大量4点を奪い突き放して進出してきた。小松大谷も夏の甲子園出場を果たしており夏春連続の甲子園出場を狙う。
前日、夜半の雨の影響で、試合開始は予定より1時間遅れた。
小松大谷の先発は、前日に続いて背番号8の左腕岩野君だ。その立ち上がりは、昨日に比べてやや制球が不安定だった。そこを松商学園打線が突いて四球と4番小野君の安打で二死一三塁となったところで、3ボール1ストライクから石田君が内側やや高めの球を力強く叩くと打球はそのまま左中間スタンドに飛び込む先制3ランとなった。地元の松商学園が幸先のいい形で先制した。
松商学園のマウンドも前日完投した左腕栗原君の連投となったが、栗原君は立ち上がり、まずは無難に三者凡退に抑えた。
2回にも松商学園は二死二塁に中前打で出た前田君を置いて、1番市川君が右越二塁打で帰してリードを広げた。こうして試合は序盤、松商学園の主導権で進んでいった。
早い回に少しでも返したい小松大谷。3回に一死から9番北方君がチーム初安打を放つと、神谷君の風に助けられた二塁手後方にポトリと落ちる二塁打で二死二三塁とする。ここで3番北村君が左翼手頭上を越えていく二塁打で二人が帰って2点差。さらに、吉田君が繋ぐと、5番山川君も左中間二塁打で1点差とした。これで、試合は、どう転んでいくかわからなくなった。
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松商学園・栗原英豊君
もつれる展開になった試合は4回、松商学園が2四球で一死一二塁となったところで、小松大谷の西野貴裕監督は、岩野君をセンターに下げて、1番をつけた南君を投入した。この継投も前日と同じパターンではあるが、継投機が昨日よりは早くなった。
代わり端、南君は死球を与えてしまい満塁となった。ここで松商学園は併殺崩れとなったが、試合展開としては貴重な1点を追加したかに思えた。
しかし、負けずに小松大谷も追いかける。取られたすぐ裏、内野安打と2つの失策が絡んで幸運な1点を返し、なおも二死一三塁。ここで当たっている北村君は、フルカウントから思い切ってスイングして左翼線へ運ぶ三塁打となり、二人が帰って、ついに小松大谷が逆転した。
追いかける立場となった松商学園だが、5回に小野君と石田君の短長打で二三塁として、2位やゴロの間に三塁走者が帰ってたちまち同点。ところが、小松大谷はその裏、二死一塁で、8番の岩野君が会心と言ってもいい当たりで右中間を破る三塁打で再びリードした。こうして、激しい点の取り合いとなって試合は後半に突入していった。
6回にも小松大谷は一死二塁からまたしても北村君が、今度は右中間を破る二塁打でリードを広げた。
松商学園の足立修監督は、「栗原は、連投になったけれども、本人も行きたいという志願もあったので、行けるところまでは行こうという思いで送り出した。いい形で先制できたのに、守りのミスで失点していったのでは、やはり勝てない。勝負ですから、勝てなかったのは悔しいですが、チームとして成長していかれる材料は与えられたと思う」と来年へ向けて引き締めていた。
これで、センバツへの夢も具体的になりかかってきた小松大谷。西野監督は、「試合としてはいきなり3点取られて、これはどうなってしまうんだろうかと思いましたよ。それでも、回も早いし1点ずつでも返していけば何とかなるとは言いました。それが、相手エラーに乗じていいところで長打が出る形で返せたのが大きかった。リリーフに送った南が、今日は尻上がりによくなってきていて、『オレに任せろ』みたいな、エースの自覚も出てきたのかなと思う」と、大会を通じての選手たちの成長も喜んでいた。
これで、小松大谷は北信越大会ベスト4進出。夏春連続での甲子園出場も視野に入ってきたといってもよさそうな勢いだ。
(取材=手束 仁)
3ランを放ってホームインし、遺産でベンチへ戻る松商学園・石田君
3回、小松大谷の反撃の切っ掛けを作った北方君
3本の長打を放って大活躍の小松大谷・北村君