試合レポート

大阪桐蔭vs塔南

2021.10.16

大阪桐蔭vs塔南 | 高校野球ドットコムこの試合のプレー写真は、記事の最終ページの下部に表示されています

大阪桐蔭、京都屈指の好投手を攻略。1年生左腕も完封し、圧巻のコールド勝ち

大阪桐蔭vs塔南 | 高校野球ドットコム
松尾汐恩(大阪桐蔭)

 大阪桐蔭は第3試合に登場ということで観客のピークもこの試合だった。

 塔南のエース・野原元気は140キロを超える速球、120キロ中盤のスライダーを投げ分ける右の本格派で、簡単に打ち崩せる相手ではない。そんな相手にも鮮やかな速攻劇を見せた。

 野原は少しコントロールがアバウトなところがあった。そこを大阪桐蔭が逃さなかった。

 「コントロールがアバウトな投手なので、アバウトに待つことにしました」と答えたのが3番捕手の松尾汐恩だ。ストレートを捉えると左前安打へ。これでチャンスを広げた大阪桐蔭は一死満塁から5番丸山一喜が左前適時打を放ち、6番田井志門の適時二塁打、さらに8番・大阪桐蔭 鈴木塁の適時二塁打で一気に5点を先制した。その後も6番田井の犠飛、さらに7回裏にも田井がコールドを決める適時打を放ち、初戦突破を決めた。

 これほどの好投手相手に、しっかりとボールを待って、狙い球を絞って打つことができる。さらに強烈な打球を飛ばし、動作もスピーディーでさすが大阪桐蔭というべき試合運びを見せてくれた。

 投げては、大阪桐蔭の1年生左腕・前田悠伍も安定感抜群の投球だった。
 立ち上がりは常時135キロ〜138キロ程度だったが、尻上がりに球威も上がっていき、120キロ前後のスライダー、チェンジアップ、ツーシームを駆使する投球術は一級品。140キロ台が出ていた試合と比べると抑えめのように見えたが、ストレートのタイミングが合っていた打者に対してチェンジアップ、ツーシームの投球で狙い球を外す投球ができていた。

 リードする松尾は「強気なのはチームで一番なのですが、同時に冷静になって打者を打たせて取ることを考えて外す投球もできる。そこが凄いですし、理解しているので、リードする立場からするとやりやすいです」と1年生左腕のマウンド度胸の強さと冷静なマウンド捌きは絶品だ。

 この秋の府大会準決勝・履正社戦では最速145キロを計測。力と技を兼ね備えた左腕なので、順調にいけば、23年度のドラフト上位候補に挙がると思わせる投手だ。

大阪桐蔭vs塔南 | 高校野球ドットコムこの試合のプレー写真は、記事の最終ページの下部に表示されています


大阪桐蔭vs塔南 | 高校野球ドットコムこの試合のプレー写真は、記事の最終ページの下部に表示されています

大阪桐蔭vs塔南 | 高校野球ドットコム
前田悠伍(大阪桐蔭)

 1安打3四死球の4番・海老根優大は中学時代、U-15代表の4番打者として活躍していた逸材。常にマン振りを心がけているタイプで、そのスイングは実に鋭い。荒削りではあるが、捉えた時の打球は非常に速い。

 センターからの送球も実に力強いが、まだ粗さが残るので、全体的に荒削りだ。地道に練習をやってきた成果は体つきや打球の速さ、プレーのスピード、送球を見ればわかる。あとは実戦の舞台で一つ一つのプレーの精度を高めれば、ドラフト候補として評価が上がるのではないだろうか。

 3番・松尾は投手に応じてリードができるセンスがあり、やはり経験がある分、落ち着きがある。初回の5得点も松尾の初安打が起点となり、すべてにおいてソツがない。スローイングタイム1.92秒も見せ、超高校級捕手として前評判通りの活躍を見せた。

 敗れた塔南はエースの野原は打たれたものの、球威ある直球、切れのある変化球もコントロールよく決まれば抑えられることが分かった。まだまだ球速は伸びる余地があり、打線も振れる打者が多く、守備も決して低いチームではない。一冬超えれば、非常に楽しみなチームだ。

(取材=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.29

【宮崎】延岡学園と日章学園がともにタイブレークを制して4強入り<県選手権大会>

2024.05.29

【佐賀】龍谷が佐賀商を破って優勝<NHK杯>

2024.05.29

パ・リーグ守護神成績一覧 際立つ則本の安定感!

2024.05.29

【2024年春季地区大会最新状況】北海道は北海が4季連続Vを達成、6月1日は近畿が準決勝、北信越&中国が開幕

2024.05.29

”魔曲”も登場! 9連勝千葉ロッテを支える今季の新戦力

2024.05.25

首都2部優勝の武蔵大の新入生に浦和学院の大型左腕、左の強打者、昌平の主軸打者など埼玉の強豪校の逸材が入部!

2024.05.25

【熊本】九州学院、熊本工が決勝へ<NHK旗>

2024.05.25

【関東】白鷗大足利が初、逆転サヨナラの常総学院は15年ぶり決勝<春季地区大会>

2024.05.26

【近畿大会注目チーム紹介】実力派監督就任で進化した奈良の名門・天理。超高校級の逸材3人を擁し、緻密な攻守で全国クラスのチームに!

2024.05.25

【岩手】盛岡大附がサヨナラ、花巻東がコールドで決勝進出、東北大会出場へ<春季大会>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.04.30

大阪大などに卒業生を輩出する進学校・三国丘  文武両道を地で行く公立校は打倒・強豪私学へ「何かしてやりたい」

2024.05.01

春季大会で頭角を現した全国スーパー1年生一覧! 慶應をねじ伏せた横浜の本格派右腕、花巻東の4番、明徳義塾の正捕手ら入学1ヶ月の超逸材たち!