拓大紅陵vs中央学院
敗者復活、注目の一戦は拓大紅陵が勝利。中央学院は粘り及ばず
先制打を放ち喜ぶ四十住海都(拓大紅陵)
中央学院vs拓大紅陵の一戦。敗者復活戦の組み合わせが決まった時から注目されていた一戦だった。中央学院は夏、大活躍の141キロ右腕・糠谷翔大、拓大紅陵は夏でも登板した小堺心温だ。
中央学院は一次予選に出場辞退。練習再開も直前だったという。試合が始まるまでのインターバルでは、野手はずっとゴロ捕球の練習を繰り返していた。限られた時間の中で準備する姿勢が見られた。
まず先制したのは拓大紅陵。2回表、7番・四十住海都の適時打で1点を先制し、その後、敵失、バッテリーミスで3点を先制する。痛いミスに思えたが、その後は中央学院のエース・糠谷が力投を演じた。120キロ後半の速球、スライダー、カーブを丁寧に投げ分けた。
コントロールを乱す場面もあり、好調時の糠谷の投球内容と比べるとかなり苦しい状態に感じられたが、尻上がりに120キロ後半の速球をコーナーに投げ込み、見逃し三振を奪った投球を見ると、真夏の中で主戦投手として投げた経験は間違いなく生きていたと感じた。
序盤ミスが見られた中央学院だったが、内外野ともに粘り強い守備で糠谷をもり立てていた。
拓大紅陵の小堺は、コンパクトなテークバックを折りたたんで投げ込む右スリークォーター。常時120キロ後半~130キロ前半の速球は球速表示以上に伸びが感じられ、中央学院の打者から空振りや内野ゴロの山を築き、着実に0を積み重ねる。7回裏、中央学院の1番・大山の適時打で1点を返されたが、9回表、二死三塁から2番大立翔良の内野安打で1点を追加した。
先発・糠谷翔大(中央学院)
投げては、最後まで小堺の球威が衰えることなく、中央学院打線を1失点に抑え、完投勝利を挙げた。中央学院は調整期間が本当に短く、まさにぶっつけ本番での試合になったが、よく持ちこたえたといえる。春まで公式戦はないが、しっかりと積み上げができれば強いチームになっていくに違いない。
拓大紅陵は野手の好素材が多い。まず3番ショートで、主将の中村瑠斗(るいと)は前チームから主力選手で活躍している選手。この試合も鋭い左翼線二塁打、左前安打など鋭い打球を飛ばしていた。
無駄のないトップからインサイドアウトで振り抜く打撃は完成度が高く、ソツのない遊撃守備も魅力的で、攻守ともに総合力が高い選手として注目を浴びそうだ。また三塁・瓦林奏良も合理的なスイングから鋭い打球を連発しており、三塁守備を見ても強肩。今後の試合でも攻守のキーマンとして注目したい。
また下位に座るが、四十住は187センチ82キロと屈強な体格をした右の大型捕手。名門・佐倉シニア出身で、打球も強く、スローイングタイム2.10秒前後だが、2年秋の時点で、これほどスケールを持った捕手はなかなかいないだけに、さらなるレベルアップを期待したい。
今年は木更津総合、東海大市原望洋、拓大紅陵と第8ブロックを代表する強豪校がすべて熱いという面白い1年になりそうだ。
(記事=河嶋 宗一)