日本屈指の進学校・開成が文武両道するための心得
夏の大会が各地で終盤に入り、多くの学校が新チームとなって、秋の大会に向かっているはずだ。そして引退した3年生は、新たなステージに向けてそれぞれスタートを切っていることだろう。
特に進学希望の選手は、入試は避けて通れない問題だ。希望する大学に入るために、これまで野球に注いできた情熱を勉強に注ぎ始めているところだろう。
そういった球児をはじめ、受験勉強に集中する高校生たちに向けて、今回は全国屈指の進学校として知られる開成の選手たちに文武両道や、勉強方法について話を聞かせてもらった。
【選手プロフィール】
松永 康聖:夏の大会では背番号6でベンチ入りをするだけではなく、学校の成績も10段階で8後半から9を修めている秀才である。理系を得意としている。
大竹 真優:夏の大会では背番号14でベンチ入り。学校の成績は10段階で6前半だという。塾にも通いながら文武両道を貫く選手である。
開成の選手たちが実践する勉強方法
松永 康聖
――勉強と部活のどちらも忙しいと思いますが、現在はどれくらいの割合で力を注いでいますか?
松永 康聖(以下、松永):僕は部活6、勉強4くらいの割合で力を入れています。グラウンドを使って練習する時間は他校に比べれば少ないですが、頭を使って考えながら野球をやっています。だから普段の生活から野球のことを考えています。
大竹 真優(以下、大竹):僕も部活6、勉強4くらいで力を注いでいます。頭を使って野球を考えるのももちろんあるのですが、まだ1年間高校野球に打ち込めるので、勉強以上に集中しています。
――頭を使って野球をするとのことですが、勉強で培ったものが野球で活きる瞬間はありますか?
松永:理解力だと思います。開成はグラウンドを使えるのが週1日で、1回で2時間くらいしか練習できません。だから1つ1つの練習は何が大切なのか。また動作に対する理解力は大事で、その力は勉強のおかげで鍛えられていると思います。
大竹:僕もプレーに対する理解度は、普段の勉強で養われたものが大きく関係していると思っています。
――では勉強についてお話を聞いていきたいと思いますが、文武両道について何か感じていることはありますか?
松永:難しいものだと感じています。高校になると、勉強も部活も中学に比べてレベルの高いことをやるなかで、どちらもやろうとしているので、難しいです。
大竹:僕も簡単なものではないと感じています。高校になるとどっちかを極めようとする人もいるなかで、どっちも極めるのは大変だと思います。特に開成は勉強が大変なので、今後はもっと難しくなると思っています。
大竹 真優
――難しさを感じている中で、2人はどういった勉強方法をやることで成績を残しているんでしょうか?
松永:単語などの暗記するものは移動中など隙間時間を利用してやります。その時に大事にしているのは、ただ覚えないことです。
例えば英語であれば、単語のなかにも法則があります。possibleとimpossibleのような1つ1つ覚えなくても関連付けて覚えられるものや、言葉の語源などを理解すると頭の中に定着するので、大事にしています。授業に関しても、その日の内容の流れを整理して覚えるように心がけています。
大竹:寝る30分から1時間くらいを目安に暗記をするようにしています。その時大事にしているのは、授業の内容でも単語でもイメージを持つことです。
授業であれば、その日の流れを頭の中で再生して暗記すると関連付けて覚えやすいです。単語、特に英単語であれば例文を通じて使い方などを頭の中で想像して覚えるとやりやすいと感じています。
――2人が得意としている理系科目に関しては、大事にされている勉強方法はりますか?
松永:理系に関しては、集中できる自宅でやるようにしています。理系はひらめきが求められるので、どの公式を利用すると問題が解けるのか引き出さないといけないです。それを出来るようにするには、集中できる環境は必要ですし、前提として公式を暗記しないといけないと思っています。
その上で、野球と同じで反復して問題を解くことで、習慣化させることが一番だと思っています。
大竹:色んな問題を解いて量をこなしていくしかないと思います。同じ問題でも繰り返しやり続ければ、決まった解き方を覚えられるはずです。だから参考書も沢山買うんじゃなくて、同じ参考書でも何回もやることを心がけています。
[page_break:大事なことは見やすいノートを作ること]大事なことは見やすいノートを作ること
松永(左)、大竹(右)の授業用ノート
――ありがとうございます。勉強方法を聞かせてもらったので、次は授業中の過ごし方も教えてください。
松永:基本的にまずは起きて話を聞くようにしています。そのなかでも先生が伝えようとしていること、大事なポイントを聞き逃さないようにしています。あとは初めて聞いたことや覚えていれば今後使えるだろうと思う情報、苦手なことにはアンテナを張るようにしています。
大竹:僕はどうしても眠くなってしまったときは、我慢できず寝てしまいます。けど、その代わりに授業が終わってから友達に教えてもらっています。ただ聞き逃していることもあるはずなので、1人ではなく色んな人に聞いて、なるべく埋められるようにします。それでもわからないところがあったときだけ、自分で調べています。
――ノートの取り方についても教えてください。
松永:先生が黒板に書いたものを、そのままノートに書き写すようにしています。先生も工夫して黒板に書いてくださっているので、そこで自分のオリジナルを加える必要なないと思っています。
あとは見返した時にわかりやすい、後から書き足せるように余白はきちんと作っておくように気を付けています。
大竹:僕もノートは基本板書通りで、色ペンを使うのも黒板にあわせています。ただ、テストに出そう、大事だと思ったことにはマーカー線で線を引いておくようにしています。
――授業以外で勉強時間は普段からどれくらい確保されているんでしょうか。
松永:朝練が出来るときは5時30分に起床しますが、普段は6時30分です。学校が8時からなので、それに間に合うように移動して、15時まで授業を受けます。それから17時まで練習をして、自宅には18時30分には戻ります。食事などを19時30分に済ませてから、22時くらいまで自主勉強をします。それで23時には就寝です。
大竹:僕も朝起きてから、練習までは松永君と同じです。そこから僕は週4日で塾に行っているので、その時は21時まで講義を受けて、帰宅は22時ごろです。それから食事等を済ませて23時に就寝です。
――最後にですが、勉強に対して不安に思われていることがありましたら、教えてください。
松永:英語が全般的に不安です。自分の実力が足りないのでわからないことが多いので、単語も文法もしっかり勉強したいと思います。
大竹:僕も英語ですが、特に単語が大変です。数が多いので暗記するには時間がかかります。だから継続的に暗記をし続けようと思っています。
――今回はありがとうございました。勉強もですが、秋季大会も頑張ってください。
(記事:田中 裕毅)
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