枕崎vs喜界

喜界円陣

　1回裏、枕崎は4番・園田隆童主将（3年）のレフトオーバー二塁打と相手のエラーで2点を先制する。

　2回以降は枕崎・横原翔太（2年）、喜界・村田健太朗（3年）、両右腕エースの好投などで5回まで両者得点を奪えず。

　6回裏、枕崎は4安打を集中し6番・奥松流星（3年）、9番・永山瑛仁（3年）のタイムリーで2点を追加した。

　喜界は7回表、一死一三塁として1番・竹下慎之佑（2年）の犠牲フライで1点を返した。

　その裏、枕崎は2つの犠牲フライで点差を5点に広げたが、喜界は8回表、連打でチャンスを作り、相手のエラーで2点を加えた。

　9回も2番・富田楓河主将（3年）のタイムリーで2点差に詰め寄ったが、反撃もここまでだった。

　喜界はシード枕崎を相手に「本気で勝ちいった」（松元修監督）。試合中は妥協なく、時に厳しい言葉で選手に発破をかけ続けた。良さも悪さも全て出し切り、結果は2点差で惜敗。「負けたのは監督の責任。みんなには感謝しかない」と指揮官は選手14人の健闘をたたえた。

　最大の持ち味はファーストストライクから果敢に打っていく積極的な打撃。「初戦に勝った直後から、最初の直球を打つと決めていた」１番・竹下が試合開始のサイレンが鳴りやまぬうちに左中間に運ぶ二塁打を放った。得点こそできなかったが、リードオフマンの「先制パンチ」がナインを勇気づけ、130キロ台の球威がある枕崎のエース横原にも、ひるまず自分たちらしさをぶつけた。

　安打数は相手を上回る11本。中盤まではなかなか得点につながらなかったが、積極打撃が終盤、枕崎の堅守を慌てさせ、4点を奪った。

　「1、2年生、喜界高校に入ってくれてありがとう！」
　試合後のミーティングで富田主将は後輩への感謝を伝えた。3年生は3人。1年秋には人数が足りず、合同チームで出たことも。現2年生6人の加入で、昨秋、今春は単独出場が叶い、県大会1勝を挙げた。1年生5人が加わり、県大会1勝から「全校応援＝ベスト8」を目指せるチーム力がついた。

　人数が少ない中でも「自分たちで練習を工夫し、お互いの課題点を上下関係なく指摘し合う」（富田主将）ことで日々の努力を重ねた。昨秋、今春は2戦目でシード校にコールド負けだったが、夏は終盤まで競り合うことができた。自分たちが抜けても力のある後輩たちが、単独で秋も出られるのが心強い。

　「秋の全校応援を3年生3人で楽しみにしている」

　自分たちの果たせなかった夢を託した。

（文・写真＝政 純一郎）