試合レポート

千葉明徳vs富里

2021.07.10

千葉明徳が粘り強さを発揮!好投手・安井(富里)を攻略し、2回戦進出

千葉明徳vs富里 | 高校野球ドットコム
先発・安井羽空(富里)

 昨秋ベスト8の千葉明徳と打力が高い富里との対決。

 試合中盤まで、富里のエース右腕・安井羽空の投球が冴え渡る。立ち上がりからピンチを招きながらも粘り強い投球で、無失点で切り抜ける。

 回を追うごとに、ストレートの球速も速くなっており、今春の県大会では120キロ後半から130キロ前半だったが、この夏は常時130キロから136キロと着実にレベルアップしており、本人はストレートの回転数には自信があると答えるように、千葉明徳の好打者の水野貴章に対し、高めのストレートで三振を奪うワンシーンは見応えがあった。高めの釣り球で打ち取るパターンは練習試合から実践できていることだった。

 ストレートだけではなく、120キロ近い切れのあるスライダーは手元で小さく曲がり、空振りを奪っていく、特に6回無死から7回一死まで四者連続三振を奪うなど、安井の持ち味を十分に発揮していた。

 この投球にリードする西村榛馬は「非常に良かったです。おそらく今まで一番良かったと思います」と絶賛した。

 だが、昨夏と昨秋の二季連続でベスト8の千葉明徳は試合巧者の一面を見せた。7回一死から9番飯室優輝が執念の内野安打。さらに飯室は二盗に成功し、チャンスを作る。千葉明徳ベンチからも「この回がチャンス!」という声が飛ぶ。そしてここまで2安打の番場雅也が三遊間を破る左前安打。二塁走者・飯室は抜群のスタートを切り、一気に本塁へ生還し、1点を先制した。千葉明徳の岡野監督は「一番練習をプレーしてきたのは、ああいった走塁です。普段やっていることができてよかったです」と飯室の走塁をたたえた。



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3番ピッチャー・水野貴章(千葉明徳)

 さらに二死二塁から3番水野がしぶとく中前適時打を放ち、2点目を入れた。この追加点で完全に千葉明徳に流れを呼び込んだ。

 8回表には、代打・伊藤渉の2点適時打、9回表には4番・井高拓遂の本塁打で5対0と突き放しに成功した。

 千葉明徳の先発・水野は120キロ後半(最速130キロ)の速球と決して速くないのだが、際どいゾーンに投げ込んで討ち取っていく。また千葉明徳の守備陣も堅く、外野手の好プレーで着々とアウトを重ねていった。

 9回裏に1点を失ったが、5対1で逃げ切り、初戦突破。岡野監督は「昨秋、今春の県大会で課題となった終盤の粘り強さという部分が出てきて、初戦特有の硬さが取れたら練習でやってきたことを出せるようになった」と選手たちの成長に目を細めた。

 敗れた富里は6回まで0対0と、手に汗握る試合展開を見せてくれた。田中宏明監督も「雨天中止も多い中、今回の試合展開はよくやってくれたと思います」と戦いぶりを評価した。

 安井だけではなく、4番に座ると指本健太郎の打撃も見応えがあった。174センチ80キロとがっしり体型の左のスラッガーで、今春の県大会では本塁打を記録している。オリックスの吉田正尚敦賀気比出身)に憧れ、下半身の使い方、インパクトの伝え方を参考にして、高校通算8本塁打だが、数字以上に迫力がある。インパクトの強さは公立校の選手とは思えず、本人も進学して野球を続けたいと語る。

 千葉明徳の緻密な試合運び、走塁、守備、富里のタレント力の高さといずれも見応えのある好ゲームだった。

(取材=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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