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コールド勝ちが常。全国トップクラスの強力打線を誇る花咲徳栄が「ノーバント野球」を貫いた理由

2021.07.19

コールド勝ちが常。全国トップクラスの強力打線を誇る花咲徳栄が「ノーバント野球」を貫いた理由 | 高校野球ドットコム
秋山貫太、浜岡陸、飛川征陽、冨田隼吾、味谷大誠

 全国トップクラスの戦力を誇り、全国制覇も狙える戦力を有しているのが花咲徳栄だ。今春の公式戦では圧倒的な打棒を示した。

5回コールド 4回
県大会 チーム打率.403
春季大会総本塁打 6本
春季大会総得点 82

 圧倒的な強打を発揮した。140キロを超える投手を5人擁し、この夏、選抜未出場ながら日本一を狙える学校の1つとして注目されている花咲徳栄。昨秋は埼玉県大会準々決勝に細田学園に敗退も、その投打の総合力の高さは高く評価されていた。

「速球」と「遅球」両方とも打てる打撃練習で攻撃力アップ

コールド勝ちが常。全国トップクラスの強力打線を誇る花咲徳栄が「ノーバント野球」を貫いた理由 | 高校野球ドットコム
飛川征陽(花咲徳栄)

 2月のオフシーズンの練習で、岩井隆監督は2月に「選手が大きく成長したと実感できる冬にする」と公言したように、県大会では圧倒的な戦いを見せた。特に課題となった打撃面についてミート力アップを課題に挙げたように、どの投手に対してもしっかりとミートすることを心がけた。

 また、岩井監督は選手の成長を実感させるために、ノーバント野球を貫いた。一見、奇抜な作戦に見えるが、選手の可能性を引き出し、選手自身が冬の練習の成果を実感できるため行ったことだ。

 さらなるパワーアップへ向けて選手たちは体作りを行い、そして打撃練習では近距離打撃を行う。これは18.44メートルから狭めて、投手はほぼ全力投球を行う。体感ではかなり速い速度だが、花咲徳栄のレギュラー打者は軽々と打ち返す。近距離打撃だけではなく、引きつけて打ち返すことを覚えるために、ゆるいボールを投げて打ち返すフリー打撃で、打撃フォームを作り上げている。

 今年の選手たちは昨秋までなかなか打ち返せない選手が多かったが、冬を超えてから的確にボールを捉えることができる選手が多くなった。

 昨秋までは浜岡陸飛川征陽冨田隼吾の3人が目立つ形だったが、この夏にかけてプロ注目捕手へ成長した味谷大誠、大型二塁手・秋山貫太が打棒を発揮した。

[page_break:目標の日本一へ、強打者をズラリと並べた]

目標の日本一へ、強打者をズラリと並べた

コールド勝ちが常。全国トップクラスの強力打線を誇る花咲徳栄が「ノーバント野球」を貫いた理由 | 高校野球ドットコム
秋山貫太(花咲徳栄)

浜岡陸(3年・遊撃手)
埼玉大会 18打数5安打 打率.278
関東大会 9打数2安打 打率.222

俊敏な遊撃守備に加え、抜群のバットコントロールで安打を量産するアベレージヒッター。一時期の不調を脱し、安打を量産している。

飛川征陽(3年・外野手)主将
埼玉大会  19打数9安打 打率.474
関東大会  12打数5安打 打率.417

今年の花咲徳栄の中でもナンバーワンの身体能力を秘める巧打の外野手。

澤口 滉(3年・外野手)
埼玉大会 16打数6安打 打率.375
関東大会  8打数3安打 打率.375

勝負強い打撃で打点を積み重ねる左のクラッチヒッター。

冨田隼吾(3年・内野手)
埼玉大会 18打数6安打 打率.333
関東大会 11打数6安打 打率.545

今年の花咲徳栄の4番に座る右のスラッガー。佐倉シニア時代は4番を務め、花咲徳栄入学から2年夏まで苦しい時期が続いたが努力を重ね、2年秋から4番打者へ。対応力が高く、140キロを超える投手からでもしっかりと結果を残す。

味谷大誠(3年・捕手)
埼玉大会 16打数8安打 打率.500
関東大会 10打数5安打 打率.500

プロ注目捕手へ成長。打者としては無駄のないスイングから次々とライナー性で鋭い打球を飛ばす。スローイングタイム1.8秒台の強肩も魅力。

鹿野亮太(3年・外野手)
埼玉大会 12打数5安打 打率.417
関東大会 11打数4安打 打率.364

この冬にかけて長打力をアップさせてきた右の巧打者で、本塁打も記録。責任感が非常に強く、飛川とともにチームをまとめる存在。

秋山貫太(3年・内野手)
埼玉大会 17打数8安打 打率.471
関東大会 10打数2安打 打率.200

9番とは思えない体格をした大型セカンドで、今春の関東大会・東海大甲府戦では満塁本塁打を記録。脅威の9番打者として存在感を示している。

加藤大地(3年・内野手)
埼玉大会 5打数1安打 打率.200
関東大会 8打数3安打 打率.375

 浜岡、冨田、味谷たちが今年の花咲徳栄打線の顔とも言える存在だが、そうした選手たちは「加藤がすごく伸びた」と語る。恵まれた体格から無駄のないスイングで強烈な打球を飛ばす右打者で、下位に控えているのが恐ろしい。

 埼玉大会2試合に臨んだ花咲徳栄は、ここまで2試合連続でコールド勝ちを見せている。まだ本領発揮とはいいがたいが、随所で花咲徳栄らしい強打を発揮している。4回戦は西武台、5回戦は大宮東山村学園らが控えるブロックで、岩井監督も「難しいブロックに入った」と語る。チームの課題はそうした相手に力を発揮できるために調子をピークに持っていくことができるか。

 「夏戦う上で、調子のピークをどこを持っていくのか、非常に大事です。ですが、本当に難しい。夏は本当に何が起こるかわかりません」

 それでも選手たちは日本一を目標に掲げ、練習を重ねてきた。自慢の強打が勝ち進むごとに本領発揮できれば、6大会連続の甲子園は見えてくる。

(取材:河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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