佐野日大vs白鷗大足利
好投手擁する日大三、浦和学院に打ち勝った佐野日大が白鴎大足利との打撃戦を制し、関東大会へ
決勝本塁打を放った大関日和(佐野日大)
佐野日大vs白鴎大足利の一戦。ポテンシャルの高さとしては、関東でも上位に入るチーム同士の対決は点の取り合いとなった。
序盤は佐野日大が試合を優位に進めた。1回裏、5番丸山詩音、6番関口翔太の連続適時打で2点を先制。さらに2回裏にも犠飛で2点を追加し、3回裏には3番大関日和、4番岡佐昌樹、5番丸山は大会タイ記録となる三者連続適時三塁打で3点を入れ、7対1と点差を広げた。しかしじわりじわりと追い詰められて、6回表に7対7の同点に追いつかれる。
しかし8回裏、3番大関が白鴎大足利の142キロ右腕・中沢匠磨のカット系の直球に対し、「うまく反応した」と振り抜いた打球は公式戦初本塁打で勝ち越しに成功。この1点のリードを守り抜き、19年に続き、関東大会出場を決めた。
今年の佐野日大は多くの選手が打撃に自信があると答えるように、春先の練習試合では浦和学院、日大三と関東大会出場を決めている学校にも勝利。どちらも好投手を攻略しており、練習試合で培った自信をしっかりと公式戦にも発揮している。
3番手・中沢匠磨(白鴎大足利)
特に3番大関、4番岡佐、5番丸山のクリーンナップの打撃力は脅威。決勝本塁打を放った大関はミート力、長打力も兼ね備えた左の好打者。スクエアスタンスで構え、無駄のないインサイドアウトで強烈な打球を飛ばすことができていた。
大関はこの冬、下半身を重点的に強化。そのことで「秋までは打ち急いで打撃の形を崩すことが多かったのですが、今年は下半身を強化し、スイングスピードも速くなったことで、以前よりもゆっくりとボールを待てるようになりました。そのことで、自分の間合いで打てるようになりました」と手応えを感じており、実際に打席を見ても、速球、変化球に対しても目線がブレずに打ち返すことができている。今年の関東大会に出場するチームの中でもトップレベルの好打者ではないだろうか。
4番岡佐も178センチ84キロと恵まれた体格をした右の強打者で、レベルスイングでボールを捉え、広角に鋭い打球が打てる。この日はエラーもあったが、関東大会でも爆発に期待がかかる。
5番丸山は広角に長打が打てる左の好打者で、さらにベースランニングも軽快で、走攻守三拍子揃ったプレーヤーだ。これまで佐野日大といえば、守備を主体にしたチームカラーだったが、今年は本塁打を量産する打者は少ないとはいえ、ここまで打撃に振り切ったチームは初めてといえる。作新学院の機動力、白鴎大足利の攻撃力を振り切るには多少の失点をカバーしてでも打ち勝っていく割り切りが感じられた。
(文=河嶋 宗一)