選手9名でも一流のメソッドで成長する徳島の新鋭・阿波
阿波のスタメン・ベンチ入り一覧
チーム史上初の夏の大会決勝進出を目指す阿波には、3人のキーマンが存在する。練習試合28試合でOPS1.110という圧巻の数字を残して打線の要を担う近藤大伸主将。その近藤を副将として支え、ピッチャーとしては回転数2200を超える伸びのあるボールと勝負強さが光る竹内誠悟。そして2度の入院から復活を遂げ、ベースランニングは県5位の14.22秒とチーム1の韋駄天・阿部慶己の3人が中心に座る。
この3人を追いかけて打率.400をマークする坂東禅、徳島県記録会遠投部門で117.61メートルを記録して優勝した田住剛琉など、選手・マネージャーそれぞれが個性を活かして、春以降の阿波に新たな風を吹かそうと冬場の練習に取り組んでいる。
スライドボードを使った練習模様
■動作改善のための特殊メニュー
そんな阿波の練習はユニークだ。IWAアカデミー創設以来続いている連携により,一流アスリートの感覚やメソッドに触れられる環境があるだけでも素晴らしいが、そのうちの1つが9イニングサーキットABCと呼ばれるメニューがある。
身のこなしや感覚を磨くために、ツイスターやスライドボードといった器具を使いながら、選手それぞれが動作を改善するために取り組んでいる。近藤主将も「スイングの強さ、打球を見ても変わってきた」とトレーニングの成果がプレーにも影響しているようだ。
Gosyoトレーニングの模様
加えて150段の階段や坂道を利用した『Gosyoトレーニング』と呼ばれるようなロードワーク。またゆるトレと呼ばれる肩甲骨や股関節の動作改善のメニューなども阿波ではオフシーズンならではの練習になっている。
■ONE TEAMで挑んだ新人戦
そんな阿波にとっての思い出深いのは新人ブロック大会だ。1回戦の川島には4対8での敗戦ではあったものの、その時はエースの竹内が試合4日前に鎖骨を骨折。戦線離脱をせざるを得ない状況になり、「衝撃のアクシデントでした」と鳴川監督はじめ選手たちも振り返る。
エースの離脱が意味するのは戦力低下だけではない。部員9人の阿波にとっては竹内が出場できないと、公式戦にも出場できない事態。チームにとっての緊急事態だったが、このピンチを陸上部、そしてラグビー部から助っ人を借りて大会へ何とか出場する。
近藤大伸主将
ONE TEAMで挑むも試合は敗戦。だが「どうすれば勝てるのか。考えられるいい経験になりました」と近藤主将は振り返る。また、選手同士がきちんと役割を考え、主体的に動けるようになったとコメントもした。
■強豪・鳴門との一戦で深めた自信
その後の秋季大会では再び川島と激突して0対7で敗戦。早い時期からオフシーズンに向かう形になったが、その最中でもチームに自信を与える一戦があった。
11月初旬に行われた鳴門との一戦。相手は県大会王者だが、結果は1敗1分。勝ち星こそ上げることはできなかったが、1点差の試合を繰り広げた。「自分たちのやっていることが間違いないと思えました」と自信を深めることが出来た。
阿波の集合写真
■史上初の決勝へ
竹内、そして田住のWエースを軸とした守備陣。そして「RED WAVE打線」と呼ばれる変化自在の波状攻撃を見せる打線を強みに春も戦う阿波。阿波高史上初の夏決勝進出へ、「自ら創る野球」で下克上を成し遂げる。
(文=田中 裕毅)
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