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神村学園の独走を食い止めるのは? 求められる「500球制限」への対応

2021.01.06

 秋の九州大会は神村学園の8強が鹿児島勢の最高戦績。来春のセンバツ出場は厳しい状況だ。

 夏季大会、秋の九州大会予選、1年生大会、2020年にあった全ての県大会を制した神村学園が21年も優勝候補の本命として、各校がマークする存在になるだろう。

神村学園の独走に待ったをかけるのは?

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樟南の左腕エース・西田恒河

 夏季大会はオール3年生で臨んだため、1、2年生チームは実戦経験が不足していた神村学園だったが、秋の鹿児島大会は1戦ごとに力をつけて頂点に立った。投・攻・守に力強く、スキなく、そつのない野球がチームの伝統として継承されているのを感じる。

 2年生左腕・泰 勝利が大黒柱として成長し、1年生左腕・内堀 遼汰も経験を積んで、ゲームを作れる左腕2本柱が安定している。打順は日替わりだが、リードオフマンの長谷 杏樹主将(2年)、秋にブレイクした前薗 奎斗(2年)、甲斐田 紘整(2年)らがけん引し、ここ一番での勝負強さを見せている。

 九州大会は明豊(大分)にまさかの逆転負けで4強入りを逃した。夏に向けての更なるレベルアップを目指す。1年生大会でも準決勝で樟南、決勝は鹿児島実と強豪に勝って優勝し、チームの底上げにつながったことだろう。

 樟南鹿児島城西鹿屋中央鹿児島実などの強豪私学勢は神村学園の独走に「待った」をかけられるか。

 樟南は左腕エース・西田 恒河(2年)が計算できるエースとして君臨する。打線は尾﨑 空(2年)、下池 翔夢主将(2年)、小峰康生(2年)の中軸に当たりが出て得点力も上がった。西田以外の投手育成が春以降の大きな課題になりそう。

 今年初めて甲子園の土を踏んだ鹿児島城西乗田 元気主将(2年)、長 隆稀(2年)ら前チームから主力を担った2年生が豊富に残っている。攻撃力は間違いなく県下トップクラスだが、課題は投手力。計算できるエースの台頭が待たれる。

 大隅の雄・鹿屋中央も攻撃力の高いチーム。秋の鹿児島大会は右腕・峯山 叶聖(2年)が力強い投球で守備のリズムを作った。左腕エースで主将の折尾 凛(2年)の復調に期待したい。

 秋の鹿児島大会では3回戦でライバル・鹿児島城西に敗れた鹿児島実も1年からマスクをかぶる城下 拡主将(2年)、エース大村 真光(2年)と個々の力は十分優勝を狙える力はある。れいめい尚志館出水中央も力を秘めている。

[page_break:大会日程次第で「1人1週間500球」の適用も]

大会日程次第で「1人1週間500球」の適用も

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伊集院ナイン

 公立では秋に8強入りした川内が強豪私学の牙城を崩す一番手に挙がってくるか。同じく秋8強の伊集院、吹上は飛び抜けたスター選手はいないが、大会を通じて成長した経験を春以降につなげていきたい。夏準優勝の国分中央や好投手・堀 峻太朗(2年)を擁する鶴丸大島なども注目校に挙げておく。

 秋の鹿児島大会では準々決勝以降の試合を土日開催にすることで、準々決勝以降の連戦を回避できる日程が組めたことで、「1人1週間500球」の球数制限がクローズアップされることはなかった。しかし、この大会日程が来春以降も継続して組めるかは未定。

 秋の鹿児島大会は10月に予定されていた鹿児島国体が延期になったことで、[stadium]平和リース[/stadium]、[stadium]鴨池市民[/stadium]のメーン球場を確保できた。場合によってはこれまで通り、決勝までの連日開催になることもあり得る。

 実際、九州大会はこれまで通りの開催日程だった。上位を目指すチームならば、最低でも2人以上は先発できる投手力を育成しておく必要がある。野球の質が大きく変わりかねないルール変更だが、どのチームが対応力に注目したい。

 20年はコロナの影響で、「きちんと大会が開催されるのか?」が大きな焦点だった。その現状は今も本質的には変わっていない。何らかの影響は21年も当分残るだろう。根気強く向き合っていくしかない。

(記事:政 純一郎

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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