2021年度の花咲徳栄は全国的にトップクラスのチームだ。来夏、甲子園に出場することができれば、高校野球ファンを驚かせる存在になる可能性は高い。そんな花咲徳栄の戦力を紹介したい。
140キロ以上が4人の投手陣
左から堀越 啓太、高安 悠斗、松田 和真
まず今年の花咲徳栄は、投手陣のレベルの高さは全国トップクラスになる可能性はある。この秋は140キロを超える右腕が3人もベンチ入りを果たした。最速143キロ右腕の高安 悠斗(2年)は右スリークォーター気味から投げ込むキレのある快速球と曲がりが鋭いスライダーを武器ににする。
さらに堀越 啓太(2年)も最速143キロの速球は高安と違って威力があり、こちらも120キロ台中盤のスライダーの切れ味も良く、先発投手としても安定感のある投球を見せる。
さらに地区予選1試合の登板しかないが、最速144キロを計測する松田 和真(2年)も歩幅を5歩半にしたことで球威が向上し、さらに120キロ後半の高速変化球もキレが良く、来年以降は145キロ以上の速球を投げる可能性も十分にある。
またベンチ外でも速球投手は多く、130キロ後半の投手が多くいるという。1年の金子 翔柾は11月の練習試合では140キロを計測。175センチ81キロと恵まれた体格から投げ込む速球は力強く、スライダーのキレもよく、11月の大宮東との行田市で開催された招待試合ではベンチ入りを果たした。そして金子とともにベンチ入りした熊倉柚も期待の1年生左腕。120キロ後半程度だが、球速表示以上に勢いを感じる。また一塁手としてベンチ入りしていた杉本 楓も速球派左腕としてベンチ入りする。
岩井監督からはまだスピード面は物足りないといわれており、全投手の底上げに成功すれば、全国トップクラスの投手陣の座を手にすることができるのではないだろうか。
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巧打者揃いの強力打線を誇る野手陣
左から飛川 征陽、浜岡 陸、冨田 隼吾
打線は細田学園戦に敗退し、打線が課題といわれているが、その後の練習試合ではしっかりと捉えて、各校の投手陣を次々と攻略し、連勝を重ねる。スピードとパワー、対応力を兼ね備えた花咲徳栄らしい打線に進化を遂げた。
岩井監督は「この時期だからこそメンバーはどんどん変えます」と話すようにAチーム、Bチームのメンバーは1試合ごとに変えると思いがちだが、一打席でも不甲斐ない内容があれば、即交代を促す。それだけ厳しい。
そういう態勢の中で試合をしてきたため、スタメン、守備位置も大きく変わってきた。秋季大会後の台頭したのが、川腰 瑠一。秋季大会では控え選手だったが、秋季大会後では1番を打ち、広角に打ち分ける打撃で安打を連発し、チーム一の俊足を武器に単打を二塁打にする。スピード性を大事にする花咲徳栄野球にマッチした左の好打者だ。
地区予選・県大会を通じて、3本塁打を放った西銘 港も2番を打つなどに成長。上背はないが、パワフルなスイングを見せる選手だ。
練習試合から5番を打つようになった加藤 大地もパワーがある。そしてアベレージヒッターの浜岡陸が「羨ましい身体能力がある」と絶賛するのが飛川 征陽だ。一次予選でもサイクル安打を達成した左の中距離打者で、俊足で、強肩。さらに外野の間を抜く打球を連発する。
伸び盛りの野手の中で、浜岡と4番を打つ冨田 隼吾の安定感は抜群だ。浜岡は高校球児のお手本にしたいぐらいのきれいなレベルスイングで、安打を連発。11月の練習試合では「だんだん自分がしたい打撃はできつつあります」と手応えを感じている。
冨田は名門・佐倉シニアで4番を打っていた選手で、2年秋まで出番がなく、苦しんでいたが、取材時の時点では通算6本塁打。ただ打撃練習ではフォローが大きいスイングで、次々と鋭い打球を飛ばしており、高校通算10本塁打以上のスラッガーの打撃練習と比較しても見劣りがしなかった。富田自身も夏まで25本塁打を目指しており、チームメイトも達成できるだろうと期待をしている。
秋季大会後の練習試合では来季に期待を持てる試合を続けてきた花咲徳栄ナイン。ぜひ有観客大会が決定すれば、成長した花咲徳栄の選手たちを目の当たりにしてほしい。
(取材=河嶋 宗一)