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挨拶・礼儀の徹底に1日2度の補食による体作り。東広島ボーイズ(広島)が大切にする高校への土台

2020.12.05

 広島県東広島市河内町の入野グラウンドで活動する東広島ボーイズ。チームとして40年以上の歴史があり、大阪近鉄バファローズや東北楽天ゴールデンイーグルスで活躍した礒部 公一氏を輩出した。3学年で52名の選手が在籍しており、中国地方を中心にOBも各地で活躍を見せている。

 高校野球だけでなく大学野球まで活躍する選手も少なくないが、そこには体作りを大切にする指導方針があった。4代目の監督である森兼 博士監督にお話を伺い、また高校野球での活躍が楽しみな3名の主力選手についても紹介していく。

1日2回の補食で体重の減少を防ぐ

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東広島ボーイズのノックの様子

 「自分たちのホームグラウンドがあって、車で5分程の所には私の会社の倉庫を改装した室内練習場もあります。メニュー自体はシンプルですが、しっかりとした練習量を積ませることを心がけていています。あとは礼儀や挨拶など誰でも出来ることで損して欲しくないので、そこもしっかりと言っているつもりです」

 そう語るのはチームを率いて今年で7年目になる森兼 博士監督だ。毎年多くの選手を高校野球へ送り出しているが、練習から常に意識しているのは、高校野球でも通用するための基礎を作ることだ。

 反復練習による技術面ももちろんだが、礼儀や挨拶といった人間性の部分も日頃から選手には伝え続けており、実際に東広島ボーイズのグラウンドに一歩足を踏み入れると、選手たちはすぐに練習を中断して声を揃えて挨拶を行う。バッグはベンチに整然と並べられており、練習中のミーティングの際にもかかとをつけて引き締まった顔つきで指導者の話に耳を傾けていた。

 「礼儀の部分は社会に出た時にも繋がることですし、そういったところまで教える指導者は今は少ないのかなと感じています。技術的に差がつくよりも、誰でもできることで差をつけられてはダメだろうと考えていて。昔の考え方かもしれませんが、そういった部分を大事にしているチームです」

 野球と向き合う姿勢を何よりも大切にする森兼監督。
 それでもいざ練習内容を見ていくと、選手の体力・技術を伸ばすための工夫が随所に見受けられた。中でも特徴的だったのが、10時と15時におにぎりの補食を摂ることだ。

 森兼監督が就任した当初、練習の開始時と終了時に体重測定を実施したことがあったのだが、どの選手も体重が落ちており、多い選手だと3キロ程体重が減っていた。これではどれだけ練習しても意味が無くなってしまうと感じた森兼監督は、1日2回の補食の時間を練習中に入れることで選手の体重減少を防ぐことにしたのだ。

 「やはり成長期の子どもは、食べて栄養を摂ることが大事だと思っています。導入してからは体重が落ちる子も少なくなりました。選手の体格にもよりますが、すごく細身の子も少なくなったなと感じています」

[page_break:高校野球での活躍が楽しみな3人の中心選手]

高校野球での活躍が楽しみな3人の中心選手

 

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守備につく山路朝大選手(東広島ボーイズ)

 そんな東広島ボーイズだが、今年は公式戦が少ない中でも2人の3年生が頭角を現し、また最終学年での活躍が楽しみな2年生野手も在籍している。

 まず最後の公式戦では主戦としてとして活躍したのが月野 龍投手(3年)だ。183センチ・82キロと屈強な体格を持つ月野選手は小学校時代は広島カープジュニアに選出され、130キロ後半の直球が持ち味だ。春先までは球速は130キロにも届かなかったが、活動自粛期間明けから急成長。速球派投手へ変貌を遂げた。

 「過去にも体が大きな投手はいましたが、大きいだけで無くバランスも良くて瞬発力もある選手は今までいませんでした。性格的にやおい(優しい)ところがあり、そこが良くも悪くも働くことがありますが、真っ直ぐに力があって今年に入ってグッと伸びてきた選手です。まだまだ伸びると思うので将来が楽しみですね」(森兼監督)

 また内田 瑛斗選手(3年・右投右打)は、チームでは3番・遊撃手を務めた走攻守の三拍子が揃った選手だ。月野選手と同じく小学校時代は広島カープジュニアに選出され、東広島ボーイズには2年生から入団した。守備では強肩と球際の強さが光り、打撃でも長打力を武器にポイントゲッターでもありチャンスメイクもできる打者であった。

 「肩が強くて、三遊間の深いところにゴロが転がってもしっかりとランナーを刺します。投手としても2年生の頃から120キロ後半は投げてました。打撃でも飛ばす力があって、ホームランは5本くらい打っています。ミートも上手い選手で、追い込まれるまではどんどん振っていき、追い込まれてからはしっかり逆方向に打てる走攻守が揃った選手です」

 今年のチームの3年生は月野投手と内田選手を中心に力のある選手が並んだが、その中で2年生ながら1番打者を務めたのが山路 朝大選手(右投左打)だ。カル・リプケンU-12日本代表に選出された経験もある山路選手。打撃は確実性と力強さを兼ね備えており、守備では柔らかいグラブ捌きが出色。
新チームでは中心選手としての活躍が求められており、山路選手はさらなる活躍を誓う。

 「守備では源田 壮亮選手を目標にしていて、打者では村上 宗隆選手を目標にしています。源田選手の守備は動きに無駄がなくて、村上選手のバッティングは下半身主導でしっかりとバットが振れているので、どちらも参考にしています。
 まだまだ課題も多いので、一つずつ克服して全国でも注目されるようなバッターになりたいと思います」

 選手として成長と人間的な成長の両立を目指す東広島ボーイズ。これからどんな選手が生まれるのかとても楽しみだ。

(取材=栗崎 祐太朗

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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