宮崎商vs宮崎北
宮崎商の今宮こと中村 碧人が今季ラストゲームで通算25号で締める!
高校通算25号を放った宮崎商の主将・中村 碧人
11月も終わりとなり、2020年の高校野球の対外試合も今週末が最後となった。来春に向けて課題を明確にすべく全国各地で練習試合が開催されたが、宮崎北でも今秋の宮崎王者・宮崎商を招いて練習試合が開かれた。
試合は宮崎商が2対0で宮崎北を下す結果になったが、スコア通りの緊迫の投手戦。まず光ったのが宮崎北の木下陽太である。
セットポジションからすっと左足を上げると、少し体をひねって軸足に力を溜めてから重心移動。左腕でしっかり壁を作りつつも、着地すると巻き込むようにグラブを引き付けて身体を横回転させる。安定したフォームで宮崎商相手を被安打3にまとめる好投を見せるが、与四死球6つという結果は今後の課題となるだろうが、今後の成長が楽しみな投手だ。
九州4強の宮崎商は攻めあぐねる形となり、我慢の時間が続いたが、そのなかで好投したのが先発の西原 太一と2番手・長友 稜太だ。
九州大会でホームランを放つなど打者として活躍した西原はマウンドに上がると、角度を付けたストレートと落差のあるスライダーで宮崎北打線を翻弄。セットポジションからバランスよく立つと、スムーズに重心を前に運び、右腕を振り下ろしていく。テイクバックを工夫したことによって、肘を上げられるようになったとのことだが、最大の武器は伸びのあるボール。
指揮官の橋口監督も「初速と終速の差が少ないです」と語るように、最速130キロ後半を計測するストレートの切れが光る。西原本人も武器だと自覚しており、リリース時は「押し込むイメージで投げています」とこだわりをもって投げている。
2人目の長友も高身長右腕だが、西原と違いスリークォーター気味の高さから腕を振り抜く。スライダーなどを混ぜながら打者の打ち気を逸らしていく技巧派投手。まだ線が細いが、冬場のトレーニングを経てどのような投手になるか楽しみである。
この2人の好投に応えたのが主将・中村 碧人だった。
6回二死一塁で打席が回ってくると、2ボール1ストライクから来た真っすぐをレフトへはじき返す。打球はぐんぐん伸びていくとそのままフェンスオーバー。投手戦の均衡を崩す高校通算25本塁打で2対0と宮崎商が先制した。
練習からヘッドを立てるためにも最短距離でバットを出すことを大事にしているという中村。その結果、広角に強い打球が飛ぶようになり、バッティングに磨きがかかったそうだ。ここまではレフト方向へのホームランが多いとのことだが、身体が強くなれば逆方向へのホームランも出始めるのではないだろうか。
このリードを8回から登板したエース・日髙 大空がきちんと抑えてゲームセット。2対0で宮崎商が制した。
九州大会以来の対外試合だという日高。橋口監督も高く評価するコーナーを広く使ったピッチングが冴えわたり、宮崎北打線を封じた。総合力が高く、計算が出来る投手という印象を受けた。西原同様、最速130キロ後半を計測する日高もオフシーズンを通じてどのような投手になるのか。
互いにヒット3本と引き締まった投手戦となり、投手を中心とした守備は手ごたえを感じたはずだが、やはり打線の奮起が今後の課題となるだろう。冬が明けて、両チームともにどのようなチームへ成長するのかが楽しみだ。
(取材=田中 裕毅)