試合レポート

京都国際vs神戸国際大附

2020.10.26

京都国際が初の甲子園出場有力!神戸国際大附の反撃を振り切る

京都国際vs神戸国際大附 | 高校野球ドットコム
3安打1打点の活躍を見せた森下瑠大(京都国際)

 序盤に大量得点を奪った京都国際神戸国際大附の反撃を振り切り、春夏通じて初の甲子園出場を確実なものとした。

 神戸国際大附は1回戦の近江戦で好投を見せたエースの阪上翔也(2年)が右肘の状態が思わしくないため、登板を回避。阪上は3番センターで出場し、背番号11の中辻優斗(1年)が先発マウンドに上がった。

 ところが中辻の制球が定まらず、1回表に2つの押し出し四球で先制を許すと、2回表の先頭打者に安打を打たれたところで降板。2番手には背番号10の左腕・加門虎太朗(2年)が上がった。

 先制して勢いに乗る京都国際は代わった加門から二死満塁のチャンスを作ると、5番・辻井心(1年)が右中間に2点適時二塁打を放ち、追加点を挙げる。さらにバッテリーミスと6番・森下瑠大(1年)の適時打で加点し、2回で早くもリードを6点に広げた。

 序盤で早くも大勢が決したように思われたが、京都国際の小牧憲継監督は「神戸国際大附は夏休みに練習試合した時にコールドで負けているので、何点あっても足りない」と感じていたという。さらに追加点を奪おうと貪欲になっていたが、それが結果的に空回りして、3回以降は好機を生かせない展開が続いた。

 すると、神戸国際大附は3回と5回に1点ずつを返し、反撃ムードを作り出していく。一方の京都国際は相手の反撃と初の甲子園が懸かったプレッシャーが重なり、「1年生が普段と全く違ってパニックになっていた」(小牧監督)とリードしているにもかかわらず、心理的には追い込まれていたようだ。

 7回裏には三塁手の辻井と遊撃手の三浦悠聖(1年)に失策が飛び出し、1点を与えると、8回裏にも途中出場の川西琉成(2年)と1番・能登原健生(2年)に適時打を浴び、1点差に詰め寄られた。

 1点差とした神戸国際大附の9回裏は3番から始まる好打順。それでも粘投を続けてきた森下が3番・阪上を一飛、4番・西川侑志(2年)を空振り三振に打ち取り、あとアウト1つまでこぎつける。続く5番・武本琉聖(2年)の打球は浅いレフトフライとなり、試合終了と思われたが、惜しくも捕球できずに二塁打となる。続く6番・栗原琉晟にも安打を浴び、二死一、三塁と窮地に追い込まれた。

 その中でも「森下とキャッチャーの中川(勇斗・2年)が冷静でした」(小牧監督)と続く打者をライトフライに打ち取り、京都国際が勝利。近畿大会4強入りを決め、来春のセンバツに当確ランプを灯した。

「本当にホッとしました」と率直な気持ちを語った小牧監督。ここ数年は終盤の逆転負けで甲子園を逃すことが多く、最後もこれまでの敗戦が頭によぎったそうだが、ついに壁を破って見せた。

 今年のチームは早真之介釣寿生(ともに3年)といった大型選手は不在だが、「まとまりがあり、勝ちたいという気持ちが伝わってくる学年」と小牧監督は評価する。1年生が5人スタメンに名を連ねる中でもベンチの2年生が積極的にメンバーを鼓舞しており、チーム一丸となって戦う姿勢を強く感じさせられた。

「全てにおいてまだまだレベルアップしないといけないです。例年に比べて長打力がないので、冬の間にしっかり振り込んで、打ち勝てるチームを作っていきたいと思います」と今後に向けての意気込みを語った小牧監督。近畿大会の戦いはまだ続くが、出場が有力視される来春の甲子園での戦いが今から楽しみだ。

(取材=馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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