Interview

超高校級のスラッガー・来田涼斗(明石商)課題克服のカギとなったのは「シャトル打ち」!?【前編】

2020.10.23

 2018年の選抜、その男は一気にその名が広がった。準々決勝・智辯和歌山戦で先頭打者、そしてサヨナラ弾を放った明石商来田涼斗。同級生・中森俊介とともに2020年のドラフト戦線を牽引するスラッガーは、さらなる成長のためにどういった課題と向き合ってきたのか。

最大の課題・タイミングへの取り組み

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来田涼斗(明石商)

  昨秋の近畿大会準々決勝・大阪桐蔭の前に敗れた明石商。試合には3対4というスコアだったが、来田は2つ四球を選び、2打数1安打2打点と結果は残した。それでも昨秋を通じて懐への対応力には課題を感じていた。

 「秋の大会の映像を見返すと、前のめりになってしまうところがありました。それだとインコースが打てなかったので、修正する必要がありました。ですので、冬場はバッティング練習をするときに姿勢を正すところから始めました」

 その上で、来田は一番の課題・タイミングに対して正面から向き合っていた。

 「いかに自分の形で打てるか。そこを大事にして練習をしていましたが、基本的にはすり足でタイミングを取るようにしていたと思います。足をあげないことで目線のズレがない分、真っすぐも変化球にも対応することができました」

 すり足にした結果、3月からの練習試合でも結果を残すことができ、来田の中では「多少、手ごたえを感じていました」と自信を深めながら4度目の甲子園に向けて調整を続けてきた。

 だが、今回の事態を受けて選抜は中止。練習も自粛となり、自主練習を余儀なくされた。

 「まずは体力を落とさず、むしろレベルアップできるように自粛期間は毎朝7時からランニングをすることから始めました。長距離を走るだけではなく、近くの浜辺に行ってダッシュを10~20本走って、9時には自宅に戻って練習をしていました」

 この自粛期間は半日以上野球に取り組む日々を毎日繰り返した。このタイミングで3歳上の兄も自宅に戻っており、その兄と弟の3人で練習をしていたとのこと。特に「兄と練習をするのは久々でしたので、懐かしかったです」振り返った。

 だが、この時期の過ごし方が来田の中では大きかった。

[page_break:進化に繋がった自粛期間のシャトル打ち]

進化に繋がった自粛期間のシャトル打ち

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来田涼斗(明石商)

 自宅ではキャッチボールやシャトル打ちに打ち込んだ。特にシャトル打ちには大きな効果を感じていた。

 「シャトルは動きが不規則ですので、どれだけしっかり自分のスイングで捉えられるかがポイントです。ですので、すり足は対応するのは最適でしたが、強いスイングをするにはどうするか。インパクトの強さが一番ですが、後ろを小さくして前を大きくするようにしました」

 いかにインパクトまで時間をかけずにバットを出す。そしてミートしてからのフォローをどれだけ大きくできるか。この感覚を掴むために「左ひじをみぞおちの近くまで抜く感じですぐに出す」イメージでバットを出し始めるようにした。

 元々、狭間善徳監督から教えてもらっていたバットの使い方だったとのことだが、自粛期間を利用して徹底的に取り組んだ。加えて、タイミングの取り方を改善するために、自粛期間中に右肩の開きに意識を置いた。

 「難しく考えずに素直にバットを出すだけでした。監督には『スイングが速い』と言ってもらっていましたので、感覚的にはワンテンポ遅らせてボールを呼び込んで強くミートさせるようにしました」

 すると練習再開後、取り組み続けたバッティングフォームで確かな手ごたえを感じていた。
「飛距離だけではなく、打球の速さや強さにも変化を感じました。タイミングに関しても、前までの感覚だと引っ掛けてしまう打球が多かったですが、呼び込めるようになったことでミートできることが増えました」

 ただ、「6月に入ってからだと紅白戦だけでしたので、チーム内の投手としか対戦ができなかった」ことで実戦感覚は戻っていなかった。ここに「不安はありました」と来田は振り返り、怖さすら感じていた。

 それでも大会へ向けて覚悟を決めていた。
「自分が不調でも試合は決まっていました。自分の不調が理由で負けるわけにはならないので、最悪の状態でも最善を尽くせるように準備していきました」

 今回はここまで。次回は夏の大会、そして甲子園交流試合を中心に振り返っていきます。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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