野手は掛布を輩出も投手は苦しむ…阪神のドラフト下位指名組
みごとに支配下復帰を果たした原口 文仁
ペナントレースも残り40試合を切った。優勝争い、順位争いだけでなく個人タイトル争いにも注目が集まってくる。
セ・リーグの打率ランキングを見ると佐野恵太(DeNA)がトップを走り、村上宗隆(ヤクルト)らと争っている。その佐野は2016年ドラフト9位という下位指名だった。アマチュア時代の低評価を覆し、プロの世界でタイトルを獲得できるか注目が集まっている。
さてこんな佐野のように、ドラフト下位指名から躍進を遂げた選手は多くいる。各球団(前身球団含む)のドラフト下位指名(6位以下/育成を含む)から、想像以上の成績を残した選手を振り返ってみたい。
阪神においてドラフト下位指名からの躍進は野手が多い。その筆頭格が掛布雅之(習志野高/1973年6位)だろう。掛布は1年目から83試合に出場し3本塁打を放つ活躍を見せ、2年目には早くも2桁本塁打を記録した。
3年目には初めて規定打席に到達し、27本塁打を放ち確固たる主軸に成長する。以降、3度の本塁打王を獲得し、1985年には打率.300、40本塁打、108打点の成績でチーム初の日本一に大きく貢献した「ミスタータイガース」である。
代打起用の多かった川藤幸三(若狭高/1967年9位)や藤本敦士(デュプロ/2000年7位)もそうだ。藤本は7位指名という低評価だったものの、1年目から75試合に出場し、3年目には規定打席に到達し打率.301と結果を残す。その後も主力としてプレーし国内FA権を獲得するに至ったほど。
その他では阪神時代に目立った成績はないものの、人的補償で広島に移籍してから頭角を現した赤松真人(立命館大/2004年6巡目)も6巡目指名からの入団だった。
現役選手では原口文仁(帝京高/2009年6位)が下位指名組になる。故障もあり、育成契約の時期もあったがみごとに支配下復帰を果たした。
一方の投手陣を見ると、ドラフト下位指名から先発ローテーション投手や勝ちパターンに名を連ねた選手はほとんどいない。近年になって島本浩也(福知山成美高/2010年育成2位)と岩崎優(国士舘大/2013年6位)が中継ぎで奮闘しているのが目立つ程度である。
このように掛布というレジェンドを輩出しているものの、阪神のドラフト下位指名から主力となった選手は多くない。現在一軍で活躍する岩崎や島本のような選手が、数多く誕生することに期待がかかる。
【阪神ドラフト6位以下の主な選手】
※前身球団含む
※育成指名含む
川藤幸三(若狭高/1967年9位)
掛布雅之(習志野高/1973年6位)
藤本敦士(デュプロ/2000年7位)
赤松真人(立命館大/2004年6巡目)
原口文仁(帝京高/2009年6位)
島本浩也(福知山成美高/2010年育成2位)
岩崎優(国士舘大/2013年6位)
(文=勝田 聡)
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