Interview

元プロお墨付きの190センチサウスポー 針金侑良(東練馬シニア)の成長と今後の課題とは?

2020.08.04

 今年の関東地区のリトルシニアで、ポテンシャルの高さから注目されているのが、東練馬シニアの針金侑良選手だ。身長190センチ・体重89キロと規格外のサイズから力強い直球を投げ込み、また打者としてもパワフルスイングから長打を連発する。

 北海道日本ハムファイターズの杉谷拳士選手や万波中正選手などを輩出した名門シニアで、針金選手はどんな中学野球生活を送ってきたのか。
 ここまでの成長を語っていただいた。

東練馬シニアへの入団後から投手に挑戦

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針金侑良(東練馬シニア)

 日大三出身の父の影響で、小学校3年生の時に野球を始めたという針金投手。小学校時代は野手として活躍を見せており、バッティングの楽しさを感じながら練習に通ったと振り返る。
 身長も当時から頭一つ抜けており、長打力が自慢の4番打者としてチームを牽引。6年時にはスワローズジュニアにも選出された。

 「スワローズジュニアではレギュラーではなく、レベルの高さを感じました。それでも本当に良い経験ができたので良かったと思います」

 小学校を卒業した針金選手は、リトルシニアの名門・東練馬シニアへの入団を決める。練習グランドが自宅から近かったことも理由の一つだったが、一番の理由はレベルの高さだった。

 チームは元プロ野球選手の徳元敏さんが監督を務めており、またプロ野球選手の輩出実績もある。将来はプロ野球選手として活躍することを目指していた針金選手は、東練馬シニアの環境の中で成長していきたいと入団を決めた。

 「高校、大学、プロと上のステージでも活躍できるように、中学では力をつけていきたいと考えていました。レベルが高いという話も聞いていたので、強くなるためには東練馬シニアだなと思い入団しました」

 実は針金選手は、中学からは投手にも挑戦していきたいという思いを密かに抱いていた。
 東練馬シニアに入団後から投手の練習も本格的に開始し、ピッチング練習や走り込みのメニューも積極的に行うようになる。1年生時は球速も決して速くなく、制球力も良くなかったと話すが、それでも向上心を持って日々の練習に取り組んでいた。

 「ピッチャーをやってみたいという思いは、ずっと持っていました。コントロールする難しさもあったのですが、まずは速いストレート投げることを目指していたので、練習でも速い球を投げることを意識していました」

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徳元監督は「まだまだ課題ばかり」

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針金侑良(東練馬シニア)

 針金投手が球速に手応えを掴み始めたのは、2年生の春からだ。
 一冬越えて体に力もついていき、また理にかなった投球フォームにもなったことで、球速が一気の伸び、また制球力も向上した。

 針金投手は急成長の要因について、千葉ロッテマリーンズなどで投手としてプレーした田中充コーチからの指導があったと語る。

 「ピッチングコーチの田中さんに教えていただき、今までの自分の中で意識していたこと一旦すべて消すくらいの気持ちで取り組みました。
 特に指導していただいたのは、下半身主導で投げることです。元々、上半身だけで投げてしまう癖があったので、下半身主導で投げるということを意識しました」

 2年秋には上級生が抜けて登板する機会も増えてきたが、実践でも少しずつ試合を作れるようになってくる。球速は137キロを記録し、粗削りながら高いポテンシャルを持った投手として名前が広まるようになった。

 そんな針金選手について、徳元監督は「まだまだ課題ばかりです」と辛口の評価を口にするが、それでも潜在能力の高さは認めている。体格は規格外であるだけに、上のステージで才能を開花させて欲しいと期待を寄せる。

 「制球も良くなりましたが、それでもまだまだです。フィールディングも課題が多いので、もっと鍛えていきたいと思います。
 持っているものはすごいので、上でも頑張って欲しいですね」

 もちろん、針金選手自身も課題は山積みであることは自覚している。
 制球力はシャドーピッチング、フィールディングではゴロ捕りを多く行うことで課題を克服していきたいと意気込みを語る。

 「一番の理想は、球速が出てキレのあるストレート投げることですが、コントロールやフィールディングもできないといけません。
 ゴロ捕りの反復練習やシャドーピッチングを繰り返して、レベルアップしていきたいと思います」

 目標としている存在にはロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手を挙げ、投打でスケールの大きい選手になりたいと話す針金選手。伸びしろしかない長身サウスポーが、これからどんな成長を見せるか注目だ。

(記事=栗崎 祐太朗

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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