右打者として歴代でもトップクラス。高校通算23本塁打・重政拓夢(関東一)が目指すは東京王者
昨夏の東東京王者・関東一。今年も独自大会では優勝候補として期待がかかる関東一を牽引するスラッガーが重政 拓夢だ。
昨年5月頃の練習試合から活躍しはじめ、甲子園にも出場。170センチ75キロと筋肉隆々の体型から高校通算23本塁打、さらに50メートル6秒ジャストと抜群の身体能力を誇る。その打撃センスの高さは米澤貴光監督も「歴代の右打者でもトップレベル」で伊藤 雅人(國學院大)に匹敵するといわれる重政の決意に迫った。
先輩スラッガーの教えにより打撃の才能が開花
重政拓夢(関東一)
品川区出身で、中学では名門・世田谷シニアでプレーしてきた重政。木下 幹也(横浜)など逸材揃いのチームでは3番打者として活躍。そんな重政が小さい時から憧れていたのはスピード感あふれる関東一の野球だった。そんな関東一から誘いがあったときは「自分は東京出身で、オコエさんたちが甲子園が出た時も熱中してみていましたし、声がかったときは本当に嬉しかったですね」と振り返る。
そして重政は1年秋からベンチ入り。まだ1年生の時は目立った活躍はできず、打てずに悩む日が続いた。
そんな時、救いの手を差し伸べたが、昨年の主砲・平泉 遼馬(桜美林大)だった。世田谷西シニアの先輩であり、自宅も近所。高校通40本塁打を超えるスラッガー・平泉は憧れの存在だった。
「平泉さんはタイミングのとり方を教わりました。平泉さんは本当に間合いのとり方が上手な方で、速球でも、変化球でも、しっかりと合わせる技術の高さがあって、本当に理想的な打者だと思います。平泉さんの真似をしたら次第に打てるようになってきました」
本塁打も打てるようになり、そして、2年6月の練習試合・横浜戦([stadium]江戸川区野球場[/stadium])で及川 雅貴(阪神)からマルチヒットを放つ活躍を見せる、この試合で、重政は大きな自信をつけたと話す。
「対戦する前から燃えていましたし、実際に打ったことでそれ以降の練習試合では自信をもって打席に入ることができました」
6月以降の練習試合でも快打を連発し、夏の大会でもベンチ入り。ついに憧れだった甲子園にも出場。そこで大舞台で戦う難しさを痛感した。
「声援の大きさが東東京大会の比ではないくらい、大きなものでした。甲子園はほぼ接戦続きで非常に苦しい試合ばかりでした。そういう中で力を発揮する大変さがありました。一打席一打席を大事にしていきました」
甲子園ベスト8まで勝ち進んで、先輩たちが『関東一野球』を実践する凄さを目の当たりにした。
「今の僕たちと先輩たちの違いといえば、走塁面です。先輩たちはノーヒットでも出塁すれば、点がとれるうまさがありました。やはりそういうところは学んでいかないと思っています」
関東一野球を発揮し、2年連続優勝
重政拓夢(関東一)
二季連続甲子園出場を狙った昨秋の都大会では3回戦で敗退。自分たちの野球ができなかったと振り返る。
「甲子園が終わって、チームメイトとの守備の際に連携や声が全くできていないことがあり、それによって守備のミスが多くなり、試合を落としてしまったことが多く、そのため、冬場の練習は連携、また次のプレーを予測した声だしを意識してきました」
また重政自身はさらにパワーアップすべく、この冬は筋トレに励んだ。筋トレが大好きだという重政はベンチプレスのMAXが115キロで、スクワットは145キロ~150キロを持ち上げ、またいろいろなメニューを取り組んでパワーアップを果たし、自粛期間中も筋トレは欠かさず行ってきた。現在のサイズは170センチ75キロだという重政。その出で立ちは筋肉隆々で、夏までに無駄な脂肪を落とし、50メートル6秒を切るまでに持っていければと考えている。
そして自粛期間中に夏の大会の中止が決まった。この夏は先輩たちの成績を超える事を考えていた重政にとっては「甲子園が中止が決まった時は本当に悔しい気分でした。ただ独自大会が開催することが決まった後は、東京王者になりたいと思って練習をしています。今年もいつもとは違う優勝旗になると思いますし、絶対に優勝旗をとりたいです」と気持ちを切り替え、26日の初戦に向けて動いている。
最後にこう意気込んだ。
「関東一らしい野球をしたいです。つなぎの打撃で、そして相手のミスをつく走塁をして、得点を積み重ね、守備でも堅実な野球を見せる。優勝して、後輩たちに良い背中を見せればと思います」
東京都屈指の右のスラッガーは最後の夏で史上最高の活躍を見せ、2年連続の東京王者を目指す。
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