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稀代のヒットメーカー・内川聖一を輩出!82年世代ドラ1の現在地

2020.06.02

稀代のヒットメーカー・内川聖一を輩出!82年世代ドラ1の現在地 | 高校野球ドットコム
ヒットメーカー・内川聖一(ソフトバンク)

 野球の世界には「松坂世代」を始め、有力選手が集まった世代を「〇〇世代」と形容する流れがある。毎年12名のドラフト1位が生まれるので、平均すれば各世代に12名のドラ1がいることになるのだが、多い世代、少ない世代というのが出てくる。そこで世代別にドラフト1位を集計し、その現在地を見ていきたい。今回は高卒20年目、38歳を迎える82年世代だ。

2020年を現役で迎えたのは内川、内海の二人のみ

 82年世代でドラフト1位指名を受けてプロ入りしたのは、高卒4人、高卒社会人4人、大卒6人、大卒社会人1人の計15人。彼らの主な通算成績は以下の通り。

<2000年ドラフト>

内川聖一大分工・横浜・福岡ソフトバンク) 単独指名

1977試合 196本塁打 957打点 41盗塁 打率.303

横松寿一戸畑・広島東洋・) 単独指名

1試合 0勝0敗 1回 1奪三振 防御率18.00

中里篤史春日部共栄・中日・読売) 単独指名

34試合 2勝2敗 40.2回 32奪三振 防御率4.65

田中良平加賀・千葉ロッテ) 単独指名

5試合 0勝0敗 10回 5奪三振 防御率8.10

内海哲也敦賀気比) 入団拒否

<2003年ドラフト>

内海哲也敦賀気比・東京ガス・読売・埼玉西武) 自由獲得枠

324試合 133勝101敗 2ホールド 1969回 1496奪三振 防御率3.21

香月良太柳川・東芝・大阪近鉄・オリックス・読売) 自由獲得枠

371試合 18勝10敗 3セーブ77ホールド 373.2回 188奪三振 防御率3.88

森大輔七尾工・三菱ふそう川崎・横浜) 自由獲得枠

一軍公式戦出場なし

<2004年>

手嶌智拓大紅陵・新日本石油・千葉ロッテ) 自由獲得枠

1試合 0勝1敗 3回 5奪三振 防御率12.00

那須野巧駒場学園・日本大・横浜・千葉ロッテ) 自由獲得枠

121試合 13勝27敗 1セーブ14ホールド 266.2回 185奪三振 防御率5.27

染田賢作郡山・同志社大・横浜) 自由獲得枠

2試合 0勝0敗 1.1回 0奪三振 防御率13.50

田中浩康尽誠学園・早稲田大・ヤクルト・横浜DeNA) 自由獲得枠

1292試合 31本塁打 351打点 33盗塁 打率.266

松岡健一東海大二・九州東海大・ヤクルト) 自由獲得枠

491試合 32勝25敗 4セーブ127ホールド 598.1回 482奪三振 防御率3.78

一場靖弘([team]桐生第一[/team]・明治大・東北楽天・東京ヤクルト) 自由獲得枠

91試合 16勝33敗 1セーブ 428.2回 322奪三振 防御率5.50

三木均飛翔館・八戸大・読売) 自由獲得枠

8試合 0勝1敗 5.2回 4奪三振 防御率11.12

<2007年>

服部泰卓川島・駒澤大・トヨタ自動車・千葉ロッテ) 外れ1位・3球団競合

73試合 2勝1敗 22ホールド 48回 30奪三振 防御率5.81

 高卒組からは日本を代表する安打製造機・内川聖一を輩出。当初はなかなかレギュラーに定着できていなかったが、2008年にブレイクを果たし、打率.378で右打者としてNPB最高打率を記録し首位打者、最多安打を獲得。ソフトバンク移籍後も活躍を続け、通算2171安打を放っている。今季は通算2000試合、200本塁打、1000打点の期待がかかる。

 1年目からフレッシュオールスターで先発を務め、一軍デビューも飾るなど将来を嘱望された中里篤史。しかし翌年以降は不運なケガにも悩まされ、通算2勝に終わった。田中良平はNPBの8年間で通算5試合に終わったが、渡米して2011年にはマイナー通算で10勝をマーク。AAAまで昇格を果たした。現在はGSL野球塾で指導者を務める。実弟は千葉ロッテの田中靖洋。福岡の公立校から広島入りした横松寿一だったが、4年間で1試合登板に終わり、自由契約となった。

 高卒社会人からは内海哲也香月良太森大輔ら「社会人三羽烏」と、手嶌智が指名を受けた。内海は敦賀気比3年時にもオリックスから1位指名を受けたが、入団を拒否し社会人からのプロ入りとなった。これまでに通算133勝を挙げ、最多勝2度、最多奪三振を獲得し、球界を代表する投手となった。

 大阪近鉄最後のドラ1選手となった香月。球団がオリックスと合併した2年目に47試合に登板し、初勝利を含む3勝をマーク。実働12年間で371試合登板と、中継ぎ投手として活躍を見せた。元千葉ロッテの香月良仁は実弟だ。イップスに苦しんだ森は、一軍公式戦登板なし、ファーム公式戦も1試合登板に終わり、わずか3年で戦力外通告に。退団後はBCリーグの石川でプレイし、2011年限りで引退した。

 高卒4年目での指名となった手嶌だったが、一軍公式戦での登板はルーキーイヤーの6月に先発した1試合のみ。5年目のオフに戦力外通告を受け、球団スタッフへと転じた。

 大卒組は6人が指名を受け、中でも東京ヤクルトに入団した二人が好成績を残した。田中浩康は3年目からレギュラーに定着し、好守巧打の二塁手として活躍。ベストナインやゴールデングラブにも輝き、通算302犠打は歴代5位の数字だ。2018年の現役引退後は母校・早稲田大で、今季からはDeNAのコーチを務める。1年目に初勝利を挙げた松岡健一は、4年目からは主に中継ぎとして活躍。2018年限りで引退し、コーチに就任した。

 楽天参入後初のドラフト1位指名選手となったのが、一場靖弘だった。大学No.1右腕として注目を浴びた一場だったが、1年目は2勝9敗と大きく負け越し。2年目は7勝を挙げたが、以降は登板機会を減らしヤクルトへ移籍、2012年限りで引退した。日大時代にはチームのシーズン10連勝に貢献するなど、大学No.1左腕としてプロ入りした那須野巧。1年目に初勝利、3年目には63試合に登板するなどステップアップしたが、以降は登板数が減少。2009年オフにロッテを移籍したが、一軍登板は果たせず、2011年限りで現役を引退した。

 那須野と同じく横浜に入団した染田賢作。同志社大時代にはリーグ史上初の完全試合を達成するなど活躍したが、一軍での活躍が叶わず、わずか4年で現役を引退。打撃投手を経て退団すると、教員となり乙訓のコーチとして選抜出場。昨春からは西城陽の監督を務める。前年の川島亮に続き、八戸大から2年連続での自由獲得枠選手となった三木均。未勝利のまま2007年オフに育成契約となり、2008年に退団。その後は社会人野球などでプレイした。

 大卒社会人唯一のドラ1選手となったのが服部泰卓だ。6年目の2013年に中継ぎ投手として開花し、初勝利を含む2勝、51試合で防御率3.38を記録。しかし翌年以降は登板機会を減らし、2015年に戦力外通告を受け引退した。

 今季を現役で迎えたのは内川、内海の2人のみとなった82年世代のドラ1選手たち。彼らが1年でも長く活躍することを、楽しみにしたい。

(取材:林龍也

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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