Interview

茨城北部から出てきた本格派右腕・黒田晃大(佐和)。投打で牽引し、狙うは夏ベスト8以上

2020.06.24

 茨城県は常総学院霞ヶ浦といった名門私学や、藤代といった伝統校公立が注目されるが、実際にはいろいろな学校にポテンシャルの高い逸材が埋もれている。

 今年は茨城各校の指導者が注目する逸材投手がいる。それが佐和黒田晃大だ。181センチの長身から繰り出す140キロを超える速球を武器にする本格派右腕はこの1年でさらに球速が増したと期待を込められており、そして高校通算8本塁打を記録する4番打者としてチームを牽引する。そんな黒田の歩みと決意に迫った。

フォーム改造と体作りで140キロ超え

茨城北部から出てきた本格派右腕・黒田晃大(佐和)。投打で牽引し、狙うは夏ベスト8以上 | 高校野球ドットコム
フィールディング練習をする黒田晃大(写真提供=佐和高校野球部)

 まず野球人生を振り返ると、小学校2年生の時に野球を始めたのと同時に投手人生もスタート。その後、水戸東シニア(現在は勝田シニアと統合して茨城シニア)でプレーしたが、中学3年まで投手を行わず、外野手が中心。その時について黒田は「ただ守るだけの人でしたね」とまだ打撃についても自信がなかった。

 それでも中学3年から投手に復帰すると、視察をしていた野球関係者のスピードガンで130キロを計測するなど、潜在能力は高いものがあり、私学、公立校から誘いを受けた。佐和に進んだのは、水戸東シニアの先輩が誘ったこと。また黒田の兄が水戸商でプレーをしており、公立志向だった。そこで、学力も勘案しながら、佐和進学を決めた。

 大川監督は中学校時代の黒田については詳しく知らなかったが、
「入学後、他校の監督さんから『良い投手が入ったな』という声を多くいただきました。実際に近年でもなかなかいない投手が入った実感はあります」と黒田のポテンシャルの高さを周りの評判と実際にチェックして理解できた。

 投手として抜きん出た素材を持った黒田を故障させず、どう大きく育てればいいのか。まず大川監督は身体が細かった黒田に対し、食事を食べて身体を大きくさせることを指示した。
黒田も「授業の合間におにぎりを食べて、食事量を意識していました」と入学から10キロ以上の増量に成功し、181センチ77キロまで成長。

 また技術面では本人の感性に関わることなので、あまり指導をせず、外部コーチにお願いをした。黒田はこの外部コーチの指導こそ大きなものだったと語る。
「この方の教えがなければ、140キロを超えることはなかったと思います」

 具体的に意識したのは、下半身の意識の仕方だ。お尻から先行する「ヒップファースト」を取り入れたが、どうすればしっかりと力が入る形になるのか、身体の細部まで意識をした。
体もできてきた2年生になると、2年春の公式戦で最速140キロをマークし、にわかに注目を集めるようになる。

 そして2年夏、2年秋と主戦としてマウンドに上り、2年秋は地区予選を勝ち抜き、県大会に出場したが、2回戦で好投手・大坪 誠之助擁する土浦湖北に敗れ、二度目の冬を迎えた。

[page_break:意識するのは常総学院の一條力真]

意識するのは常総学院の一條力真

茨城北部から出てきた本格派右腕・黒田晃大(佐和)。投打で牽引し、狙うは夏ベスト8以上 | 高校野球ドットコム
投球練習をする黒田晃大(写真提供=佐和高校野球部)

 夏と秋で課題となった変化球の制球力を高めるために、日々の投球練習では変化球を磨きつつ、さらに体力強化を努め、ストレートの威力を高めた。学校ではスピードガンはないため、最速は分からないが、「ストレートの威力も上がったと思いますし、変化球の精度も少し上がったと思います」と手応えを感じていたが、今回の新型コロナウイルス拡大の影響で、茨城県の県立校は長く休校が続き、6月1日から登校が始まり、8日から部活動が全面的に再開した。

 自粛期間中、自宅近くのグラウンドで最低限のトレーニング、キャッチボール、投げ込みで調整を続けてきた黒田。再開後の投球練習を見てみても勢いのあるフォームから速球を投げ込んでいた。

 物静かにこれまでの取り組みに語ってくれた黒田だが、1人だけ意識している投手がいる。それが常総学院の一條 力真だ。189センチの長身から繰り出す最速144キロの速球と切れ味鋭い変化球を武器にする本格派右腕だ。
「球場で見ていたのですが、あの高身長で、140キロ前半の速球を投げていて、凄いと思っていました」
 高レベルのピッチングを球場で目の当たりにして、同県のライバルとして強く意識するようになった黒田は高校通算8本ながら、4番を打つ投打の柱である。打撃にも自信があるだけに「打ってみたいです」と対戦を熱望した。そのためには県北地区を勝ち抜いていかなければならない。

 この冬は同地区の中でも圧倒的な力をつけて上位を目指す実力をつけるために練習に取り組んできた。黒田自身も手応えを感じており、率いる大川監督は「黒田だけではなく、チームとしての実力、モチベーションも高く、県ベスト8以上は狙えるチームになってきたかなと感じております。
 黒田については使い減りすることなく、身体の成長と同時に球速も速くなったので、良い成長曲線を描くことができました」と指揮官の評価も高い。

 県独自のトーナメント上位へ。この夏は投打で大暴れを魅せる。

(記事=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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