Interview

秋に台頭した報徳学園の核弾頭・三宅雄雅 覚醒の秘訣は「ツイスト打法」の習得

2020.04.13

 秋季兵庫県大会で優勝を飾った報徳学園。決勝では、2季連続で甲子園ベスト4入りを果たした明石商を5対1で下し、6年ぶり13度目の栄冠を手にした。

 「秋の兵庫王者」の原動力の一人が、主将であり1番打者を務める三宅 雄雅だ。迷いのない力強いスイングから放たれる鋭い打球が持ち味で、切り込み隊長として報徳打線を牽引。また12月には兵庫県選抜にも選出され、台湾遠征も経験するなど県内でも指折りの好打者だ。

 春季兵庫県大会は中止となり、残りの大会は夏のみとなった状況だが、三宅はこの冬をどんな思いで過ごしてきたのだろうか。

ツイスト打法で確実性がアップ

秋に台頭した報徳学園の核弾頭・三宅雄雅 覚醒の秘訣は「ツイスト打法」の習得 | 高校野球ドットコム
三宅雄雅(報徳学園)

 ヤングリーグの大阪レンジャーズから、報徳学園へ進んだ三宅。チームでは3番・遊撃手を務め、3年時はヤングリーグの全国大会にも出場。
 高校入学後は外野手に転向した三宅だが、遊撃手だった当時の憧れは2年生ながら報徳学園の主力として甲子園で活躍を見せていた小園海斗選手であった。

 三宅は報徳学園に進学を決めた背景には、小園の存在があったことを明かす。
 「報徳学園に入れば、2学年上に小園さんという見本になる存在がいますし、甲子園を目標にずっとやってきたんで一番近い高校かなと思って入学しました。他にも声を掛けていただいた高校はありましたが、その中で報徳学園を選びました」

 入学直後は小園をはじめ、全国トップレベルの先輩たちのプレーに圧倒される毎日であったが、8月に3年生が引退すると少しずつ試合への出場機会を掴みだす。
 レギュラー獲得までは至らなかったが、控え選手として実績を積んでいき、第101回選手権兵庫大会では先発出場も経験。
 大会は、惜しくも3回戦で加古川西に2対4で敗れたが、新チームでは主将に選出されてプレーでも、リーダーとしても活躍を期待された。

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兵庫選抜での三宅雄雅(報徳学園)

 だが、いざ新チームが始まると、結果が出せない日々が続く。
 三宅は当時を次のように振り返る。

 「新チームがスタートした時、強いスイングができる選手は揃っていたので、ある程は戦っていけるだろうなとは思っていました。ですが、はじめはなかなか結果が出ず、個人としても下位打線を打っていました。最初は上手くいきませんでしたね」

 そんな三宅の浮上のきっかけを作ったのは、磯野剛徳コーチであった。
 力強いスイングが持ち味である一方で、確実性に課題のあった三宅だが、磯野コーチからツイスト打法を教わることで、ヘッドがより走るようになり確実性の向上にも繋がったと三宅は話す。

 「ツイスト打法は、バットをスイングする際に普通は腰も一緒に前(投手側)へ回転するところを、インパクトの瞬間に腰を反対方向(捕手側)に素早く抜くイメージです。
 そうすることでバットのヘッドがより走るようになり、体が開いていた癖も直りました」

[page_break:勇気を持って踏み込み好投手・中森を攻略]

勇気を持って踏み込み好投手・中森を攻略

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兵庫選抜での三宅雄雅(報徳学園)

 ツイスト打法を習得したことで、打撃の確実性が一気に向上した三宅。新チーム結成当初は打順は下位だったが、最終的には1番打者を任されるまでになった。

 就任3年目を迎えた大角健二監督は、昨秋の坂口の成長を次のように振り返る。
 「たまにドカンと大きな打球を打つので、下位打線で自由に打たせとくかというぐらいだったのですが、大会が進む中ですごく確実性が上がっていきました。チャンスでもしっかりタイムリーを打ってくれて、計算ができる選手になりましたね」

 またチームとしても、大会を重ねる中で状態を上げていき秋季兵庫県大会優勝へと駆け上がっていった。
 大角監督からは、「勇気をもって踏み込んでいくこと」を徹底するように指示を受け、三宅は主将として誰よりも恐れることなく踏み込んでいったと大会を振り返る。

 「印象に残っているのは、やっぱり決勝の明石商戦です。
 大角先生からは、中森(俊介)くんの直球にも勇気をもって踏み込んで行こうという声をかけてもらっていたので、自分は1番打者として恐れずに踏み込んでいくことを意識しました。
 ボテボテの当たりでしたが、センター前に抜けて出塁することができ、それでチームに勢いを与えることができたと思います」

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兵庫選抜での三宅雄雅(報徳学園)

 主将として攻める姿勢を崩さなかったことで、報徳学園は好投手・中森 俊介を攻略して秋季兵庫県大会で優勝を果たす。
 迎えた秋季近畿地区大会では初戦で天理に1対7で完敗し、新たな課題も見つかったが、三宅はこの秋の戦いを前向きに捉えている。冬の期間ではチーム全体の「パワーとスピード」を底上げし、夏はさらに打ち勝つ野球を目指していくつもりだ。

 「近畿大会では勝ち続けることの難しさを知りましたし、天理はチーム全体のパワーが違いました。個人としても、レベルが上がった中で全く打てずに、力不足を痛感した大会だったので、この冬は徹底的に体を鍛えています」

 また、大角監督の期待も大きい。
 秋は確実性がアップしたことから1番に抜擢したが、長打力の面でも期待を寄せている。夏に向けてはさらに筋力をアップさせて、確実性と長打力を兼ね備えた強打者としての活躍を期待している。

 「三宅の良いところは、一生懸命フルスイングしにいくところです。凡打の内容もすごく上がってきて、スイングそのものが変わってきたので非常に楽しみですね」

 春季兵庫県大会は中止となり、残りの大会は夏のみとなったが、三宅が夏にどんな姿を見せるのか今からとても楽しみだ。

(記事=栗崎 祐太朗

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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