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全国各地の監督から聞いた練習ができないもどかしさ。新型コロナウイルスが及ぼす高校野球への影響

2020.03.26

 日本だけではなく、全世界に猛威を振るう新型コロナウイルス。今夏開催するはずだった東京五輪も1年以内の延期が確定するなど、各業界に大きな波紋を広げている。

 それは高校野球界も例外ではない。3月19日より開幕予定だった選抜や、静岡県などいくつかの地方大会も中止が早々に決まり、これまでにない状況になっている。

 歴史を見ても稀となる事態に全国の学校では何を感じ、どんな対応策に追われているのか。今回全国の野球部を独自調査し、高校野球の今をまとめてみた。

1か月間選手と会えない厳しい現実

全国各地の監督から聞いた練習ができないもどかしさ。新型コロナウイルスが及ぼす高校野球への影響 | 高校野球ドットコム
左から有倉雅史、酒井光雄、上原忠、杉野弘英監督

 まず多いのは、練習自粛によって選手たちに会えない監督たちのもどかしさ。3月から活動自粛の流れがほとんど。しかし先だって緊急事態宣言が出た、北海道に学校を構える札幌国際情報は2月中旬からのテスト休みと重なったため1か月以上選手たちに会えていない事態。有倉雅史監督もこの状況に「最悪ですね」と今の事態を語る。

 他にも「寂しかった」や「大ダメージです」と監督たちの苦痛の声が聞こえたが、春休みの期間を利用して遠征を組んでいたチームにも影響が及んでいる。関西への遠征を3月中に予定していた、千葉県の検見川は選手のコンディションも配慮して試合の予定を3月だけではなく、4月中もすべてキャンセル。選手たちの調子を見ながら可能であれば、4月中に組んでいく方針を酒井光雄監督は固めた。

 チームによっては寮生を抱えている学校もある。25日より開幕した春季県大会が開幕した沖縄の強豪・沖縄水産は3月4日から15日までの期間は活動を休止。寮生たちも一度全員実家に帰して、16日から練習を再開することができた。しかし、「休止前に立てていたプランが崩れました。春の大会はぶっつけ本番で、夏の大会はピークを作れるようにしたい」と名将・上原忠監督が語るように、予定していたものが崩れてしまう事態になっているところも多い。

 さらに、3月2日から23日まで活動を自粛し、24日から再開した福岡県の香椎では指導をしない代わりに、野球部をはじめとした生徒たちにグラウンドを開放。選手たちの動きを見て「よく動けていた」と杉野弘英監督は語るが、選手が来ても指導ができないのは心苦しい。

 練習ができないだけではなく、当初予定していた遠征や練習試合も再度調整に追われる各校の監督たち。ただ今回の事態を「野球ができることへの感謝」の気持ちを再認識できたと語る監督もいた。そうやってプラスに捉えて、今は元気にいることが、選手たちのすべきこと大事なことではないだろうか。

(記事:田中裕毅

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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