130名の選手から選ばれる都筑中央ボーイズ(神奈川) 魅力は元プロによる高い指導力と選手ファーストな考え方
2006年の創部以来、関東地区の実力派チームとして名を鳴らす都筑中央ボーイズ。
福岡第一のエースとして、第70回全国高等学校野球選手権大会で準優勝投手となり、ロッテ、中日、巨人の3球団で活躍した前田幸長さんが会長を務め、また日大三で全国制覇を経験し、その後中日でプレーした都築克幸氏が監督を務めるなど、実績のあるスタッフによる高い指導力が自慢のチームだ。
その指導力は評判となり、現在は多くの選手が都筑中央ボーイズに集う。その秘密はどこにあるのか。前田会長の言葉から紐解いていく。
やってみせ言って聞かせるチーム作り
ウォーミングアップの様子
横浜市営地下鉄ブルーラインの仲町台駅から約2キロ離れた場所にある、都筑ジャイアンツ球場で練習を行う都筑中央ボーイズ。元プロによる質の高い指導が評判となり、現在では約130名の選手が所属し、レギュラーを目指して練習に取り組んでいる。
グラウンドは内野ほどの広さしかないが、3カ所のバッティングゲージやティーバッティングのスペース、ブルペンも5人が同時に投球練習ができるようになっており、効率的な練習が行われている。
「平日は、月曜日を除いて基本的に練習したければ来ていいといった感じでやっています。
午後4時から7時まで練習は行いますが、遠くから来る選手もいるので、6時くらいに来て1時間トレーニングをして帰る選手もます。
週末に球場が確保できると、御殿場やアクアラインを渡って千葉まで行き、外野の連携や実戦練習を行いますね」
そう語るのは、都筑中央ボーイズの創設者である前田幸長会長だ。
練習場のキャパシティに限りがあるとは言え、自前のグランドがあることは一番の強みであると語る前田会長。横浜市、川崎市と人口が多い地域で、硬式の専用グラウンドで練習ができるチームはなかなかない。
前田幸長会長
また環境面以外にも、選手たちに選ばれる理由があると前田会長は語る。
「中学生の野球は、どうしても昭和チックなところがありました。ミスして怒鳴られると、子どもは怒鳴られたことしか覚えていなくて、何で怒鳴られたか覚えてないんです。
山本五十六じゃないですが、やってみせ、言って聞かせる、野球をちゃんと教えてあげるチームを作りたいなと思いました」
前田会長はここまでチームを運営して、指導者への不満で辞める選手はいないと話す。多くの選手に選ばれる環境は、選手の気持ちを考えた指導から生まれるのだろう。
谷澤、大塚の二人を中心に目標は全国制覇
ティーバッティングの様子
そんな今年の都筑中央ボーイズは、「ビックリするような選手はいないけど、まとまって線で繋がるような打線が組めるチーム」と前田会長は語り、選手たちに大きな期待を寄せている。
中心となるのは、エース左腕の谷澤歩夢と主将で切り込み隊長を務める大塚光竜の二人だ。
谷澤は、120キロ台中盤の直球を丁寧にコースに投げ分ける投球が持ち味で、大塚は力のあるスイングと熱いキャプテンシーで、チームに勢いをもたらすことができる存在だ。
「チームの中心となる選手がいれば、中学野球はしっかりと戦っていくことができます。
今年に関しては、この二人がしっかりしてくれれば、周りの選手も乗せられますので重要かなと思います」
だが中心選手として名前が上がった主将の大塚は、チームの核となる選手は決して二人だけでは無いと力強く語る。今年のチームは打撃が持ち味のチームだと明かし、全国制覇を目指していきたいと力強く意気込む。
主将の大塚光竜(都筑中央ボーイズ)
「キャッチャーの川口龍吾や、元々は4番を打っていた片岡朔優も頼りになる選手です。ショートの山本蒼空もとても守備が上手い選手です。
(打撃が良いチームなので)投手力を鍛えて、全国制覇を目指したいと思います」
もちろん、全国の舞台で戦いたい思いは前田会長も同じだ。選手たちの勝利に少しでも貢献していくために、出来る限りのサポートをしていくつもりだ。
「僕もそうですが、選手たちもジャイアンツカップ、夏の全国大会に出たいと思っています。もちろん日本一になるのが一番ですが、まずはそこに立つことが大事なので、そこに対して僕も協力は惜しまないつもりです」
いつでも野球に打ち込める環境と、選手ファーストな指導で、実績を残し続ける都筑中央ボーイズ。今年のチームも注目だ。
(記事=栗崎 祐太朗)
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