Column

130名の選手から選ばれる都筑中央ボーイズ(神奈川) 魅力は元プロによる高い指導力と選手ファーストな考え方

2020.03.15

 2006年の創部以来、関東地区の実力派チームとして名を鳴らす都筑中央ボーイズ。
 福岡第一のエースとして、第70回全国高等学校野球選手権大会で準優勝投手となり、ロッテ、中日、巨人の3球団で活躍した前田幸長さんが会長を務め、また日大三で全国制覇を経験し、その後中日でプレーした都築克幸氏が監督を務めるなど、実績のあるスタッフによる高い指導力が自慢のチームだ。

 その指導力は評判となり、現在は多くの選手が都筑中央ボーイズに集う。その秘密はどこにあるのか。前田会長の言葉から紐解いていく。

やってみせ言って聞かせるチーム作り

130名の選手から選ばれる都筑中央ボーイズ(神奈川) 魅力は元プロによる高い指導力と選手ファーストな考え方 | 高校野球ドットコム
ウォーミングアップの様子

 横浜市営地下鉄ブルーラインの仲町台駅から約2キロ離れた場所にある、都筑ジャイアンツ球場で練習を行う都筑中央ボーイズ。元プロによる質の高い指導が評判となり、現在では約130名の選手が所属し、レギュラーを目指して練習に取り組んでいる。

 グラウンドは内野ほどの広さしかないが、3カ所のバッティングゲージやティーバッティングのスペース、ブルペンも5人が同時に投球練習ができるようになっており、効率的な練習が行われている。

 「平日は、月曜日を除いて基本的に練習したければ来ていいといった感じでやっています。
 午後4時から7時まで練習は行いますが、遠くから来る選手もいるので、6時くらいに来て1時間トレーニングをして帰る選手もます。
 週末に球場が確保できると、御殿場やアクアラインを渡って千葉まで行き、外野の連携や実戦練習を行いますね」

 そう語るのは、都筑中央ボーイズの創設者である前田幸長会長だ。
練習場のキャパシティに限りがあるとは言え、自前のグランドがあることは一番の強みであると語る前田会長。横浜市、川崎市と人口が多い地域で、硬式の専用グラウンドで練習ができるチームはなかなかない。

130名の選手から選ばれる都筑中央ボーイズ(神奈川) 魅力は元プロによる高い指導力と選手ファーストな考え方 | 高校野球ドットコム
前田幸長会長

 また環境面以外にも、選手たちに選ばれる理由があると前田会長は語る。

 「中学生の野球は、どうしても昭和チックなところがありました。ミスして怒鳴られると、子どもは怒鳴られたことしか覚えていなくて、何で怒鳴られたか覚えてないんです。
 山本五十六じゃないですが、やってみせ、言って聞かせる、野球をちゃんと教えてあげるチームを作りたいなと思いました」

 前田会長はここまでチームを運営して、指導者への不満で辞める選手はいないと話す。多くの選手に選ばれる環境は、選手の気持ちを考えた指導から生まれるのだろう。

[page_break:谷澤、大塚の二人を中心に目標は全国制覇]

谷澤、大塚の二人を中心に目標は全国制覇

130名の選手から選ばれる都筑中央ボーイズ(神奈川) 魅力は元プロによる高い指導力と選手ファーストな考え方 | 高校野球ドットコム
ティーバッティングの様子

 そんな今年の都筑中央ボーイズは、「ビックリするような選手はいないけど、まとまって線で繋がるような打線が組めるチーム」と前田会長は語り、選手たちに大きな期待を寄せている。

 中心となるのは、エース左腕の谷澤歩夢と主将で切り込み隊長を務める大塚光竜の二人だ。
 谷澤は、120キロ台中盤の直球を丁寧にコースに投げ分ける投球が持ち味で、大塚は力のあるスイングと熱いキャプテンシーで、チームに勢いをもたらすことができる存在だ。

 「チームの中心となる選手がいれば、中学野球はしっかりと戦っていくことができます。
 今年に関しては、この二人がしっかりしてくれれば、周りの選手も乗せられますので重要かなと思います」

 だが中心選手として名前が上がった主将の大塚は、チームの核となる選手は決して二人だけでは無いと力強く語る。今年のチームは打撃が持ち味のチームだと明かし、全国制覇を目指していきたいと力強く意気込む。

130名の選手から選ばれる都筑中央ボーイズ(神奈川) 魅力は元プロによる高い指導力と選手ファーストな考え方 | 高校野球ドットコム
主将の大塚光竜(都筑中央ボーイズ)

 「キャッチャーの川口龍吾や、元々は4番を打っていた片岡朔優も頼りになる選手です。ショートの山本蒼空もとても守備が上手い選手です。
 (打撃が良いチームなので)投手力を鍛えて、全国制覇を目指したいと思います」

 もちろん、全国の舞台で戦いたい思いは前田会長も同じだ。選手たちの勝利に少しでも貢献していくために、出来る限りのサポートをしていくつもりだ。

 「僕もそうですが、選手たちもジャイアンツカップ、夏の全国大会に出たいと思っています。もちろん日本一になるのが一番ですが、まずはそこに立つことが大事なので、そこに対して僕も協力は惜しまないつもりです」

 いつでも野球に打ち込める環境と、選手ファーストな指導で、実績を残し続ける都筑中央ボーイズ。今年のチームも注目だ。

(記事=栗崎 祐太朗

関連記事
空港の目と鼻の先で練習を行う福岡ボーイズ 目指すのは「気持ちの強い選手」の育成
ホークス・田浦文丸など輩出の糸島ボーイズ(福岡) 躍進の秘訣は中学野球屈指の環境と高い実践力
選手の未来と地元・府中への貢献を重んじる西東京の名門・武蔵府中シニア

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.29

【福井】福井工大福井、丹生、坂井、美方が8強入り<春季県大会>

2024.04.29

【春季埼玉県大会】今年の西武台はバランス型!投手陣の完封リレーで初戦突破!

2024.04.29

【愛知】誉、小牧南が全尾張に出場

2024.04.29

【春季神奈川県大会】横浜が慶應義塾を圧倒!ドラフト候補たちが投打に活躍!

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.28

【広島】広陵、崇徳、尾道、山陽などが8強入りし夏のシード獲得、広島商は夏ノーシード<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!